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» 2014年08月27日 10時00分 UPDATE

勝ち組企業に学ぶ、究極の次世代経営モデルとは?

「失われた20年」という長いトンネルを抜けた日本経済は、ようやく次なる成長に向けた転換点にあるが、この20年のあいだにも成功を収めた、いわゆる「勝ち組企業」は存在する。一橋大学ビジネススクール教授の名和高司氏に彼らの秘訣や究極の次世代経営モデルについて話を聞いた。

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 「1990年代に入ると、経済は右肩上がりから非連続のカーブを描くようになった。それが“失われた20年”とそれ以前の最も大きな違いだ」と話すのは、三菱商事で働いたのち、マッキンゼー・アンド・カンパニーのディレクターに転身、現在は一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授を務める名和高司氏だ。

名和 高司 氏

一橋大学 大学院国際企業戦略研究科教授

東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクール修士(ベーカースカラー授与)。三菱商事に約10年間勤務。マッキンゼーのディレクターとして約20年 間コンサルティングに従事。自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。多様な業界において次世代成 長戦略、全社構造改革などのプロジェクトに幅広く従事。2010年6月より、一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)教授に就任。

ファーストリテイリング、デンソー、NECキャピタルソリューションズの社外取締役、味の素、ダイキン、リコー、BCGなどのシニアアドバイザー、 株式会社ジェネシスパートナーズ、ネクスト・スマート・リーン株式会社代表取締役を兼任。

「学習優位の経営」「失われた20年の勝ち組企業 100社の成功法則〜X経営の時代」など著書・寄稿多数。


140828nawa.jpg 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の名和高司氏

 ご存じのように'50年代から'80年代まで日本経済は右肩上がりの成長を遂げた。方向が見えていて、現場がしっかりとオペレーションを回していけば、確実にその努力が実った時代だった。しかし、非連続の世界では、どこに向かっていいのか分からなくなる。産業の構造が変わり、規制も変わる。先進国の経済は成熟し、新興国の目覚ましい発展が始まる。日本企業の多くが、「実験」しながらの手探り状態に陥る。

 「ためらいも生まれ、先が見えないがゆえに打ち手も遅れてしまった」(名和氏)

 ためらいつつ、成長の踊り場で待ってしまった企業、あるいは、上手くいかなくなってもそれまでの延長線でやり続けてしまった企業が「失われた20年」のあいだにその企業価値を失うことになる。

 一方、「失われた20年」のあいだにも、非連続のカーブをチャンスとして捉え、例えば、技術革新やITをツールとして取り込み、自らの業態も変え、新しい領域にチャレンジして成長を続けた、いわゆる「勝ち組企業」もある。

 「勝ち組企業の特徴は常に新しい領域に、チャレンジし続けていること。そこでは成功ばかりではなく、失敗も数多く経験している。しかし失敗から学び生かすことによって、他社よりも一歩も二歩も先んじていける」と名和氏は話す。

技術の蓄積がある日本のB2B製造業には底力がある

 そうした勝ち組企業の大半は製造業だ。売上高1000億円以上の企業を「失われた20年」の成長率(売り上げ、利益、企業価値など)で見ると、上位100社のうち75社を製造業が占め、さらにB2B企業が大多数であることが分かる。

 「製造業、特にB2Bの企業の多くは、しっかりとした技術がある。それらの技術の使い道や用途を引き出してくれるB2Cのパートナー企業を見極め、巧みに乗り換えていくことができれば、技術の蓄積が生きてくる。ユニクロのファーストリテイリングと組んだ東レなどはその典型だし、富士フイルムもそう。写真フイルムの市場が消えていく中、新しい領域に蓄積された技術を適用したら、10も20も新しい事業が生まれた。日本のB2B製造業には底力がある」(名和氏)

 新規事業や新商品の売り上げ比率が高いのも「勝ち組企業」の特徴だ。東レでいえば、炭素繊維のような全く新しい事業が大きな成長を遂げており、富士フイルムに至っては、99%の売り上げが新しい事業から生み出されている。

「事業モデル構築力」と「市場開発力」で新たな事業領域へ

 既に触れたように'90年代以降の構造変化期には、現場のオペレーションをしっかりと回していくだけでは通用しない。東レや富士フイルムのように事業転換を成功させ、成長を継続していくためには、どうすればいいのだろうか。

 もちろん、蓄積された技術によって新しい需要をいきなり創造するのは一筋縄ではいかない。日本企業は、現場のオペレーション力、つまり足腰は元々強いが、それだけでは非連続性の成長が見込めないからだ。

 名和氏は、元来日本企業が優れている現場のオペレーション力に、製造業でいえば、新製品を開発する「事業モデル構築力」と新しい用途を開拓する「市場開発力」という2つのエンジンを載せ、経営モデルを構造変化期に適応させていく必要があるとする。強力な経営者の変革力で非連続な成長を牽引するタイプなどと比べても、日本企業には適している次世代の経営モデルだという。

「ズラしのテクニック」が成長の鍵を握る

 「典型は、日東電工だ。同社は、技術面での新製品開発や市場面での新用途開発をひとつずつ進め、新需要創造につなげていく“三新活動”によって、世界シェアトップの商品が12以上もあり、売り上げの半分は5年以内に生まれた新事業が占める」と名和氏。

 例えば、同社は半導体製造などで使われる工業水を浄化する逆浸透膜のメーカーとして知られているが、日本の半導体産業が競争力を失うと、膜の洗浄や交換といった新しいメンテナンス技術を開発して事業の継続を図る一方、海水の淡水化という新しい用途を開拓、さらにはこの2つを掛け合わせ、水プラント・サービスマネジメント事業という、成長力があり、かつ持続性の高い事業モデルを確立することに成功する。

 市場と製品という2つの軸を設定し、それぞれ既存と新規と分け、成長戦略を4つの象限に分類したアンゾフの「成長マトリックス」についてご存じの読者も多いだろうが、日東電工の成長は、単なる戦略論ではなく、半世紀ものあいだ「三新活動」を地味だが丹念に、そしてブレずにやり続けた賜物だという。

 「大切なのは、同じ領域だけで学習し、改善を続けるだけでなく、新しい領域でオペレーション力を発揮してみようとトライし、そこから学ぼうとする目線。そのズラしのテクニックが成長の鍵を握る」と名和氏。この次世代の経営モデルを彼は「X経営モデル」と呼ぶが、領域をズラす「eXtension」の意味が込められているという。

 「バスケットのピボットターンと同じ。いきなり大きく変身するのではなく、軸足を動かさずに体を回転させることで確実に方向転換できる。技術の蓄積がある日本企業ならではの、地に足が着いたテクニックだ」(名和氏)

経営スピードを支えるテクノロジー

 名和氏が言う「X経営」では、スピード感も欠かせない要素だ。ビジネスを加速する際に生きてくるのが「経験知」。経験知が蓄積すればするほど、企業価値は高まる。

 限られた時間の中でより多くの経験知を蓄積するには、手っ取り早く始め、ラーニングカーブを素早く駆け下りていくスピード感が欠かせない。先進企業の背中が見えていた'60年代から'70年代の日本企業は強かったが、新しい領域にズラそうとしたとき、はたと止まってしまう。

 「経営スピードの本質は、極めて単純化して言うとアジリティだ。つまり、意思決定が速く、俊敏に動けるかどうかだ」と名和氏。

 顧客や市場から学び、スピーディーに商品やサービスを生み出していくシリコンバレー発のマネジメント手法、「リーンスタートアップ」が脚光を浴びているが、名和氏も、あまり練り込まずに先ずは「実験」してみることの大切さを指摘する。考え込むよりは、市場の方が正しく反応してくれ、そこから新たな現実が見えてくるからだ。「むしろ、勘や度胸は日本の経営者が得意だったはず。欧米流の戦略論を重視し過ぎて原動力がそがれてしまっている」と名和氏は苦笑する。

 しかし、ビジネスの意思決定は一発勝負ではない。

 「意思決定が間違っていたときにはすぐに切り返せたり、学んだことはすぐに生かせなければならない。そのフィードバックループを丹念に、しかもスピーディーに回すことがしたたかさにつながり、富士フイルムのような大企業でも全方位のアジリティで方向転換を成功させることができた」と名和氏は話す。

 1990年以降、経済が非連続のカーブを描く中、それを乗り切り、逆手に取るためのツールとしてITが大きな役割を果たしたのは、改めて言うまでもない。

 「技術革新、特にITが産業構造の変革や融合、新しい事業モデルの創造などを牽引している」(名和氏)

 例えば、クラウドを活用できれば、数十倍のスピードでフィードバックループを回すことができる。いかに状況に応じて柔軟に素早く対応できるかが大切で、一から作り上げ、個別最適化した従来のITのままでは、スピード経営は実現できない。ITをどう上手く使いこなすか、これからの経営はその勝負になっている」と名和氏は話す。

 しかし、企業の情報システムがすべて外部のパブリッククラウドに移行できるかというと名和氏は懐疑的だ。

 「企業内の情報システム構築が今すぐなくなることはない。しかし、すぐにスタートできて、あとから組み替えも自由に行えるというクラウドの良さを企業内のシステム構築にも取り入れることができれば、ビジネスに俊敏さをもたらす大きな武器になるに違いない」(名和氏)

 「失われた20年を乗り切った“勝ち組”企業のように、強みは社内にしっかりと作らなければならない」と名和氏は話す。

 企業が直面するさまざまな課題を解決するキーワードのひとつが「スピード」と名和氏は言っているが、そのスピード重視の経営に応える新たなテクノロジーとして登場したのが「統合型システム」だ。2010年から「Cloud Platform Suite」を提供するNEC は、「レディメイド型製品」というコンセプトを掲げ、ITで経営スピードを高めたい企業をサポートしている。

スピード重視の経営に応える新たなテクノロジー

 ビジネスの基盤となるシステムを導入する際には、設計・選定・調達・検証・設定・構築など、さまざまな工数が掛かる。このところ脚光を浴びているクラウドは、こうしたハードウェア調達にまつわる負荷を解消してくれるものだが、多くの企業では、セキュリティポリシーなどのさまざま制約からすべての情報システムをクラウドに移行することは難しい。

140828cps.jpg Cloud Platform Suite

 そうした場合の有力な選択肢が、サーバ/ネットワーク/ストレージ/運用管理ツールといったシステムの基盤を担うコンポーネントをあらかじめ構成した、オールインワン型の統合型システムだ。その構成は、ベンダー自身の導入実績に基づくベストプラクティスで、システム導入や運用にまつわるIT部門の負荷を大幅に軽減できるのが特徴。個別にシステム基盤を構築すると、初期導入に平均4.5カ月から6カ月ほど掛かるというが、事前に設計・構築・検証を済ませている「レディメイド」の統合型システム「Cloud Platform Suite」ならば、1.5カ月程度で済むという。IT部門は、業務部門が求めるシステムをスピーディーに提供でき、アプリケーションの開発やミドルウェアの構築などに注力できるようになる。

 統合型システムのもう1つのメリットは、ITの「共通化」「標準化」を実現していくための原動力となる点だ。既存情報システムの多くはサイロ化状態のままに仮想化され、運用の複雑性までは解消できていない。順次、統合型システムの共通基盤に集約していけば、ITリソースの利用や運用の効率化を実現できる。統合型システムの導入に向いているのは、こうした仮想化による全社システム基盤の統合を考えている企業ともいえる。

 既に多くのユーザーがCloud Platform Suiteの「スピード」やサポートに対する「安心感」を享受し始めている。その事例を2つ紹介したい。

 ある自治体では各課にシステムの運用を委ねていたことで、機器の環境やセキュリティ対策、障害対策などにばらつきがあり、基盤を共通化して全庁レベルでリソースの利用効率向上や業務効率化、コスト削減に取り組むことになった。住民情報を扱うため、クラウドへの移行は難しかったが、「レディメイド」によってわずか2カ月で共通基盤を構築、約90台のサーバを約20台に集約し、業務システムを順次移行した。セキュリティやバックアップ、障害対策のレベルも強化することができたという。

 また、ある大学の3カ年計画で約50の学内システム・約200台のサーバを共通基盤に統合するプロジェクト。新学期の履修登録など学生のシステム利用が急増するタイミングがあるが、基盤を共通化し、ITリソースをプール化することで、アクセスが集中した場合でも最適なリソース配分が行われ、安定したサービスを提供できるようになった。

 共通基盤は学内とNECのデータセンターを連携して構築され、そのベースはCloud Platform Suiteだ。やはり短期構築が可能な点や新サービスを迅速に提供できること、システムの柔軟性や俊敏性を確保できることが採用理由になったという。

 ITで経営スピードを高めたい企業の有力な選択肢、それがベンダーの知見が投入された統合型システムだ。加えて、真の意味での仮想化のメリットを引き出し、将来のクラウド活用に備えて準備もしていける。「レディメイド」を掲げたNECのCloud Platform Suiteは、その助けになり得るはずだ。

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2014年9月30日

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