「三菱商事の鈴木です」と言う自己紹介は世界標準ではありません!──グローバルに活躍する技術ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「belong to」から「I am」スタイルへ。世界標準のコミュニケーションを知っていれば、世界で通用するビジネスパーソンに大きく近づく。

» 2014年07月17日 08時00分 公開
[山中 俊之,ITmedia]
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 ビジネスの現場で、「三菱商事の鈴木です」のような自己紹介をしていないでしょうか。三菱商事は学生人気ナンバーワンの超優良大企業であるから取り上げました。決して三菱商事に悪意はあるわけではありません(三菱商事の皆さん勝手に使用して申し訳ありません、特に鈴木さん!)。

日本人の9割は正しい自己紹介を知らない――世界標準の仕事プロトコールの教科書

 このような会社名から入る自己紹介は日本国内では一般的なのですが、海外であれば実は×なのです。文法的に問題があるわけではありません。海外でも自己紹介の際に会社名を言うこと自体はよくあることです。

 問題は、自分の所属をまず言うことは個人・個性を大事にする世界標準のプロトコールと食い違いうという点です。プロトコルとは聞きなれない言葉ですが、コミュニケーション上のルールといった意味です。

 まず会社名を言うことを、「〜に属しています」の英訳から「belong to」スタイルと呼んでいます。

 一方、M&A専門の金融マン、システムエンジニア、○○の営業パーソンといった何者であるかがまずくるような言い方を、「私は〜である」の英訳から「I am」スタイルと呼んでいます。

 世界標準の「I am」スタイルのプロトコールでは、

 「わたしは鈴木健二です。健二と呼んでください。中東やアフリカでの資源開発を長く担当して資源・エネルギーのプロです。あっ会社名ですか? 会社は三菱商事です」

 が正しい自己紹介です。

 「belong to」スタイルから「I am」スタイルに変えることは、世界標準のコミュニケーションプロトコールのひとつです。さほど難しいことではありません。世界標準のプロトコールを知っていれば、世界で通用するビジネスパーソンに大きく近づくのです。

 この点は、日本企業社会が専門性を軽視したサラリーマン社会であることと無縁ではありません。実は、日本人の働き方とも密接に結び付いた大変に根深い問題なのです。

 よく言われる通り、日本人のビジネスパーソンは就職意識よりも就社意識が強いのです。そのため、「自らの専門性を高め、市場価値を高めよう」と思う代わりに、「社内でうまく立ち回ろう」となるのです。このような思考は、現在のグローバル競争が進むビジネス社会では致命的です。

 会社名や所属は名刺を渡せば済むのです。そんなことは後回しにして(あるいはごく短時間話すことにして)職務内容や専門性の話をしましょう。

 自己紹介においては、自分の専門性を効果的に表現することが極めて重要です。ビジネスでは何と言っても、「自分は○○の専門性があるのであなたに△△の分野において貢献できます」という点をうまくPRするがその後の業績に大きく影響します。

 例えば、

  • 新規プロジェクトを立ち上げて、5 億円の利益を出した
  • ○○研究所で△△について研究して、学会で発表した

などは、どんどんPRして良い内容だと思います。

 海外では会社人間ではなく、

  • 自分が何者であるか
  • 何の専門家であるか

を一言で表現することが大事だと思います。

 以下の英語表現を是非とも参考にしてください。

  • I am a trainer for business executives and own my company.

(わたしはビジネスエグゼクティブのトレーナーであり、自分で会社を持っています)

  • I am a financial expert and frequently contribute to financial magazines.

(わたしはファイナンスの専門家で経済雑誌に頻繁に寄稿しています)

  • I am a semi-conductor engineer and also hold a PhD.

(わたしは半導体のエンジニアで博士号ももっています)

  • I am an automobile salesperson and ranked first in sales last year in Japan.

(わたしは自動車の販売員で昨年日本で売り上げ1位になりました。)

  • I am a married mother of two children, and have recently created an e-commerce website on which I plan to offer miscellaneous goods from overseas in the future.

(わたしは2人の子供がいる主婦ですが、最近ネット販売のサイトを作り今後海外からの雑貨品を扱う予定です。)


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