データマーケティングで成功をつかむために、おさえるべきポイントとは?Webビジネス成功の秘訣(1/2 ページ)

データマーケティングにチャレンジしようするとき、データの組み方とマーケティング分析の方法について、どのように考え、どのように取り組んでいけばいいのか。

» 2013年04月03日 11時45分 公開
[石田麻琴(ECマーケティング人財育成),ITmedia]

 前回の「データ分析の原理原則をおさえる」では、データ活用こそがWEBビジネス成功の突破口となる、という話をしました。まず、社内にWEBビジネスの「専任」を置くことが成功ための前提条件であるとした上で、データを活用する際に理解しておきたい「データを読む原則(同じデータ項目の変化を読む)」「データを読む目的(現状把握と成果検証)」という2つのポイントを伝え、データマーケティングをするための素材として、「利用履歴データ」「行動履歴データ」「顧客属性データ」の3つが必要である、という話でした。

 最終回の今回は、データの組み方、マーケティング分析法、データ分析において最も重要なポイント、この3つについて伝えます。

 いざデータマーケティングにチャレンジしようするとき、データの組み方とマーケティング分析の方法について、「どのように考え、どのように取り組んでいけばよいか」非常に悩む部分かと思います。

 具体的なデータマーケティングをイメージしたとき、商品やコンテンツ別の販売数はもちろん、サービス利用者の男女比や年齢比、決済方法はカード決済が多いのか銀行振込が多いのか、サービス利用者が普段読んでいる新聞や雑誌、好きなブランド、好みの色、などなど、知りたい情報はさまざまあります。もちろん、データ分析についてたくさんのアイデアがあることは大いに結構ですが、データマーケティングに取り組む際、絶対に外してはならない原理原則があります。それは、「最終的な成果」つまり「売上」に直接的につながっているデータ項目から順に重きを置いて読んでいく、ということです。

 データは「最終的な成果=売上」を頂点として、いくつものデータ項目がツリー状につながっています。「売上」に直接的につながっているデータ項目として、ネットショップでは「アクセス人数」「注文件数」「転換率」など、WEBサービスであれば(マネタイズの方法によりますが)「利用者数」「会員登録数」「PV数」あたりがあげられます。さらにツリーの下、例えばネットショップにおける「アクセス人数」につながっているデータ項目は何かといえば「新規顧客数とリピート顧客数」、「Webサイトの参照元」、「検索ワード」です。

 もちろん、「売上」に直接的につながっているデータ項目はそれぞれの企業によって異なります。まずは「売上に直接的につながっているデータ項目は何か」を考え、さらに「そのデータ項目につながっているデータ項目は何か」「その次は……」と順々にツリーを考えていくのです。このデータ項目のツリーを十分に考えず、「男女比率はどのくらいか?」「使われている決済方法は何が多いか?」「読んでいる雑誌はどんなものか?」という各論にいきなり入ってしまうと、いわゆる「データに踊らされている」状態になってしまいます。

 余談ですが、このような状態になってしまった場合、抜け出す方法は実はシンプルです。読んでいる無数のデータ項目を、3〜5つだけに絞ってしまえばいいのです。データ項目の数を少なくすれば、自ずと「売上」につながっているデータだけを、自然に読むようになります。

 上記を考えた上で初めて、自社に合ったデータを組むことが可能になります。「売上」を頂点としたデータ項目のツリーがしっかりできていれば、サービスを拡大するために「どのようなデータを取りたいか。どのようなデータを取ればいいか」を十分に把握している状態になります。

 次に「マーケティング分析法」です。データマーケティングを行う場合の手法として、データを次の施策に生かす道具にするための「現状把握と成果検証」に使う方法と、データを使って対象をセグメンテーションし「直接的なアプローチ」をするために使う方法の2つがあります。

 まず前者の「現状把握と成果検証」についてですが、この2つのうち、より重要なのは「成果検証」としてのデータ活用です。前回書いたとおり、正しいデータの読み方は、ある一時点の状態を読むのではなく、「同じデータ項目の変化を読む」ことです。成果検証の活用方法としては、社内の各部門に対して「変化を読み続けるべき」データ項目を定義し、日々の施策がどのように成果(データ)に結びついているかを感覚的に知ってもらうことです。

 例えば、マーケティング部門であれば「アクセス人数」、バイヤー部門であれば「新発売商品数」、カスタマーサポート部門であれば「顧客評価」などです。なお、こちらについてもそれぞれの企業により「読むべきデータ項目」は異なります。

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