お客さま目線の徹底した顧客満足の追及によって、社会も会社も豊かになる気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(2/2 ページ)

» 2015年08月19日 08時00分 公開
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三原氏(左)と聞き手の中土井氏(右)

中土井 売上利益の最大化を目的にしているのは、ビースタイルとしてどのようなことを成し遂げたいからなのですか。

三原 売上が増え、組織が大きくなるということは、世の中に何か新しい価値を提供できているということだと思います。売上規模に応じて、社会的影響力は大きくなります。売り上利益を最大化することは、私たちの会社の役割である雇用創造において、影響力を大きくすることに直結しているんです。

 どんな会社にも、社会的役割があります。すべての会社が売上利益の最大化だけを目指しているわけではありません。もし、売上利益の最大化だけを目的にしている会社ばかりなら、利益率の高い流通業と金融業に集中することでしょう。でも、現実はそうではないですよね。それぞれの会社が誰を喜ばせたいかを考えて、それぞれの役割を担っています。そんな社会の中で、私たちが担うべき社会的役割は、雇用創造という分野です。

社会とビースタイルの接点をデザインする

中土井 女性の活躍に特化したのは、時代の風潮以外に何か理由があるのですか。

三原 私個人に女性を輝かせたいという女性プロデュース欲求のようなものがあるからだと思います。女性がいきいきと美しくなることが単純に好きなんです。まだまだ改善の余地がある分野だからこそ、女性のライフスタイルの研究、キャリアの研究はすごくおもしろくて没頭してしまうこともあります。人材サービスの分野で、AKBプロデューサーの秋元康さんになりたいですね(笑)。

 社員一人ひとり、情熱を持つポイントは異なりますが、お客さまの期待に応え続けることでチャンスを増やしていくという自己表現の方法は誰にでも当てはまることです。ビースタイルでは経営理念として「かかわるすべての人と、しあわせに」を掲げ取引先、サービスを利用してくださるユーザーの方々、同じ会社で働く仲間、関わったすべての人に何かしらの価値を提供しようといつもいっています。

中土井 期待に応え続けることで、会社の新たなステージがどんどん用意され、急成長してきたのだと思います。期待に応えたいという気持ちがあるからこそ、UXを徹底的にコントロールしようと取り組まれているんですね。

三原さんにとって組織マネジメントとはどういったものだと捉えているのでしょうか。

三原 マネジメントは、お客さまへの望ましいUXの実現、売上げ利益の最大化のために必要なものだと考えています。しかし、組織マネジメントは、お客さまのUXに直接関係するものではありません。もし、組織マネジメントが必要なくなり、そこにかかっていた費用をお客さまに還元できるとしたら、その方がいいのです。

 しかし、実際には組織マネジメントがなくては、規模を拡大することはできませんし、お客さま満足度を向上させることもできません。お客さまの期待に応え続け、目的を達成するためには、組織マネジメントは必要なものです。UXを最大化する組織のあり方をこれからも模索し続けていきたいと思います。

対談を終えて

 人口減少による代替労働力の確保や、結婚や出産後の女性のキャリアダウンという時代の流れに伴う課題を冷静に捉えられている理性的な側面と、UXを最大化したい! 女性をプロデュースしたい! という理由のない衝動ともいえる感性的な側面が合わさることによって、三原さんの事業家としての成功を可能にしてきたという点が非常に印象的でした。

 翻って組織マネジメントという側面で見たときに、組織マネジメントを第一義においているというより、ハイキャリアの女性派遣社員の方々と、その彼女たちのタレントの価値を享受するお客さまに向かって組織全体で注力しているという印象を受けました。それは、まるでタレントである芸能人とそのタレントを見て楽しむ観客に向かって、芸能プロダクションの社員の人たちが全力を尽くしている姿に似ているように思います。

 三原さんご自身が秋元康氏の名前を挙げられたのは、決して偶然ではないような気がしました。

プロフィール

中土井 僚

オーセンティックワークス株式会社 代表取締役。

社団法人プレゼンシングインスティテュートコミュニティジャパン理事。書籍「U理論」の翻訳者であり、日本での第一人者でもある。「関係性から未来は生まれる」をテーマに、関係性危機を機会として集団内省を促し、組織の進化と事業転換を支援する事業を行っている。アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア株式会社)他2社を通じてビジネスプロセスリエンジニアリング、組織変革、人材開発領域におけるコンサルティング事業に携わり2005年に独立。約10年に渡り3000時間以上のパーソナル・ライフ・コーチ、ワークショップリーダーとしての活動を行うと共に、一部上場企業を中心にU理論をベースにしたエグゼクティブ・コーチング、組織変革実績を持つ。


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