時短を進めるために、部下に「スケジューリング」の基本を教えるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2017年03月09日 07時09分 公開
[伊庭正康ITmedia]
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時短指導4:約束より前に「締切」を設定する

 ただ、時間を短くするだけでは、成果を落とす可能性は否めません。そうならないためには、余裕を持った「締切」でスケジュールを組むことが、実は成果を落とさない鍵となります。ぜひ、そのことを指導してみてください。

 例えば、営業職の例で考えてみましょう。3カ月で達成すべき目標を付与されたとします。3カ月というと12週。ほとんどの営業マンは、12週で達成すれば良いと考えます。

 しかし、目標を外さない営業マンは10週で達成できるように設定します。もし、10週で達成すれば2週間は余ります。これが余裕。この余った2週間を使って「次の仕事」をすると、次の期は更にラクに前倒しができるようになります。

 私の経験では、3カ月の目標なら、2カ月で達成できるようにはなります。

もちろん、事業や商材によっては1日ではなく1週間、もしくは1カ月で考えた方がやりやすいかもしれませんし、営業以外の仕事なら締切は「納期」になるでしょう。

 重要なことは早めに締め切りを設定すること。まずは、余裕のある納期設定をすることも、確実な短時間で成果を出す鍵です。

時短指導5:ムダなことを効率的にやることほど、ムダなことはない

 成果に影響のないことはやめることです。かのトヨタ自動車でも、付加価値に影響しない作業はやめることを厳しく指導しているといいます。時短に向けては、とても大事な考え方です。次の2つの観点でムダへの視力は高まります。

(1)本当にそれをする意味があるのか?

(2)他に方法はないのか?

 この観点で、毎日の会議、資料作成、メール作業、移動、その1つひとつの動作を吟味するのです。すると、意外とやめても影響がないことも多いものです。私は前の職場で、慣例になっていた「朝礼」をやめました。朝の商談が増え、売上も上がりました。

 部下や後輩には当たり前にやっている作業でも、成果に影響がなければ、やめる大切さを指導してみてください。

時短指導6:「相手の予定」も手帳に書いておく

 「相手が今日は出張のため不在にしていた」ことを理由にするような部下や後輩はいませんか? もし、そんなことがたまにあるなら、手帳に「自分の予定しか書いていない」のではないでしょうか?

 そうならないためにも、相手の予定を手帳にメモをしておくことを指導してみてください。

 例えば、社内で何らかの提案をしたとします。そうすると、稟議を回すことになります。まずは、課長、その次に部長……と。しかし、部長は長期出張。なかなか承認のハンコをもらえそうもありません。もし、手帳の片隅に「○〜○日まで、部長は海外に出張」、と書いておけば防げたことです。

 つまり、スケジュールは、自分の予定だけでなく、相手の予定も書いておくことを指導してみてください。誰もが忙しい状況なので、効率的に成果を出すためにも、意外と大事な発想です。

まとめ

 最後まで読んでいただき、感謝します。今回は時短のコアスキルとして「スケジューリング」の基本を部下や後輩に教えるポイントを紹介しました。これからの「時短」は、今までの「時短」とは、レベルが変わります。今までは、1つひとつの作業を迅速に済ませるレベルで対応ができました。しかし、これからは「仕事そのものの進め方」を変えなければ対応できません。まさに「働き方革命」です。

 しかし、スケジューリングの基本を押さえておけば、実はそれほど難しいことではないと私は考えています。この記事が、部下や後輩の皆様の次のステージへのヒントになれば幸いです。

著者プロフィール:伊庭正康

らしさラボ 代表取締役(セールス・セールスリーダー育成トレーナー)。

1991年リクルートグループ入社。営業としては致命的となる人見知りを4万件を超える訪問活動を通じ克服。リクルート社においても珍しいとされるプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、累計表彰回数は40 回以上。その後、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。

2011年らしさラボを設立。営業リーダー、営業マンのパフォーマンスを飛躍的に向上させるオリジナルの手法(研修+コーチング)がリーディングカンパニーの目に留まり、年間260回の営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は91%。

また、ストレスコーピングコーチとして、ビジネスパーソンのメンタルタフネス強化の支援も行っている。近著には、『残業ゼロだからこそ目標達成!!本気でやるチーム時短術(明日香出版社)』『すべてを手にする人が捨てている41のこと(かんき出版)』『強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)』など多数。その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。


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