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» 2015年09月16日 08時00分 UPDATE

気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀:優れた個人が集まり、コラボによってより大きな成果を発揮する (1/2)

優れたチームは、主人公だけがすごくて万能の1人が他を率いているわけではない。それぞれが能力を発揮し、コラボレーションすることでさらに大きな力が生まれる。

[聞き手:中土井僚(オーセンティックワークス)、文:伊達直太,ITmedia]

 スカイライトコンサルティングは、システム導入や業務改革・新規事業立ち上げなどを行うビジネスコンサルティング会社。クライアントの企業規模は大小さまざまであり、業種も、サービス、小売、製造、情報通信と多岐に渡る。優れた人材を集め、育て続けるためには、コンサルタントたちが能力を発揮しやすい環境が不可欠。羽物俊樹代表が理想とする組織の形と、そのためのマネジメント術を聞いた。

案件の説明会を開き、自らの意思で参加する

150916habutsu1.jpg スカイライトコンサルティング 羽物俊樹代表

中土井 クライアントの規模や業種が異なる場合、案件に合う専門チームを作る必要があります。スカイライトコンサルティングの組織図はどのようになっているのですか?

羽物 当社には、とくに組織図というものがありません。社長や経営陣をトップとして、その下に分野や業種で分けた複数の部、課、係などが並ぶピラミッドを形成するのが一般的ですが、当社にはその部署にあたるものがなく、経営層の下は、100人超のコンサルタントが「ひとかたまり」になっています。また、そのかたまりの中では特定の上司・部下の関係はありません。コンサルタントは基本的には対等で、個々に独立して能力を発揮しています。

中土井 では、プロジェクトチームはどのように編成されるのですか?

羽物 案件を受けたマネジャーがコンサルタント向けに説明会を開きます。クライアントのニーズや業務内容などを説明し、その案件に関わりたいコンサルタントを募るのです。分かりやすくいうと、経済学における需要と供給のような関係ですね。案件という需要に対して、興味がある人、自分の能力を発揮できると思う人が挙手します。マネジャーは、その中からメンバーを選びます。コンサルタントにはどのプロジェクトチームに参加するのか選択権があるのと同時に、マネジャー側にもどのコンサルタントとプロジェクトを進めるのか選択権があります。

中土井 組織形態も仕事の進め方もフェアに設定されているわけですね。そこに会社の規模が大きくなった要因があるのかもしれません。2000年に羽物さんを含む6人の取締役でスタートし、この15年で120人規模の企業になっています。会社の規模が小さいほど、採用に苦労するという現実がある中で、この成長は私にとって大きな驚きです。

羽物 確かに採用は中小企業にとって課題といえます。とくにコンサルタントという職種を選ぶ人には、定年まで同じ会社で勤め上げようと最初から思っている人は、まずいません。ある程度のキャリアを積んだところで転職する、独立するなどの志向の人が多いです。実際、私も前に勤めていたコンサルティング会社を辞めて、この会社を立ち上げました。

 そうなると終身雇用前提ではなく、いかに会社に定着してくれるかがポイントになります。15年やってきて気づいたことは、この会社でやりがいのある仕事ができるかどうかが一番効くようです。

 やりがいは、人それぞれです。それをちゃんと聞いて、満たしていこうとすると、コンサルタントにとってすぐに辞める必要性は小さくなります。組織をピラミッド型にせず、自主的に仕事を進めてもらう仕組みは、やりがいを重視するコンサルタントに評価されているのだと思います。自分の意思で行動するので、仕事、仲間、会社に対するエンゲージメントも強くなります。

 会社の規模が大きくなったのは、その結果といえるでしょう。ウチは規模拡大第一義とした人数重視の採用はしていません。コンサルタントですから、その能力を持ち合わせた人の採用にこだわる必要があります。そうすると、たくさんは採用できません。そのような状況で、やりがいもって充実して働けるということを続けた結果として会社が大きくなったのかなと思っています。

優れたチームは、万能の1人が率いているわけではない

中土井 独立した個人が、必要に応じてチームを作るという発想はどこから生まれたのですか?

羽物 原点としては、過去に読んだ伊丹監督のインタビュー記事でしょうか。「マルサの女」を監督するにあたり、実際に査察官を取材した時のことが書いてありました。その記事によれば、査察官は300人ほどいて、個人として非常に能力が高い。普通、300人もいると多少はボンクラがいるものですが、査察部にはそんな人はいなくて、みんなすごい人ばかりだそうで。そして、脱税案件を1人で担当するのではなく、案件ごとにチームを組みます。その結果、例えばある人はお金の隠し場所を探すのがうまい、ある人は帳簿の嘘を見抜くのがうまいといった能力が合わさり、より大きな成果が生まれます。

 これはすごい組織だなと。その様子を想像した時に、自分が会社を作る際にも、そういう組織にしたいというイメージを持ちました。300人の査察官が必要に応じてチームを組むという形は、当社の「100人ひとかたまり」の原型ともいえます。

 また、そのイメージを持って世の中を見てみると、優れた個人がコラボレーションしている組織が数多く存在していることに気づきました。例えばサッカーチームは、選手がそれぞれ自分の能力を高めるとともに、チームワークによって大きな力を生み出しています。芝居もそうですよね。ルパン三世と仲間たちのチームも、ワンピースのルフィと仲間たちも、「優れた個人とその他の人」ではなく、それぞれが能力を発揮し、コラボレーションしています。強いチーム、優れたチームは、主人公だけがすごくて万能の1人が他を率いているわけではないのです。

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