「任せ方の教科書」〜部下を動かし成果を上げる「任せ方」とは〜ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(3/3 ページ)

» 2015年07月02日 08時00分 公開
[古川裕倫ITmedia]
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経験の浅い部下への指示は複数のステップに分けて出す

 仕事の完成形や流れを教えたからといって、経験の浅い部下に「後は任せた」と丸投げしていいわけではありません。相手の能力や仕事への慣れ具合も踏まえ、適切な指示を出すことが必要です。

 例えばパワーポイントで資料を作成させる場合は、まず「A4用紙1枚に、手書きで資料全体のストーリーを作ってみよう。できあがったら見せるように」と伝えます。部下が作ったものを確認して問題なければ、「次はパワーポイントに落とし込んでほしい」というように、2段階に分けて指示するのです。

 調べ物をしてレポートを作成してほしいなら、「○○について5年間のデータを集めてほしい。続きはデータが集まったらそれを見ながら話し合おう」、新しいプロジェクトを検討するなら「まずこのプロジェクトを推進する場合のメリットとデメリットを上位5つずつ挙げてみよう」などというように、まずは中間地点までの指示を出し、それができたら次の指示をするのが現実的なやり方でしょう。

 大きな仕事であれば、複数のステップに分けてもかまいません。大切なのは、プロセスを分けて指示を出し、途中でチェックしてやることです。

 経験の浅い部下に指示を出す際、簡単なメモを作って部下に渡しておくのもいいと思います。私のかつての上司は、指示を出す際にA4の4分の1サイズの紙に指示を書いたメモを渡してくれたものでした。右も左もわからない新人だった私は、そのメモを頼りに仕事をしたものです。

メモを渡しておくと、部下への指示が明確になるだけでなく、指示の行き違いも防ぐことができます。

 ほかにも「まずはたたき台を作ってほしい」と少しレベルを下げる方法や、「中身は違うがこの書類を参考にしてみて」と前例を見せる方法などもあります。リーダーが指示の出し方を少し工夫するだけで、部下は安心して仕事を進められるようになるのです。

 いかがでしょうか。どれもすぐにできる具体的な方法ですので、仕事の任せ方に悩んでいる上司、リーダーの方にぜひ一度試してみてもらえればと思います。

著者プロフィール:古川裕倫(ふるかわ ひろのり)

1954年生まれ。早稲田大学商学部卒業。1977年三井物産株式会社に入社し、エネルギー本部、情報産業本部、業務本部投資総括室にて23年間勤務。その間、ロサンゼルス、ニューヨークに通産10年駐在。2000年から2007年まで株式会社ホリプロの取締役を務める。

現在、株式会社多久案代表、日本駐車場開発株式会社社外取締役、情報技術開発株式会社社外取締役。「先人・先輩の教えを後世に順送りする」「日本と世界の小さな架け橋になる」を信条に、2008年から塾長として「世田谷ビジネス塾」(無料読書会+交流会)を定期的に開催している。また、最近は「女性幹部を目指す人のために志と人間力を磨く場と機会を提供する」一般社団法人彩志義塾を設立。2013年より女性幹部を目指す女性社員向けの私塾である『女性社員のための「立志塾」』および講演活動に従事している。

著書に『他社から引き抜かれる社員になれ』(ファーストプレス)、『課長のノート』(かんき出版)、『「バカ上司」その傾向と対策』(集英社新書)、『コーチング以前の上司の常識 「教え方」の教科書』(すばる舎)、『女性を活用できる上司になる』(扶桑社)など多数。


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