いま「反論する技術」が求められている。それは「違う立場の」の人と、感情ではなく、冷静に意見交換できる力。ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

わたしたちの先祖が長い歴史のなかで成長を遂げてきた、いまある社会のレベルおける冷静な対応が求められている。

» 2012年10月11日 08時00分 公開
[木山泰嗣,ITmedia]
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弁護士だけが知っている 反論する技術

 いまの日本では「平和ボケ」といわれていた「のんびりとした時代」が終焉し、さまざまな場面で、主義、主張のぶつかり合いが増えています。それは、世界的な金融危機・各国の財政危機などが問題化するなかで、日本国内の景気が低迷していること、それにもかかわらず、消費増税が決定されたこと、東日本大震災をはじめとした未曾有の地震、台風、大雨などの災害が増え、近い将来に首都直下型や東南海地震などの大震災の発生も警戒されていること、尖閣諸島の国有化にともなう中国での反日デモといった領土問題が日本の国境沿いで頻発していること、などの「不安定な社会情勢」が原因になっていると考えられます。

 福島の原発事故後は、原発をどうするか(存続させるか、廃止するとしていつまでか、代替エネルギーはどうするか)という議論が激しく行われています。いじめ問題も大きな影を落としています(いじめそのものは昔からありましたが、それを学校側や教育委員が隠ぺいする、なかったことにするといった「無責任な隠ぺい体質」がいま大きな問題となっています)。いまの日本では、さまざまな分野で、さまざまな場所で、これまで「見てみぬふりをしてきた問題」が顕在化し、解決策が問われています。

 ここに挙げたような問題は、外交問題を除けば、おおよそ多くの人たちが、なにがわるいか(どちらがわるいか)ということを、ジャッジできるかもしれません。しかしそれでも、国民の多数が考える立場とは別に、それとは「反対の立場」(違う立場)が、少数でも、必ず存在しています。こうした場面で「意見の対立」「考えの衝突」が起きるわけですが、日本人は、ディベートや議論をする技術を訓練する機会がとぼしく、自分のポジションから、論理的に明快に主張を行い、それと異なる反対の立場からの意見や指摘に、堂々と「反論する」ことが苦手な人が多いように思います。

 もちろん、なにかを隠しているとか、明らかに社会的にみてわるいことをしたにもかかわらず、それをひた隠しにしてかわしてしまうといった、非難されるべき「組織的な隠ぺい」を行い、「詭弁」を弄するような「テクニック」を身につけろ、といいたいのではありません。これらは、行っている行為そのものが「社会的に非常識」なのであり、糾弾されるべきことで、そこに「テクニック」という問題は、本来、あってはいけないはずだからです。

 とはいえ、こうした社会問題があるにもかかわらず、それを、するりとかわしてしまう相手は現実にいます。それに対して堂々と主張をぶつける技術は、あったほうがよいでしょう。相手からおかしな指摘を受けたり、不当な反論をされたりしたときに、論理的に、上手に、「反論をする技術」を身につけておくことは、きわめて重要です。

 ここで重要なことは、反論というのは「感情」で行ってはダメだということです。反論せざるを得ないあなたがよって立つ立場には、必ずといっていいほど「価値観」が存在しているはずです。したがって、その価値観を根底からくつがえされるような非難や、攻撃を浴びることがあれば、「ふざけるな」「なにを考えているんだ」といった怒りや、不安の感情がもたげてくるのは、人間として自然なことです。

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