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» 2015年03月20日 08時00分 UPDATE

経営トップに聞く、顧客マネジメントの極意:幼児教育においてぶれない信念を持ち、顧客であるお母さんに気付きをもたらす (1/2)

日本だけではなく、中国、シンガポール、ベトナム、タイ、バンコクなどアジアを中心に13の国と地域に教室が広がっている。成果が見えにくい幼児教育の分野でここまで広まった背景にはどのような信念、取組みがあったのだろうか。

[聞き手:井上敬一、文:牧田真富果,ITmedia]

 七田眞氏が七田式教育を提唱し、株式会社しちだ・教育研究所を創業。現在は七田眞氏の息子である七田厚氏が社長を務めている。七田式のオリジナルメソッドに幼い子どもを持つお母さんたちからの共感が集まり、現在では全国に430もの教室を構え、海外へも展開している。顧客満足という観点において、はっきりとした成果が見えにくい幼児教育の分野。七田式教育がここまで広まった背景にはどのような信念、取組みがあったのだろうか。

落ちこぼれない子、思いやりのある子を育てる七田式教育

1503201.jpg しちだ・教育研究所 七田厚社長

井上:七田式教育は日本のみならず世界にも展開し、広く認知されています。具体的にはこれまでにどのような取組みをしてきたのか教えてください。

七田:七田式教育の創始者は私の父である七田眞です。1978年(昭和53年)に創業しました。父が幼児教育について書いた本の読者が共感し、子育てについて教えてほしいという要望から始まりました。最初は手紙の通信教育を始め、お母さんからの子育て相談を受けていました。

 幼児教育の通信コースを作り、子どもの成長に合わせて、お母さんが何をすればいいのかを教える教材もあります。教室ができたのは、1988年です。それから27年が経ち、今では全国に約430教室を展開しています。日本だけではなく、中国、シンガポール、ベトナム、タイ、バンコクなどアジアを中心に13の国と地域に七田式の教室が広がっています。

井上:七田式教育はどのようなことを目指した教育なのですか。

七田:よく「天才児が育つ教育」と言われることがありますが、それはあくまで結果であって、目指しているものではありません。目指しているのは、小学校に上がっても勉強についていける基礎学力を身に付けることです。昔から言われていることですが、「読み・書き・そろばん」をしっかりやっていきます。

 基礎学力だけではなく、「心」を育てるのも七田式教育の特徴です。思いやりがあり、人の気持ちが分かる子を育てたいという思いで取り組んでいます。子育ては究極の人材育成です。将来、子どもたちに生き生きとした人生を歩んでもらうために七田式教育はあります。小学校に上がるまでに基礎的なことを身に付けることで、自分の好きなものを深められる土台を作ってあげるんです。

お母さんが変わらなければ、子どもは変わらない

井上:幼児教育事業では、顧客は具体的に誰になるのでしょうか。

七田:小学校に上がる前の未就学の子どもを育てるお母さん、お父さんが顧客ですが、特にお母さんです。子どもの素質をうまく引き出すためには、良好な親子関係が必要不可欠です。子どもが言うことを聞かないというお母さんの悩みの裏には、お母さんと子どもの信頼関係が壊れかけているという問題があったりします。

 どんな親も子どもに幸せになってほしいと思っているでしょう。これはすべての親の共通の願いです。健康であってほしい、人に好かれる子どもであってほしい、学校の勉強ができる頭のいい子であってほしい…さまざまな願いがあると思います。子どもの幸せのベースには、良好な親子関係がなくてはなりません。そのために、私たちは親子関係をよりよいものに導くための商品や教育サービスを提供しています。

井上:子どもの幸せを願っているようで、自分の願望を押し付けてしまうお母さんも多いと思います。幼児教育で大切なのは、お母さんの教育ですよね。

七田:その通りです。子どもに教えるといいながら、裏テーマはお母さんの教育です。教室に通っていても預けっぱなしでは成果は見えにくいと思います。6カ月から未就学の6歳まではお母さんが一緒に教室に入ってもいいことになっていて、ともにレッスンを受けることができます。そうすると、「私が変わればよかったんですね」とお母さんの方から気付いてくれることがあります。

 お母さんが変われば、子どもは確実に変わります。かといって、お母さんに「あなたが変わらないといけないんですよ」と言ってはいけないのが難しいところです。お母さんは、子どものために何かしてあげたいと思っているので、自分が変わらなければいけないとは思っていません。そのことを直接言わないで、いかにお母さんに気付いてもらうかが腕の見せ所ですね。

重要なのは、子どもとの向き合い方をお母さんに学んでもらうこと

井上:ただ単に顧客の要望やニーズを満たすだけでは、ここまで七田式の教育法が広まることはなかったと思います。七田式の信念に基づいたカリキュラムが顧客であるお母さんの成長を促すものだったからこそ、たくさんの人々に受け入れられたのですね。要望やクレームはどのようなものがありますか。

七田:表面的なニーズや要望はクレームや継続率に表れます。ご要望をいただいたときは、顧客との信頼関係を築くためにもきちんと応えていかなくてはなりません。クレームは通信販売に多いのですが、その対策にも注意を払っています。1カ月に2000〜3000個もの大量の教材を発送しているので、どうしてもミスが出てしまいます。クレームが来たときには、それをすべてクレームレポートとしてまとめ、私もすべてチェックしています。

 商品の発送ひとつをとっても、教材がきれいに包んで送られてきたとか、一言うれしいメッセージが添えられていた、昨日電話して今日届いたというように予想を超えて初めて感動してもらえます。

井上:七田式教育の信念のようなものがすべてに行き届いている感じがします。

七田:私たちの教育法は、そのままで100点とみるということが根本にあります。子どもと向き合うときは、今の状態をすべて認めて受け入れるのです。受け入れているからこそ、厳しいことを言われても愛を感じ、言われたことを受け入れることができるのだと思います。子どもをそのままで認めて受け入れることで信頼関係を築くことができます。

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