よいアイデアを素早く実行して素早く失敗――学習主義で沸き立つ会社になるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

» 2013年06月12日 08時00分 公開
[山下竜大,ITmedia]
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沸き立つ会社にする3つの質の高め方

 沸き立つ会社を実現するためには、関係の質、思考の質、行動の質を高めることが重要になる。まず関係の質を高めるためには、リーダーが持つ「20の悪癖の改善」が必要になる。20の悪癖の改善は、エグゼクティブコーチングの第一人者マーシャル・ゴールドスミス博士が、著書『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』で紹介したもの。まずは自分でチェックして、次にほかの人に自分についてチェックしてもらう。このときのギャップが改善すべきポイントになる。

20の悪癖の改善

(1)極度の負けず嫌い

(2)何かひと言価値を付け加えようとする

(3)善しあしの判断を下す

(4)人を傷つける破壊的なコメントをする

(5)「いや」「しかし」「でも」で話を始める

(6)自分がいかに賢いかを話す

(7)腹を立てている時に話す

(8)否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う

(9)情報を教えない

(10)きちんと他人を認めない

(11)他人の手柄を横取りする

(12)言い訳をする

(13)過去にしがみつく

(14)えこひいきする

(15)すまなかったという気持ちを表さない

(16)人の話を聞かない

(17)感謝の気持ちを表さない

(18)八つ当たりする

(19)責任回避する

(20)「わたしはこうなんだ」と言いすぎる

 また自分が「現実派」「社交派」「理論派」「友好派」のどのタイプなのかを理解することも重要。このとき相手がどのタイプなのかを理解することで、関係の質を向上することもできる。細川氏は、「現実派の逆は友好派であり、社交派の逆は理論派である。こうした関係を知っておくことで、相手との良好な関係を築くことができる」と話す。

 次に思考の質を向上について細川氏は、次のように語っている。「常に自分に対する重要な質問を意識しておくことが必要になる。まず、管理職としての自分のミッションは何なのか。次に自分が止めるべきことは何なのか。そして自分がやるべきことは何なのかである」

 さらに行動の質を向上するためには、「うまくいったことは何か?」「うまくいった原因は何か?」「うまくいかなかったことは何か?」「うまくいかなかった原因は何か?」「次の一手は何か?」という5つの質問を毎週記入して、すべてのメンバーで共有する。このとき、予期せざる顧客ニーズがあれば、それについても記入しておく。

 「5つの質問により、リーダーが何を考えているのか、ほかのメンバーが何を考えているのかを共有することができる。みんなで協力し、当事者意識を持つ。そしてKPIを作り、みんなで応援する。人間は目標や目的が明確になるとドーパミンという物質が排出される。このドーパミンがモチベーションを向上させるといわれている。ドーパミンが出ないとモチベーションは上がらない。つまり沸き立たない」(細川氏)

世界で成功している経営者が実践する8つの動きを手に入れる

 IT化、高速化、グローバル化により、より忙しく、より複雑に、リーダーを取り巻く環境が大きく変化した。リーダーシップにも大きな変化が訪れ、イノベーションが必要となっている。細川氏は、「求められているのは奉仕型のリーダーであり、世界に通用する本物のリーダーシップ、つまりサーバントリーダーシップである」と言う。

 「イノベーションとは、これまでに培ったノウハウ、ドゥハウ、商品など、会社の財産を世の中のニーズに合わせて組み替えること。まったくの無から生み出すことではない。また、環境が急激に変化する不確実性の現在は、綿密に計画して実行する"計画主義"ではなく、よいアイデアを素早く実行して、素早く失敗する"学習主義"の時代である」(細川氏)。

 サーバントリーダーシップを発揮するためには世界で成功している経営者が実践する8つの動きを手に入れることが必要になる。マーシャル・ゴールドスミス博士のリーダーシップの考え方を日本向けに解説した書籍「世界基準 8つの動き」で提唱している経営者が実践する8つの動きは、次のとおり。

経営者が実践する8つの動き

(1)尋ねる

(2)耳を傾ける

(3)考える

(4)感謝する

(5)応答する

(6)関与する

(7)変化する

(8)フォローアップ

 細川氏は、「私は一生勉強し続ける。そこで学んだことは、ほかの人の目標達成を手助けすることがミッションである」という趣旨のピーター・ドラッガーの言葉を紹介。最後に細川氏は、「いまの若者は失敗を極端に怖がる。リーダーは、どんどん失敗しろ、楽しめと言わなければならない。人生は一回。ぴりぴりしながらするのも仕事、楽しくやるのも仕事。ならば楽しく仕事をした方が良い」と話し講演を締めくくった。

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