トレーニングは手段にすぎない! ライザップが提供するのはお客さまの自己実現経営トップに聞く、顧客マネジメントの極意(2/2 ページ)

» 2017年07月19日 07時19分 公開
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トレーニングはあくまで手段にすぎず、目的ではない

井上 トレーニングそのものではなく、痩せて自信を持つという結果を提供しているのですね。

瀬戸氏(左)と聞き手の井上氏(右)

瀬戸 そうです。その点が、一般的なフィットネスジムとは全く異なるアプローチをしていると思います。トレーニングはあくまでも手段です。お客さまが本当に求めているものは、トレーニングではなく、トレーニングによって理想の体を得た自分であり、そのことによって自分の価値を高めることです。「結果にコミットする。」と言っているのも、お客さまが求めているものを必ず提供するという姿勢を伝えたいからです。お客さまとの向き合い方という点では、一般的なパーソナルトレーニングと一線を画している、と確信しています。

井上 ライザップが他に展開しているゴルフや英会話、料理教室でも、根本的な考え方は同じですか。

瀬戸 ライザップグループの理念は「『人は変われる。』を証明する」です。最初のヒットは「豆乳クッキーダイエット」でしたが、その頃からこの思いは変わっていません。現在までに美顔器、パーソナルトレーニング、ゴルフ、英会話、料理教室、アパレルなどさまざまな領域のサービスや商品を提供してきましたが、私たちが手掛けているのは、自己投資、自己実現の産業ということで一貫しています。商品やサービスはあくまでそのための手段にすぎず、目的ではありません。

井上 なるほど。いろいろなことを手掛けているように見えても、事業の軸は明確なのですね。だからこそ、お客さまにバリューを提供し続けられるのですね。

瀬戸 人は理想の体を得ることによって自信を持つことができ、視野が広がります。お客さまはライザップに通うことによって自己投資をしています。自分の価値を高め、生きていることをもっと認められたいのです。こういった自己実現の欲求、自己肯定感を満たそうとすることには、終わりはありません。

 食べることに精いっぱいで、生きることだけを考えていた戦後すぐの時代には、人々は回りからどう思われているかと気にする人はいませんでした。しかし、今は違います。自己肯定感を高めたい、多くの人に認められたい時代になっています。

 アパレル業界でいえば、今は必需品を提供するよりも、主流は服やアクセサリーを身につけることで、自分の価値が高まることを期待されていると思うんです。私たちが事業をする目的も、突き詰めれば、自己肯定感を高めることにつながります。

 自己実現の市場でサービスを提供するにあたり、分かっておかなければいけないのは、自己実現に終わりはないということです。たとえ巨額の富を手に入れ、あらゆるものを手に入れたとしても、満足することはありません。人の悩みは一生なくなることはなく、より自分を高めたいと思う限り、悩みや不安は必ず出てきます。そういった悩みを解消するための手段には、あらゆるものが考えられます。自己実現の市場は無限といえます。

対談を終えて

 顧客が真に求めているものを追求する……。企業精神としては当たり前といえることかもしれませんが、それをあり得ないレベルで実行しているのがライザップ躍進の理由だと感じました。顧客の幸せのためだといいながら、どうしても売れること、売れ続けることが目的になっている企業が多い中、あくまで自社のサービスと商品は手段であり、顧客の目的にフォーカスする姿は圧巻です。

 痩せることが目的であり、もっと言うと、痩せることを通して顧客が自信と誇りを持ち、人生そのものを自分でデザインする、自己実現できる人になることが目的です。そしてこれらを得ることは、顧客にとって一生の財産になります。そこまで見据えた瀬戸社長の事業熱は本物です。対談を通して、「結果にコミットする。」という有名なキャッチフレーズの意味と深さを実感しました。人間の意志は弱く、だから続けられる環境が大切なのです。完全なサポート体制が整っているライザップに身を預けてみると、新たな自分がきっと見えてくるはずです。

プロフィール

井上敬一

ブランディングコミュニケーションデザイナー

株式会社FiBlink代表取締役

兵庫県尼崎市出身。立命館大学中退後、ホスト業界に飛び込み1カ月目から5年間連続ナンバーワンをキープし続ける。当時、関西最高記録となる1日1600万円の売り上げを達成。業界の革命児として、関西最大規模のホストクラブグループの経営業を経て、現在は実業家として企業、個人のブランディングやアパレル、サムライスーツなどのプロデュースを手掛ける他、人に好かれるコミュニケーションを伝える研修・講演を展開している。また、WEBセミナー「プレジデントキャンパス」により、中小企業経営者の学びの場をもっと身近なものにして日本経済をけん引する役割を目指す。

圧倒的な実績に裏付けられたコミュニケーションスキルを分かりやすく説く講演は、多くの企業・団体から支持を受けている。これまで数多くのメディアに取り上げられ、独自の経営哲学で若いスタッフを体当たりで指導する姿はフジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で8年にわたり密着取材され、シリーズ第6弾まで放映されている。

 主な著書に、「ゴールデンハート」(フジテレビ出版)、「人に好かれる方法」(エイチエス株式会社)などがある。


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