連載
» 2016年07月20日 08時00分 UPDATE

ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略:中川政七商店が考える、日本の工芸が100年先も生き残る道とは? (5/5)

[伏見学,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

産地の「一番星」を作り、観光客を呼び込む

大薗: 今後の展望について教えてください。

中川: 日本の工芸を元気にするために、今取り組んでいるのは、産地ごとにマルヒロのような「一番星」を作ることです。これができると2番手、3番手が出てきて、結果的に産地全体の底上げになります。

 産地を盛り上げるためには、「旅」も重要です。産業観光と言うと富岡製糸工場みたいな文化遺産への観光をイメージしがちですが、例えば、新潟県の燕・三条で開かれている「工場の祭典」には数万人が押し寄せているのです。モノ作り現場を見た観光客は皆、商品を買っています。これが工芸の生き残る最後の道だと思っています。

 そのためには観光客に来てもらわないといけません。たとえ素敵な木造の工房を作ったところで、そのためだけに来るのはただのマニアです。地元のおいしい野菜を使ったレストランや良い宿がそこにあってこそ、初めて訪れようと思うのです。ですから工芸メーカーにはそこまでの環境を整備する責任があります。

 こうした産地がたくさんできれば日本はどうなるでしょう。今、日本には300くらい産地が残っていると思いますが、世界的に工芸は廃れていっています。もし100年後もこのまま300ほどの産地が生きながらえることができれば、真の「工芸大国日本」となります。

 そのときに本当の意味で初めて、海外の方は日本に来て、いろいろな産地を旅し、それぞれの土地でまったく違うモノ作りを体験できるのです。今無理して外国人ウケの良いモノを作らなくても、それぞれの産地が地道に頑張っていれば、それが観光立国につながるかもしれません。

 本来、僕らがそこまでやるべきではないのかもしれませんが、工芸を何とかしようと思うと、結果的にそうした活動に結び付くのです。波佐見ならマルヒロ、奈良であれば中川政七商店が産地の一番星になって、具体的な成功事例を作ればいい。そうした動きをどんどん始めていくことが大切です。

前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆