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» 2013年12月18日 08時00分 UPDATE

社員が自律的に成長し続ける組織の創り方:職場にただ慣れさせるだけでなく、イマドキの若手を後押しする方法 (1/2)

踏み込んだコミュニケーションによる信頼関係が求められているが、自信が持てずオープンになれない若手社員と、接し方が分からず表面的になってしまう管理職がいる。表面的な関係がこの状況を打破できないのでは。

[上林周平(シェイク),ITmedia]

 「職場での育成」に関して4種類の支援から見た調査結果をもとに、「社員が自律的に成長し続ける組織の創り方」と題した連載。今回は、4種類の支援の中の「ハゲマシ支援」「アドバイス支援」を中心に、イマドキの若手社員がより育つために何が必要かという点についてまとめていく。

表面的で器用にこなす若手社員。上司のことを「良い人」と言うのだが……

 数年前に比べて、新入社員や若手社員が以下2つの観点から「分かりにくい」と感じる。

 1つ目は、新入社員を中心に、「器用だが、何を考えているか分かりにくい」ことだ。課題を与えると器用にこなす。しかし、どこか答えを探しているような取り組み方をする。そのため、本人自身が何を考えているか、どのように思っているかは表出されてこない。2010年に日本生産性本部が発表したその年の新入社員の特徴は、「ETC型」と名付け、その年の新人を「性急に関係を築こうとすると直前まで心の"バー"が開かないので、スピードの出し過ぎにご用心。IT活用には長けているが、人との直接的な対話がなくなるのが心配」と評している。本心は踏み込まない限り、見えてこないのである。

 2つ目は、若手社員と育成プログラムで会う中で感じるのは、「上司は良い人と言う人が多い。しかし、どこか職場での居心地が悪そうである」ことだ。モチベーションが下がっている事象に対して要因を問うと、上司自身の人間性に対する不満を言うことは少なくなってきている。むしろ「良い人」だという。しかし、職場で自分らしく働くことができているかと問うと、Yesとは言わない。「良い人」の上司の下で働きながら、居心地が良くなく自分の力を十分に発揮しているわけではない。

表面的であり、踏み込んだ関係性が築けていない職場

 このように若手社員はどこか表面的で、なかなか「バー」を開かない状態になぜなっているのか。2012年に弊社シェイクで新人から中堅社員までの1038名に調査した結果では、「仕事をする上で、現在の自分に対して自信がある」という問いに対して、「そう思う」「ややそう思う」と回答したのは35.5%。その中で、4〜6年目社員(208名)を抽出して見ると、「そう思う」「ややそう思う」は27.9%である。自信があると答えられるのは3割弱しかおらず、自信が無い状態で仕事をしている実情が見てとれる。自分に自信が持ち切れないから率直な想いを出しにくく、結果的にバーが開かない要因のひとつになっているのだ。

 ただその若手社員も、育成プログラムで接すると「自分がまだまだなところをフィードバックしてください」と個別で求めてくる人も多い。私が厳しくフィードバックしたら、しっかりと受け止め、モチベーションが上がっている。こういう状況を何度も目にすると、本来的には、そのような踏み込んだコミュニケーションを求めているのだが、「良い人」が多い職場において、本人が満足いくようなフィードバックが得られていないのではないだろうか。

 一方で、若手社員を育成する立場の人と話をすると、「若手の気持ちが分からず、話しにくい」と言う人や「パワーハラスメントや若年層の休職などを恐れ、厳しいことが言えない」という人もいる。踏み込んだコミュニケーションをしにくいのが現状であり、そのあたりが「良い人」と感じさせる要因になっているのだ。

 本来的には踏み込んだコミュニケーションによる信頼関係構築が職場では求められている。しかし、自信が持ちにくくてオープンになれない若手社員と、その若手社員の接し方が分からず表面的になってしまう管理職がいて、管理職が表面的にかかわるために若手社員が自信を持ちにくくもなっているのだろう。どちらが原因かと言うよりも、職場の表面的な関係がこの原因を打破できない状況を作り出しているのだ。

日本の職場の関係性はどのようなものか

 弊社では、100部署以上の日本企業の職場を調査・分析をしている。その中で、精神的な支援を指す「ハゲマシ支援」の実態を見てもらいたい。

  • 1位:当たり前に挨拶している 83.1
  • 2位:相談しやすい環境を作る 80.0
  • 3位:日常的に声をかける 77.8
  • 4位:小さなことでも約束を守る 76.9
  • 5位:聞き役になって否定しない 76.8
  • 6位:叱咤激励している 70.7
  • 7位:行動を気にかける 69.3
  • 8位:コンディションを気にかける 50.5

 ※スコアは質問群に対する回答(当てはまる"100 "⇔当てはまらない"0")から算出

 「当たり前に挨拶している」「相談しやすい環境を作る」「日常的に声をかける」というような表面的にでも行うことのできるコミュニケーションは比較的出来ているが、一方で「ちょっと表情が良くない印象を受けるが何かあったのか?」というような「コンディションを気にかける」「行動を気にかける」というような踏み込んだコミュニケーションに関しては、相対的に出来ていない実態がある。

 一方、同調査で若手社員自身に対して、自ら働きかけたりするなど、周りへの支援を求める行動をしているかという質問をすると、先ほどの8つの支援の中で「コンディションを気にかける」「行動を気にかける」という支援に高い相関関係が見られる。すなわち、周りからよく気にかけてもらっている職場の若手社員は、自ら周りに働きかけて支援を求める行動を取っているという結果なのである。

 「最近の若手社員は分かりにくい、自分から働きかけてこない」というような声も聞かれるが、職場で互いに行動を気にかけ、深いコミュニケーションが出来ている職場ではこのようなことが起こっていない。マネジャー含めた日々のかかわりと職場の風土が影響しているのだ。

指示と支援。メンバーの段階によって、かかわる内容は変わる

 多くの企業の新人や若手社員と会っていると、入社直後、指示を受けて仕事をしている時は活躍していたのだが、徐々に自律が求められてくる時期になると、上手く対応できずに成長スピードに鈍化がみられるということがある。「初めは良かったのだが…」という現象だ。

 ブランチャードとハーシィが提唱したSL理論では、部下の開発(成長)レベルを4段階に分け、指示的行動・支援的行動のバランスをまとめている。1段階目の部下(配属されてすぐの新人を思い浮かべてほしい)は、成熟度が低く、具体的な指示的行動をすることが望ましいと言われている。どこに何があるか、関係者は誰か、主な仕事の進め方を具体的に指示し事細かに監督しないと成果が出ない。

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