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» 2015年08月17日 08時00分 UPDATE

視点:次世代メンテナンスのあり方 (1/3)

保全の対象である設備・インフラが時代とともに大きく進歩してきたように、保全方式も進化を遂げてきた。原始的で無駄の多い手法から、よりハイテクで効率的に進化してきた保全方式は、大きく3つの世代に区分される。

[中野大亮(ローランド・ベルガー),ITmedia]
Roland Berger

1. 保全体制のダイナミズム

 全ての企業において、コスト削減と高い利益率確保は重要な課題である。自明ながら、どれだけ売上が多額であってもコストが嵩み、利益を確保できなければその企業は成長していくことができない。特に、大規模な施設・資産を持つ企業にとって、その維持費はコストの多くを占めるため、会社の存続を左右する重要な要素となり得る。そのような中、設備の維持費削減及び耐用年数延長に資する保全方式が大きく進化しており、注目を集めている。

 保全の対象である設備・インフラが時代とともに大きく進歩してきたように、保全方式も進化を遂げてきた。原始的で無駄の多い手法から、よりハイテクで効率的に進化してきた保全方式は、大きく3つの世代に区分される。(図A参照)

106a.jpg 保全方式の流れ

 1940年代からはじまった保全体制の第一世代では、故障後に保全を行う事後保全(Reactive Maintenance)が一般的であった。人の手作業で行われる、原始的なものだ。事後保全はその性質上、設備の故障を回避することはできないが、設備が大型化し、生産システムが複雑化していく中で、設備の故障による生産の停止や操業度の低下が大きな損失をもたらすようになっていった。

 そこで、故障による設備稼働率の低下を回避するために、故障の発生前に保全を行う予防保全(Preventative Maintenance)が提案され、1960年代から1970年代にかけて、事後保全に代わって保全体制の第二世代である予防保全が主流となっていった。予防保全では、故障の有無に関係なく定期検査・修繕を行う時間基準保全(Time-based Maintenance) が主な手法である。この予防保全の導入により、故障による設備稼働率の低下の一部回避や、設備の耐用年数延長に成功した。しかし、その一方で保全の必要がない設備に対しても点検・修繕を行うために保全コストがかさみ、ロスが大きいという問題を孕んでいた。

 このような問題を解決するために生まれたのが、保全方式の第三世代である、予知保全(Predictive Maintenance)、積極保全・改良保全(Proactive Maintenance)、そして信頼性中心保全(Reliability-centered Maintenance/以後RCM) である。これらの保全方式では、センサネットワークや状態監視システム、データ分析に基づく故障予兆診断によって保全を行う状態基準保全(Condition-based Maintenance/以後CBM) が主な手法となる。センサや、ビッグデータ処理をはじめとした最新技術の使用が、高度に効率化された保全を可能にし、このような保全方式は1980年代から現在にかけて広がっている。

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