重要なのは今後のITを予見する力――「New Global」を推進するNTTデータNTT DATA Innovation Conference 2013リポート(2/2 ページ)

» 2013年03月01日 08時00分 公開
[山下竜大,ITmedia]
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近未来の展望と技術トレンドを策定

 世界に変化をもたらす社会動向と技術は何か。NTTデータでは、近未来の展望と技術トレンドを「NTT DATA Technology Foresight」として毎年策定している。

 「毎年、さまざまな技術が生まれる。これらの技術には、世の中にヒットせずに消えていくもの、先進的なユーザーに使われるもの、世の中に完全に受け入れられてコモディティ化したものがある。NTT DATA Technology Foresightは、まだ世の中に受け入れられるかどうか分からない技術の今後を予測するものだ」(岩本氏)

 以前は、自社のビジネス戦略に限定されていたが、今後はユーザー企業とともにどんどん新しい技術を普及拡大していく計画。具体的には、ポリティクス、エコノミクス、ソサイエティ、テクノロジーの4つの側面で、56種類の課題を解決するための215種類の技術をピックアップしている。

 まずポリティクスの分野では、オープンガバメントやデータ価値の向上、ビッグデータ分析など、知識の集約化やデータ分析の高度化を推進。競争力の源泉が知識やノウハウの活用にシフトする。

 例えば、米国国防総省の先進研究プロジェクト「IARPA(the Intelligence Advanced Research Projects Activity )」では、ブログやソーシャルメディア、Webカメラ、検索クエリ、トラフィックなどのさまざまなデータを分析し、伝染病の発生や政治的危機、大規模犯罪などの社会的リスクを予測している。

 次にエコノミクスの分野では、オーダーメイド医療や価値観の多様化、センサー技術など、多様性への対応や行動分析、生体情報活用を推進。マス重視から個重視の社会に遷移する。例えば、3Dモデリングや3Dプリンティングなどの技術を活用することで、個人の身体にフィットした製品を短時間で供給することができる。

 またソサイエティの分野では、防災や環境・エネルギー問題、センサー技術など、実社会の課題解決、環境センシングの発達を推進。環境やニーズの変化にリアルタイムに対応する。例えば、IEEEでは2040年に75%の自動車が自動運転になると予測しており、トヨタ自動車やGoogleなどが研究開発を推進している。

 さらにテクノロジーの分野では、リバースイノベーションや高齢化社会、ナチュラルインタフェースなど、デジタルデバイドの解消やインタフェースの高度化を推進。誰でも活用できるITの普及を目指している。例えば、スマートデバイスを利用した拡張現実サービスが、IKEAのカタログアプリや長野県の観光案内アプリなどに実装されている。

 また岩本氏は、「NTTデータでは、ソフトウェア生産技術の革新を推進している。中でもアプリケーションを次々に生み指すことが企業の競争力を向上させる」と話す。そこで多様なシステムを短期間で構築する総合ソリューション「TERASOLUNA(テラソルナ)」を推進している。

 TERASOLUNAでは、既存アプリケーションの解析から新たなアプリケーションへのマイグレーションまで、トータルな自動化を実現。アプリケーションの再生により維持管理コストを低減し、新たなITへの投資を増やすことを目指している。

 そのほかNTTデータでは、海外における取り組みを強化。現在、世界34カ国・地域にまで事業を拡大しており、海外の社員数は全社員6万人の44.3%にあたる2万6000人を数える。グローバルビジネスでは、「Global Accounts」「Global Offering」「Global Talents」の3つを重視し、価値の創出を目指している。

 Global Accountsではグローバル企業を海外で支援しており、Global Offeringでは日本と同じ事業を各国に横串で展開、Global Talentsでは日本、米国、ドイツで人材育成プログラムを展開している。またすべての国の事業会社名を「NTT DATA」に統一することで、「Global One NTT DATA」を目指している。

 岩本氏は、「今後も国境や海や山や川などあらゆる壁を越えてグローバルに事業を展開していく。重要なのはITを駆使した新しい地球が生まれようとしていること。その中に、人類の平和や幸せ、感動などをどのように実現するかに真剣に取り組んでいきたい」と話している。

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