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» 2014年03月31日 10時00分 UPDATE

進化するCIOの役割──システム管理責任者から企業戦略の担い手へ

日本マイクロソフトは「ビジネス トランスフォーメーションを実現するクラウド」をテーマに「Microsoft CIO Seminar」を開催。企業競争力を高めるためのIT活用や、CIOに求められる役割について、大手企業のCIOとともにディスカッションを行った。

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 グローバル化による国際的な市場競争の激化、世界経済の変動、政治状況の変化、顧客ニーズの変化など、ビジネスの環境が刻々と変化する中、企業経営の舵取りはますます難しくなっている。また、クラウド、ソーシャル、モビリティ、ビッグデータといったITメガトレンドなど、新しいテクノロジーにも対応していかなければならない。こうした状況下で、企業が成長し続けるためには、ITを活用してビジネスを変革することが不可欠であり、CIOに求められる役割はますます大きくなっている。

日本のお客さまのビジネス変革を支援する準備が整った

 最初に登壇したのは日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役 社長。大きく変化している企業を取り巻くIT環境の中で、マイクロソフトが何を提供できるかを話した。

higuchi290.jpg 日本マイクロソフトの樋口泰行社長

 米マイクロソフトでは13年間CEOを勤めたスティーブ・バルマー氏が退任し、インド出身で、米マイクロソフトに20年以上在籍しているサティア・ナデラ氏が2014年2月にCEOに就任し、新たな時代を迎えている。ナデラ氏は直近ではクラウド事業を担当しており、クラウドOSというビジョンを明確に打ち出して実績を上げてきた。2014年2月26日、Windows Azureの日本データセンターをオープンした。このデータセンターは、3年前から企画、構想をして、進めてきたプロジェクトであるが、最終の意思決定をナデラ氏が行い、実現したものである。

 日本のデータセンターを開設する前は、日本のお客さまは他のアジア地域のデータセンターをご利用いただくケースが多かったが、そのときに比べてレイテンシーは3倍以上改善された。また国内2拠点(東日本と西日本)で運用し、冗長構成になっているので、国内でディザスターリカバリを実現できる。日本のお客さまに対して、さまざまな市場のニーズに応える、新しいシステム基盤として、安心・安全、高信頼・高品質かつ高速なクラウドサービスを提供していく。Cloud Directという無償の相談窓口やCIOワークショップと呼ばれるコンサルティングサービスも提供している。

 樋口社長は「すでに早期利用プログラムを利用している企業が36社あり、ラウンチパートナーが120社以上、ソリューションが300以上、5000人以上のエンジニアがサポートしている。今後、日本マイクロソフトでは"デバイス&サービス"に注力し、日本の社会からさらに信頼される会社を引き続き目指す」と話している。

日本のIT投資を成長につなげるには

 次に登壇したのが経済産業省商務情報政策局の江口純一情報処理振興課長。「政府のIT戦略とクラウド推進における経済産業省の取組み」をテーマに講演した。経済産業省では、日本再興戦略に掲げられるITやクールジャパン、健康・医療、サービスなど、市場の拡大と相乗効果が見込める分野を組み合わせ、日本の魅力を生かした新たな価値創造産業の創出に向けた取り組みを推進しており、IT分野では、ビッグデータや政府のデータを活用したオープンデータ、セキュリティなどに注力している。

eguchi2902.jpg 経済産業省商務情報政策局 江口純一情報処理振興課長

 政府は、2013年6月に「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定し、世界最高水準のIT利活用社会の実現を目指し、革新的な新産業・新サービスの創出や、健康で安心して快適に生活できる世界一安全な社会、公共サービスが、いつでも、どこでも、ワンストップで受けられる社会をITの利活用で実現することを目指している。

 2000年にITバブルがはじけ世界的にIT投資が停滞したが、欧米がすでに攻めに転じたのに対し、日本はまだ守りのIT投資の傾向がある。理由は、欧米がビジネスモデル変革にITを活用しているのに対し、日本は効率化やコスト削減が主のため。日本の経営者層は新しいIT技術に対する認知が欧米と比較し低い。経営者や事業部のリーダーは、ITの戦略的活用を意識し、モバイルやクラウドの活用で、製品やサービスの高付加価値化を目指す必要がある。

 江口課長は「今後はエネルギー、ヘルスケア、農業、サービスとITなど、ITを使った新しいビジネスが創出されていく。1964年の東京オリンピックでは、新幹線、首都高速道路、カラー放送などの革新があった。2020年のオリンピックは、新しいイノベーションを東京から世界に発信する大変良い機会。ITを中心とした新しい技術、新しい社会、イノベーションの推進を支援し、開催に向けて盛り上げていきたい」と話す。

変わり続けるIT環境で自ら変化を起こしたい

 パネルディスカッションでは慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 夏野剛特別招聘教授と樋口社長をパネリストに、早稲田大学電子政府・自治体研究所准教授で国際CIO学会事務局長 岩崎尚子氏をモデレータに迎え、「Internet of Things時代のビジネス変革とCIOの役割」をテーマにディスカッションを行った。質疑応答では、会場参加者からの率直な課題や問題提起がなされ、活発な意見交換が行われた。

 まず、クラウドやソーシャルなど新技術を活用したビジネスイノベーションが求められているが、国内外のIT活用の現状をどのように見ているか、との岩崎氏からの問い掛けからディスカッションが始まった。

 その問い掛けに対して、夏野氏は「ITに関して技術的には日本は進んでいる。しかし企業におけるIT活用に関しては世界でもっとも遅れていると断言できる。これはCIOの業績評価を、トラブルを起こさないこと、リスクをゼロにすることを中心においていることが一因ではないか。」と自身の考えを示した。

 本来、CIOとは会社全体の生産性に対して責任をもっている立場であるはずだ。ITの活用により実現すべきなのは、企業競争力の源泉である社員の生産性をIT技術で2倍、3倍に向上させること。さらに、夏野氏は、2020年のオリンピック開催に向けた取り組みとしても、一貫して、社員の生産性をいかに上げるか、にCIOは取り組んでいくことが重要である、との考え方を示した。2020年以降2030年までに約1000万人の日本の人口減少、つまり8%にあたる需要サイドの減少が想定されている。

 「気持ちが前向きな2020年までに、生産性をあげるためのIT投資や組織改革を実現できるかが、それ以降の企業の競争力になる」(夏野氏)

 しかし、現状は、社内からウェブメールへのアクセス禁止、USBメモリ禁止など、多くの企業は、リスクをゼロにするために、社員の生産性を下げるような仕組みを作ってしまっているのではないか。夏野氏は「BYODが進み公私の区別が付きにくくなっている現状において、1消費者、1ユーザーでもある社員側のITに対する感覚と、企業が取り入れているITの仕組みが乖離しつつあることに危機感を感じている」と話した。

 一方、樋口社長は“パブリッククラウド”を知っている経営者が1%程度といったデータに触れ、経営者自身にITの戦略性の意義が今なお伝わりにくい環境にあることの問題点を指摘しつつ、「だからこそ、CIOにはCEOのITリテラシーを補って経営者の視点で推進するパワーが必要」と話した。

 CIOが経営からの期待にいかに応えられているのかに関する調査によると、安定稼働、システム構築、投資・コスト管理については100%近い経営からの期待にIT部門はほぼ応えられている一方、ビジネスプロセス変革については80%近い経営者の期待に対してIT部門は50%程度しか応えられていない。さらにビジネスモデル変革に至っては、70%以上の経営からの期待に対し、IT部門は20%しか応えられていない。

 CIOへの期待が、システム構築や安定稼働、投資・コスト管理といったオペレーション効率に関連する領域に加えて、ビジネスプロセスやビジネスモデルの変革など、より企業戦略に近い領域に変化している今、ITを知る者による経営の発想が、CIOには求められている。

 樋口社長は「時代の変化に対応しなければ、企業は生き残ることができない。環境の変化があるから変わるのではなく、先回りをして自ら変化を起こしていくことが必要だ。変化を起こしていくうえで、クラウド、ソーシャル、モビリティ、ビッグデータという新しい技術トレンドを、ビジネスシーズとして経営のスコープに入れることは重要なことだ」と話した。

 ITを知りかつ経営を知る、といった人材を、どのようにすれば育成することができるのか? この点について、夏野氏、樋口社長、岩崎氏の間でさまざまな意見が交わされた。夏野氏は、文系理系関係なく、ITをどう活用していくかについて思考し、CIO自身が新しいものにトライする最尖峰になる必要がある、と指摘をした。人材の流動性の必要性については、夏野氏、樋口社長ともに言及し、岩崎氏からは、アメリカでは業種間の異動が多く、またCIO大学のような育成プログラムがあることも紹介された。

 岩崎氏は「参加事前アンケートでは、CIOの役割が終焉を迎えているのではないかという質問があり、考えさせられる思いだった。しかしディスカッションを通して、これまでCIOの役割といわれていた情報管理やコスト削減から、新技術を活用して新たなビジネス価値を創出し、収益に直結させていくことが今後のCIOに求められる重要な役割であると感じた。2020年に向け、これからのCIOは、社会環境変化に注視しながら1歩先を見据えた経営の一翼を担う役割が求められている」と話し、ディスカッションを終えた。

panel4901.jpg 写真左から樋口社長、夏野氏、岩崎氏

コストセンターからバリューセンターへ

 マイクロソフトのIT事例として、日本マイクロソフトの廣崎淳一IT統括が登壇。マイクロソフトにはグローバルで約19万人強の社内ユーザーがいる。社内の情報システム部門は、自社の製品をいち早く利用して、評価し、改善が必要な点を製品開発部門にフィードバックし、問題を解決して顧客に提供するというループをつくることがミッションと話す。

 マイクロソフトのIT部門はコストセンターからバリューセンターになることを目指しており、そのなかで、われわれはテクノロジーではなく、社内ユーザーとお客さまのエクスペリエンスの変革に注力している。そのためには、積極的にクラウドを活用し、社員が必要な情報に、いつでも、どこでも、どんなデバイスからも、セキュアにアクセスできる環境を構築することが重要。ビジネスプロセスのデジタル化によるペーパーレス化や、バーチャルミーティング、社内SNSを活用した社員のコラボレーション、マルチデバイスの利用による社員の働き方の変革をサポートしている。

 「コストセンターからバリューセンターへという変革は一朝一夕にできるものではない。組織を変革し、意思決定のスピードを上げ、IT部門の評価とアクションというPDCAサイクルを回しながら、IT部門が提供できる価値を高めていくことが必要。こうした取り組みを今後も推進していきたい」(廣崎氏)

ビジネスITはハイブリッドモデルへ

 グローバルの先進事例として米マイクロソフト データセンター&プライベートクラウド ビジネスソリューションアーキテクトのクリス・モアーズ氏は、自身が携わってきたハイブリッドクラウドの事例を紹介した。

 まず、世界30国、685空路で年間6100万件の航空券を販売する英国最大の航空会社であるEasy Jet。会社としての歴史は浅いが、革新的なビジネスモデルで急激に成長をしてきた航空会社である。その成長スピードを支えてきたのがオンラインの予約システムだ。Easy Jetは、オンプレミスの予約システムに、座席選択のアプリケーションなど新しい機能の構築を検討したが、2つのデータセンターにまたがるため、コストと時間がかかりすぎ、かつ拡張性とワークロードに非常に多くの不確定要素があり、断念。リスクの低い代替案を検討した。ITインフラとスタッフを増加せずに、顧客エクスペリエンスを向上するため、Easy JetはWindows Azureを採用。座席選択アプリケーションは、オンプレミスの予約システムとパブリッククラウド(Windows Azure)を連動させた、ハイブリッドクラウドで構築された。Windows Azureを採用した理由は、コストの削減や高いスケーラビリティに加え、何よりも、非常に短期間で構築できるスピード感であった。技術的な制約がない限り、今後開発する新しいシステムは自社のデータセンターではなく、すべてパブリッククラウドを利用するというのがEasy Jetの戦略だ。

 またデンマークの行政機関にITサービスを提供するデンマーク最大のシステムインテグレーターであるKMDは、警察、学校、住民サービスなどのミッションクリティカルなサービスの70%を担っている。KMDは公共機関で求められるセキュリティや法規制に対応しながら、モビリティ、ソーシャル、データをも盛り込んだプラットフォームを、マイクロソフトのクラウドテクノロジーをベースに提供した。パブリッククラウド、サードパーティクラウド、オンプレミスによるハイブリッドな環境を提供することで、ユーザーは柔軟にサービスを利用することができている。

 「紹介した先進事例に共通するのは、複数のデリバリモデルを利用しているということ。パブリッククラウドだけ、オンプレミスだけというのではなく、ハイブリッドなデプロイ環境を採用している。今後、ほとんどのエンタープライズITはこのハイブリッドモデルを採用することになるだろう」(モアーズ氏)

 日本マイクロソフトのエンタープライズクラウド利用は、業種を問わず広がっている。早い時期よりプライベートクラウドを導入、仮想化サーバーコストを40%、消費電力を10%削減している小売・流通企業の事例、アクセス負荷が予測しづらいオンラインチケット販売システムをクラウドの活用により短期間で構築し、アクセスの急増リスクを軽減させている事例など、クラウドサービス利用のニーズは高まっている。日本マイクロソフトは、これらのニーズに応えるため、エンタープライズ部門の営業担当者400人、コンサルティング/サポート部門の400人、計800人体制で顧客のイノベーションをサポートしている。

 最後に、日本マイクロソフト 小原琢哉執行役常務 エンタープライズビジネス担当が「日本マイクロソフトでは、クラウド、ソーシャル、モビリティ、ビッグデータという、4つのITメガトレンドに対する業種ごとのソリューションをアセット化し、パートナー企業とともに、できるだけスピーディーに顧客にソリューションを展開できる体制や取り組みを推進している」と締めくくった。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2014年4月30日

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