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» 2014年05月02日 08時00分 UPDATE

ITmedia エグゼクティブセミナーリポート:ヒト、モノ、世界をつなぐテクノロジーとして重要になるクラウド (1/2)

グローバルで戦うためのIT戦略としてクラウド活用が注目されている。ITを駆使した新しいビジネスをシステム部門がリードするためには、新たなチャレンジが必要。

[山下竜大,ITmedia]

 3月18日に開催された「第29回 ITmedia エグゼクティブ セミナー」では、グローバルで戦うためのIT戦略とクラウド活用をテーマに、一橋大学大学院の人気教授である名和高司氏とローランド・ベルガーのパートナーである大野隆司氏が講演。KVHとリバーベッドテクノロジーが、グローバル市場で戦うためのITインフラのあり方を紹介した。

グローバルで戦うためのIT戦略とクラウド活用

ohno2901.jpg ローランド・ベルガーの大野隆司氏

 ローランド・ベルガーは、欧州を起点としたグローバル戦略コンサルティングファームで、現在、36カ国、51オフィス、2700人のスタッフで事業を展開。東京オフィスは1991年に設立され、現在100人のコンサルタントが、さまざまな企業にコンサルティングサービスを提供している。

 基調講演に登場したローランド・ベルガー パートナーの大野隆司氏は、「コーポレートHQスタディと呼ばれるサーベイからも、本社(HQ)に求められる付加価値は変化している。"共通サービス提供者"として効率化やコスト削減に貢献し、"コンシェルジェ"としてノウハウを共有してイノベーションに貢献、"マネジャー"として戦略策定や資源配分を遂行して、"守護者"として全社ビジョンやガバナンスを策定することがHQの役割である」と話す。

 HQが果たすべき役割の中で、IT部門に求められる役割は、マネージメント・インフォメーション・システム(MIS)、KPI/インセンティブのスキームで戦略と整合したゴールを設定すること、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークやクラウドも視野に入れたITインフラストラクチャの構築。コンテンツマネジメントやソーシャルなどのナレッジマネジメントである。

 グローバルで戦うためのIT戦略としてクラウド活用が注目されているが、その導入事例として121カ国で建設業向けの工具や材料を製造、販売するリヒテンシュタイン公国のグローバルカンパニーであるHILTI社を紹介した。HILTI社はERP(Enterprise Resource Planning)システムとしてSAP R/3をオンプレミスで導入し、さらに本社と各拠点のシステム統合を目的に、クラウド型のERPであるSAP Business ByDesignを採用した。クラウド型のERPを採用することで、短期間かつ容易に基幹業務システムの統合を実現。大野氏は、「日本でグローバルに事業を展開している企業においても、本社システムはオンプレミスを中心とし、グループ会社にはクラウドを適用することが現実解といえる」と話す。

 また大野氏は、「グローバルIT-HQの話題をよく耳にするようになったが、一朝一夕に実現できるものではない。それ以前に取り急ぎ考えなければならないことも多い。ITを駆使した新しいビジネスをシステム部門がリードするためには、いまの仕事を捨てる勇気も必要。とりあえずクラウドを使ってみて、ダメならやめるという楽観主義も必要」と話している。

KVHの成長戦略「情報デリバリープラットフォーム」

nakamura2901.jpg KVH ビジネス開発本部 マーケティング部 シニアスペシャリストの中村拓博氏

 米フィデリティグループにより1999年に設立されたKVHは、ITプロダクトやITソリューションをグローバルに展開するITサービスプロバイダーである。徹底的にクオリティを追求し、日本品質のサービスを提供。約1900社にサービスを提供しており、約1500社への顧客満足度調査では、導入までのコンサルテーションと導入後の運用で高く評価されている。

 KVHでは、金融業を中心に、製造業、流通業、IT関連企業などにサービスを提供。26カ国の国籍の社員が、各国の言語や文化にあわせた24時間×365日のサービスを提供している。アジア地域における「情報デリバリープラットフォーム戦略」について、KVH ビジネス開発本部 マーケティング部 シニアスペシャリストの中村拓博氏は、次のように語る。

 「情報デリバリープラットフォーム戦略は、データセンター、ネットワーク、クラウドの3つのコンポーネントで構成され、グローバルにサービスを展開。お客さまの重要なビジネスの保存、処理、保護、配信をサポートし、ヒューマンリソースやネットワーク、アセットを活用した総合的なマネージメントサービスの提供を目指している」

 KVHのデータセンターは、顧客企業のサーバ環境を構築するためのIT資産を預かり、コスト削減と人的リソースの負荷軽減を実現する。また拠点間をつなぐネットワークは、専用線、イーサネット、IP-VPN、インターネット接続など最適な接続を活用。クラウドでは、ストレージやセキュリティ、ファイアウォールなども含めたサービスを提供する。

 中村氏は、「世界各国に9カ所のデータセンターを展開しており、日本国内では東京と大阪にデータセンターを設置している。東日本大震災のあと、ディザスタリカバリーサイトを海外に設置することを考えているお客さまが増えており、海外データセンターを見学してもらったり、レイテンシを体感してもらったりしている」と言う。

 今後KVHでは、アジア地域を中心にデータセンターを拡大する計画。「単なるITサービスの提供ではなく、日本から海外に進出する企業、海外から日本市場に進出する企業に提供する日本品質のサービスを強化する」と中村氏。その一環として、従来の基幹網をサービス・デリバリ・プラット フォームに変えるSDN(Software-Defined Network)戦略を展開。第1弾として日本初の100Gイーサネット専用線サービスの提供を開始している。

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