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» 2014年11月20日 08時00分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:葛藤を引き受ける覚悟がリーダーを成長させる (1/2)

急成長企業では優れたリーダーの人数が業績向上の確度を決める。次世代リーダーの育成に向けリーダー自身は果たして何をすべきなのか?

[水谷 健彦,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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急成長企業の内部にいた当事者としての実感値

141120book.jpg 急成長企業を襲う7つの罠

 今年10月に拙著「急成長企業を襲う7つの罠」を上梓しました。私自身が創業1年目のリンクアンドモチベーション社に参画し12年間在籍するなかで、株式上場やリーマンショック、M&Aなどさまざまな局面を経験しました。また組織コンサルティング事業の責任者として多くのクライアントとプロジェクトをともにしてきました。この事業責任者とコンサルタントとしての経験を重ね合わせ、急成長企業が抱えがちな組織課題を「7つの罠」として整理しています。

 同書には急成長企業の内部にいた当事者としての実感値をまとめましたが、本稿では第7章で取り上げた「リーダー育成を遅らせる形骸化した権限委譲」にフォーカスしたいと思います。

決断できない次世代リーダー達

 急成長企業の拡大過程において、次世代を担う幹部候補たちに権限委譲を進めるステージを迎えるタイミングがあります。このステージに突入するというのは基本的にポジティブな環境で、会社全体がうまくいっているときに行われる意思決定です。

 権限委譲=決断する権限を持つことになりますが、委譲する立場の人間は「これまでも間近で決断を見てきたから、彼や彼女にもできるだろう。もちろん多少の苦労や失敗はあると思うが、どんなリーダーに成長してくれるか楽しみだ」というスタンスで臨み、委譲される本人たちもこれからの可能性に胸躍らせ、より高いモチベーションで仕事に取り組むわけです。

 ですが数カ月後、上司たちは次世代リーダーたちに事前の想像以上に「せっかく権限委譲したのだから、そのレベルのことくらい相談に来ずに自分で決めなよ」という気持ちを抱くことになります。

葛藤経験の圧倒的な差

 急成長企業をこれまで牽引してきた幹部たちと抜擢された次世代リーダーとの決定的な差はこれまで葛藤し、そして決断してきた回数です。次世代リーダーとして期待されるメンバーがしてきたことはどちらかというと「要望」であり、それは決断のように見えますが大きく異なるものです。

 例えばリソース(人員増加や投資予算など)の確保。「来年度の目標達成に向け5名増員が必要です」「本年度の○○予算は5千万円必要です」と自部署の要望を稟議にあげ、判断を仰いできたのです。経営とは限られたリーソス(時間、人材、資金)をどのように配分し、最大の成果を得るかという営みですから、大抵の決断には何かとのトレードオフが発生します。○○予算を3千万円で計画していたのに5千万円に増額した瞬間、何かを減らさねばならない(例えば採用計画)。何かの決断によって何かを失うわけですが、次世代リーダーたちは実はその決断の近くにいたものの、その葛藤や緊張感を引き受け自分で決断するという経験を重ねていません。

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