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» 2015年03月25日 08時00分 UPDATE

2020年に向け東京を世界一魅力的な都市に――「NeXTOKYO」 (1/2)

2020年に開催される東京オリンピック&パラリンピック。この機会に東京にどんな投資を行い、将来の発展につなげるか。「世界から人材・資本が集まり、世界と共創するTOKYO」をテーマとする、東京の将来都市ビジョンを紹介する。

[山下竜大,ITmedia]

 「2020年 東京オリンピックに向けたビジネス機会」をテーマに開催された早稲田大学IT戦略研究所主催「エグゼクティブ・リーダーズ・フォーラム」に、A.T. カーニー 日本法人会長/パートナーの梅澤高明氏が登場。「NeXTOKYO」プロジェクトの構想を紹介しながら、「2020年 東京に到来するビジネスチャンス」について講演した。

2020年に向けどのような東京を創るか

150325umezawa.jpg A.T. カーニー 日本法人会長/パートナー 梅澤高明氏

 NeXTOKYOは、2014年春に梅澤氏を含む有識者8人でスタートした、東京を世界一魅力的な都市に進化させるためのプロジェクト。梅澤氏は、「2020年に向けてインフラづくりに投資するだけでは意味がない。成熟都市TOKYOが直面する課題を解決しつつ、世界に開かれた魅力的な都市にいかに進化するか。そして将来の経済成長にいかにつなげることができるか。これから数年で起こる関連投資を、これらの方向に振り向けることがプロジェクトの狙い」と話す。

 TOKYO2020の経済効果について、様々な調査機関が予測を発表している。4社の調査結果をGDP換算して最大値・最小値の巾で見ると、2013〜20年までの7年間で計3〜9兆円の追加GDPの想定となるという。インパクトが最も大きいのが建設分野で1.5〜5兆円規模。次に交通インフラ分野が0.6〜1.7兆円規模、観光分野の0.2〜1.0兆円規模、その他が0.4〜1.0兆円規模だ。

 この分析について梅澤氏は、「全分野を足し上げても年換算ではGDPの0.1〜0.2%程度の経済押し上げ効果。従って、これら既存産業の需要拡大だけでは巨大なインパクトとは言い難い。2020年以降につながる新しい産業、新サービスをいかに創造できるかが、大きなポイントになる」と語る。

 それでは、2020年とその先を見据えて、どのような東京を作っていくべきなのか。NeXTOKYOの基本コンセプトは「世界から人材・資本が集まり、世界と共創するTOKYO」。これを実現する柱として、「Fitness City」「Creative City」「Information City」の3つを掲げている。

ウェルネス増進と水辺の有効活用を狙うFitness City

 「Fitness City TOKYO」では、高齢化が進む都市のウェルネス増進を目指す。ポイントは徒歩・自転車で動ける水辺のゾーンや緑地帯の整備だ。

 一つ目のテーマが東京湾周辺(TOKYO Bay)の再開発。ロンドンのテムズ川やシンガポールのマリーナ・ベイの例にあるように、ウォーターフロントは国際都市の魅力を高める上で重要な役割を果たす。東京湾周辺にランニングや自転車コースを作り、インナーハーバーやレインボーブリッジを巡る環状コースを整備。世界的なサイクルレースを誘致したり、東京マラソンのコースに組み込むことを提唱する。

 また湾岸の一部区画には、ヨットハーバーを持つホテル・レジデンス、高級商業施設などを建設。多言語でのサービスを組み込んだ世界の富裕層向けのエリアに再開発することを提案する。さらに梅澤氏は、「東京湾を巨大なエンターテイメントの舞台にしたい」と話す。

 「洋上にメガフロートの施設を建設し、音楽祭や映画祭を開催。海上には人口の霧を発生させて、プロジェクションマッピングを投影したり、様々なイベントに活用する。大きな東京湾を有効活用することで、世界でもっとも魅力あるウォーターフロント・ゾーンを実現したい」(梅澤氏)。

 もう一つのテーマが、湾岸から皇居、神宮外苑、新宿御苑、代々木公園をつなぐ徒歩・自転車用の緑地帯「グリーンネットワーク」の整備。ニューヨーク市では、「ハイライン」と呼ばれる空中緑地公園の開発が、マンハッタン活性化の一つの切り札となった。ハドソン川沿いの旧貨物線を公園として再開発したものだが、商業施設が集積し、市民や観光客が集まり、周辺の地価上昇のドライバーにもなっている。

 「この数年で首都高速道路のリモデルや地下化が検討されているが、すべてを取り壊すのは効率的とはいえない。たとえば首都高速道路の4号線の一部を残し、東京版ハイラインとして、人と自転車が利用する空中公園にすることを提案している」(梅澤氏)

世界一魅力的なCreative Cityをつくる

 「Creative City TOKYO」では、世界からクリエイティブな人材が集まる都市、クリエイティブ産業のグローバルハブへの進化を目指す。梅澤氏は、「東京にはすでに、ファッション、食、メディアコンテンツ、デザインなど、世界に誇る様々なクリエイティブ産業の集積がある」と話す。今後さらに世界から人材と資本を集め、アジアナンバーワン、世界ナンバーワンのクリエイティブシティの実現を目指している。

 このとき鍵になるのは、ゼロから新しいものを作るのではなく、例えばファッションの原宿・渋谷、アートの六本木、サブカルの秋葉原、伝統文化の浅草・両国・日本橋など、それぞれの街が持つ文化的エッジをさらに強化し、関連のクリエイティブ産業を集積していくことだ。加えて、観光のデスティネーションとしても、それぞれの街の魅力をさらに高めて行きたい。

 「それぞれの街で、様々なデベロッパーがエリアの再開発案件を手がけている。しかし、街ごとの方向付けをしないで再開発を進めると、東京中に同じような中身の"ミニ六本木ヒルズ"が乱立しかねない。それでは魅力的な都市にはならない。それぞれの街で、そこでしか見ることができないものが集まっていることが重要である」(梅澤氏)。

 それほど大きな投資をせずとも、街の魅力を高める様々な取組みが可能だ。たとえば原宿では、街とショッピングのガイドを行うチーム「kawaiiディレクターズ」を組成する。原宿の先端的ファッションを身にまとい、多言語対応で訪日客をアテンドする女性達のチームだ。

 渋谷の円山町では、営業を止めたラブホテルをアートホテルにリモデルすることを提案する。米Ace Hotelのように、地元の若手デザイナーやアーティストを起用して、一般の観光客が手頃な価格で宿泊できるホテルにリノベーションする案だ。梅澤氏は、「若手アーティストを起用して、治安のよくないエリアをクリエイティブな街に再生する事例が海外にも多数ある」と言う。地元のクリエイティブ・コミュニティが日常的に集まる場所になることが、これらの再生案件の成功の鍵だ。

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