発想をカタチにする技術――新しさを生みだすありきたりの壊し方ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2014年01月16日 08時00分 公開
[吉田照幸,ITmedia]
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(2)新しいことをやりたいなら、新しいことをやろうとしない

 最初から「新しいことをやろう」で動くと、たいていは間違います。例えば、「固い番組にAV嬢が初めて出演する」。確かに初めてのことかもしれません。でも、その必然性がなければ「出たけど、それが何か?」ということで終わってしまいます。やるべきことは、自分が「これは面白い!」と思ったことを大切にすること。自分が面白いと思ったのであれば、それは大抵、会社にはないものなのです。 

 だから、それを上手に、「組織」や「会社」でやっていることや、多くの人の「共感」につないであげる。そのためにも、自分から離れて注意深く人の話を聞き、その人が言葉にしていないところまで汲み取ろうとしています。新しいことをやるための努力って、こっちなんです。

(3)目的を忘れない――好かれたいのか、仕事を成功させたいのか

 新しいことをやろうとすると必ず障害があります。ぼくは「新しいものをやるときは、認められないものだ」と思っています。

 「サラリーマンNEO」のスタートのとき、音声担当者ともめたことがあります。コントは勢いが大事。そこで、どんなに長いシーンでも一気に撮影することにしたのですが、音声担当者は丁寧に仕事をする人で、「そんな方法ではできない」と言われました。

 ぼくはその人の話を徹底的に聞きました。それでも、着地点が見いだせなかったとき「録れなくてもいいです。録れなかったら責任を取ります」と言いました。「録れなくていい」といっても、相手はプロです。結局、ぼくのお願いした条件で仕事をしてくれました。

 仕事をしているときに、特に相手がベテランだったり、年長者だったりすると、遠慮をしてしまうことはありますよ。でも、それは方向が間違っていると思うんです。「相手に好かれたい」と「仕事を成功させたい」。これはまったく違うことです。嫌われたくない一心で、「現場で調整しましょう」を繰り返したら、いい仕事にはなりません。結局その人と仕事をしたのは、それきりですが、「責任を取ります」と断言したぼくについてきてくれる人も出てきました。

 新しいことをやるときは、不安になることもあります。

 ぼくはNEOをやるまで、ドラマもコントも作ったことがありませんでした。でも、いろんなことを試して、やっとカタチにすることができました。すべては試すことから始まります。考えていても何も始まりません。自分のやりたいことの「本質」をしっかり見て、共感を得ていけば、「これが自分の仕事だ」と思えるものがいつかはできると思っています。

著者プロフィール:吉田照幸(よしだ てるゆき)

1969年、福岡県生まれ、山口県育ち。1993年NHK入局。NHK制作局第2制作センター エンターテインメント番組部ディレクター(2013年9月よりNHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブプロデューサー)。「のど自慢」、「小朝が参りました」などエンターテインメント系の番組を中心に活躍。広島放送局を経て番組開発部移動後、2004年に「サラリーマンNEO」を企画、以後全シリーズの演出を担当。型破りな番組として人気を博す一方、タニタの社食ブームの火付け役となり、Google本社に日本で初潜入、コントに日産のカルロス・ゴーン氏を引っ張り出すなどなど、話題となった。2011年には「劇場版サラリーマンNEO(笑)」の脚本・監督を務める。第35回・36回国際エミー賞コメディ部門ノミネート。2013年春からは、"異例のレンタル移籍"で、連続テレビ小説「あまちゃん」のセカンドディレクターとして演出担当。


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