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» 2017年10月04日 07時04分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:滑舌練習、腹式呼吸は棚上げ! 「心に届く」話し方のために必要なこと (1/2)

あなたの話は一度聞いただけで、相手の頭にスムーズに入っているか?

[松本和也,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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『心に届く話し方 65のルール』

 2016年にNHKを退職し、ビジネスパーソンを対象に「話し方」についての講演や研修、会社の役員などエグゼクティブ向けの個人レッスンなどを始めて1年あまりがたちました。この仕事を始めて最も驚いたことは、「話し方」に対する考え方が、NHKのアナウンサー時代に教わってきたことと、世間で常識とされていることとの間に大きなギャップがあるということでした。

 この間、さまざまな会社を回り、「話し方を教えています」と自分の会社のサービスを紹介しようとすると、「ウチの業界は話の中身重視なんですよ。内容がよければそれでいいんです。“話し方”は特に問題にしていません」と言われることがよくありました。私は最初、何を指摘されているのかが分かりませんでした。

 確かに、ビジネスを円滑に進めるうえで最も大切なのは、話す内容がしっかりしていることです。私も全く異論はありません。声が多少悪かろうと、アナウンサーみたいに滑舌がよくなかろうと、ちゃんと聞き取ることさえできれば全く問題ありません。何人かに同じようなことを言われる中で、しばらくしてからようやく気が付きました。

 どうやら「話し方を教えます」というのは、「発声の仕方や滑舌をよくする方法を教える」と思われていたのです。確かに多くの話し方教室では、滑舌をよくする方法や、腹式呼吸によるよく響く声の出し方、時には感じのよい表情作りまで教えているようです。その影響だったのですね。

 実は、私が伝えたい「話し方」において最も大切なことは全く違います。私がいた放送の世界では、NHKや民間放送に限らず、共有されている考え方です。

 それは、放送の中で話すときに最も優先すべきことは、発声でも滑舌でもなく、「一度聞いただけで、話の内容が頭にスムーズに入る」ことなのです。説明しましょう。

 放送は一方通行のメディアです。しかも話す声は聞こえた瞬間すぐに消えていきます。新聞などの活字メディアと違い、分かりにくかったから1行戻って読み直すなんてことはできません。なんとしても、1回発した言葉だけで視聴者に分かってもらわなくてはいけないのです。どんなに声がよくても、話している内容を聞いて理解してもらえなければ意味がありません。特に最近の視聴者は評価が厳しく、少しでも分かりにくいと視聴率は落ちてしまいます。まさに死活問題です。

 では「1度聞いただけで話の内容が頭にスムーズに入る」ためには、どんなことに気を付ければいいでしょうか?

 ポイントは次の3つです。

1、シンプルに話す

2、早口にならないように相手の反応を待って話す

3、口に出す前に一呼吸置いて考えてから話す

1つ1つ、説明していきましょう。

1、シンプルに話す

 最初のポイントは、「1度聞いただけで話の内容が頭にスムーズに入る」ために最も大切で、ふだんから心掛けることで改善できるものです。

 まず使う言葉は、なるべく簡単なものがお勧めです。耳で聞いたときに頭の中で頑張って文字に変換しなくてはいけないようなややこしい漢字の羅列、外来語の使いすぎなどは避けましょう。

 次に文章です。短ければ短いほどいいのです。長い文章は聞いているだけで疲れます。本人は話すべき内容が頭に入っているため、自分では気にならないのですが、聞いている方は違います。接続詞を使って文を延々とつなげることは、聞き手にとっては「いつ終わるんだ?」という気持ちにさせられるため、ストレスがたまります。話すときの文章はぶつ切りくらいがちょうどいい、と覚えておいてください。

 話す内容も、最初に結論や概略などを伝えることで、聞き手にどんな話かを早めに知らせて、その後で根拠や具体例、あるいは細かい内容を伝えるようにします。

 ここまででお分かりでしょう。「シンプルに話す」というのは、「聞き手にできるだけ“分かりにくい”というストレスを与えない」ための方法なのです。

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