寄ってたかって育てちゃえ田中淳子のあっぱれ上司!(3/3 ページ)

» 2012年09月19日 08時00分 公開
[田中淳子,ITmedia]
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3つのポイント

 大勢で寄ってたかって成長支援するために、いくつかすべきことがある。

 1つ目は、上司からメッセージを発信することだ。「若手の育成は、OJT担当者一人の仕事にしないこと。自分たちの職場に配属された若手なのだ。自分たちの後輩という意識を持って、誰もが育成に携わること!」というメッセージを上司に出してもらう。これは非常に有効である。

 次は、OJT担当者が積極的にOJTの状況を周囲に知らしめることである。「先月はこんな体験をさせました。先週はこういうものを作らせました」「来週はこういう場所に同行させる予定です。来月はこんな計画があります」といった来し方行く末を周囲に定期的に報告するのである。

 まめに報告を聞いている先輩たちは、知らず知らずのうちに育成状況に興味や関心を持つようになり、いざ「この部分を助けてほしい」とOJT担当者に依頼されたときに携わりやすくなる。子育てと同じで、ある日急に「1歳の孫の子育てを手伝ってくれ」と言われても祖父母は困惑するが、常日ごろから成長過程を知らされていれば、支援に携わりやすくなるであろう。

 3つめのポイントは、具体的な仕事を依頼することである。「若手のOJTを手伝ってください。なんでもいいので助けてほしい」と頼まれるよりも、「○○を教えてやってくれませんか?」と具体的な事柄を指示された方が周りも育成に関わりやすい。これまた子育てと同じなのであるが、「なんでもいいから手伝って」と言われるより、「オムツを替えてください」と言われる方が周囲は関わりやすい。



 3点を実践するだけでも、かなり周囲を巻き込める。大勢が育成に関わることは、若手の成長スピードを加速するだけでなく、OJT担当者の負荷もかなり軽減する。OJT担当者や部下育成に責任がある上司は、大勢が育成に関わることになるよう、まずはこの3点を実践してみてはいかがだろうか。

著者プロフィール:田中淳子

 田中淳子

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


著書「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)など。ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!


Facebook/Twitterともに、TanakaLaJunko


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