虫の目、鳥の目、歴史の目で見る世界情勢――5年後だけでなく30年後も見据えるNTT DATA Innovation Conference 2016リポート(2/2 ページ)

» 2016年02月25日 08時00分 公開
[山下竜大ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 イランとサウジアラビアの問題も、世界に大きな影響を及ぼすことになる。さらに米国と中国も、太平洋の統治をめぐり緊張が高まっている。その中国は、国内の問題や経済の問題、軍の改革問題など、さまざまな国内問題も抱えている。中国は今後も要注意だが、米国も決して安泰ではない。どこが世界の中心になるのかが目が離せない状況である。

 日本も2020年のオリンピックに向け、競技場やロゴマークをはじめ、問題が山積である。どの国も世界全体を統治できる力を持っていないのが、世界を不安定にさせている要因といえる。こうした背景のもと企業は、3年後、5年後の短期的計画だけでなく、20年後、30年後の会社や日本、世界がどうなっているのかも考えておくことが重要になる。

日本人捕虜が建てたオペラハウス

 昨年、私は第2次世界大戦後、シベリアに抑留された日本人捕虜が、当時ソ連領であったウズベキスタンのタシケントに派遣され、「ナボイ劇場」を完成させて帰国するまでのノンフィクション「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」を上梓した。

 延べ457人の日本人捕虜の誇りと日本の「ものづくり」の技術力を生かして建築したナボイ劇場は、1966年4月に発生した大地震でタシケント市が全壊したときにもビクともしなかったことから、いまや旧ソ連の4大オペラハウスのひとつと呼ばれ、ウズベキスタンの誇りとなり、さらに親日の象徴として愛され続けている。

 地上3階、地下1階、1400席の美しいビザンチン建築のオペラハウスは、困難だと思われた期限にも間に合い、日本人に敬意を表するきっかけになった。今では人口も増加し経済成長著しい中央アジア5カ国は、1億人の市場に膨らみつつあり、ロシアから独立した90年代には日本を目標に建国している。日本がなぜモデルの国として考えられたのか。それは敗戦後にウズベキスタンで捕虜となった日本人の働き方、生き方、誇りを失わず地域の人と交流したからだ。

 嶌氏は、「世界のいろいろなところで日本人のすばらしさが称賛されている。困難な状況下においても、団結力があり、正しい判断をし、適切な行動ができる民族であるということを、いまいちど思い出し感じてもらえればありがたい」と締めくくった。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆