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» 2017年12月07日 07時07分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:「気難しい年配者」にも好かれる社員が持つ3つの条件とは (2/2)

[平松類,ITmedia]
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年配者に好かれる3つの条件

 では、年配者に好かれる人にはどういう条件があるのでしょうか? 条件と、それぞれの条件に必要になることをまとめますと、次の通りです。

1、分かりやすく話す

 低音でゆっくり話すという以外に、子音の「さ行」と「た行」に気を付けるなど相手に聞きやすい話し方も必要ですし、相手に理解されやすい内容で話す必要があります。

2、年配者の話をよく聞く

 一方的に話すのではなくて、年配者の話をよく聞くという姿勢が大切です。一方で年配者は同じ話を繰り返してしまい、どうしても「あれ」「これ」が増えてしまいがちです。時間は無限にあるわけではありません。そんな中で、どうやって話を聞けばいいのかのコツを知っている必要があります。

3、年配者の事を知っている

 年配の人ですと、若者とは感じ方が違います。見ているものも聞いているものも同じようでいて実際は違うのです。高齢の人がいる場合、「資料は12ポイント以上の文字で作る」「尿意が増すので90分に一回はトイレの休憩を取る」など、基礎的な配慮をすることはよく知られていますが、そのことを知らない部下も多いのです。ですから年配者の事をよく知る必要があります。

 これらの条件を満たせば普通の年配者のみならず、気難しい年配の人にまで好かれ、いつの間にか仕事がうまくいくようになります。しかしこの条件を満たすには多くの経験が必要です。実際、私も多くの年配者に怒られ、失敗して身に付けてきました。

 しかし、経験で身に付けてしまうと、部下に「年配者には丁寧に接しろ」「敬え」というあいまいな指導になってしまいます。私も職員に「もっと丁寧に」と指導をしましたが、全然分かってもらえません。

 もっと簡単に指導できる方法はないかと思い、『老人の取扱説明書』(SBクリエイティブ)という書籍にまとめました。国内外の論文から導き出された科学的な内容、10万人から得られた経験的な内容をもとに、数値なども盛り込んで具体的に示しました。そうしないと、職員は分かってくれないからです。具体的に示すことで話は分かりやすくなり、年配者の話も短い時間でもよく聞けるようになり、年配者の行動や変化を知る事ができます。

 例えば「陰口を言うと意外と聞こえていますが、女性の声の方が高齢者は聞こえにくく」なります。理由は高い音に対しては感受性が変わってしまうからです。では、そういう年配者にはどうすればいいかというと「伝えたい時ほど低い声で話す」です。大きい声はダメです。

 せっかくなので、自分が将来こうならないためにできることも、ついでに知っておきたいところです。自分の耳が悪くならないように心掛けておきたいこととしては具体的には、騒音の多い仕事場の場合は耳栓をする、ヘッドフォンやイヤフォンを使う場合は最大音量の60%以内に音量を抑えることが重要になります。

 また、「あれ」「これ」「それ」が多い年配者もいます。これは記憶力が悪いというよりは、記憶している量が多いため記憶を引き出しにくくなっているからです。そのような時の対処法としては、「あれ」「これ」が何を意味するのかを聞きすぎて相手を怒らせないという事です。というのも、内容を取り繕って話している場合があるからです。そして自分がそうならないためには、「読書」や「込み入った人間関係の仕事」をすることが有効です。

 『老人の取扱説明書』ではその他にも、「過去を美化して話す」「ネガティブに話す」「動きがゆっくり」「お金の使い方が荒い」「目・耳・口・鼻などの年齢変化」など年配者に起こる変化とその理由、さらにはその対処法や自分がそうならないための方法をまとめました。

 今では職員にいちいち指導しなくても、本を配って読んでもらうだけで済んでいます。最初は配っても読んでくれるかな? と疑心暗鬼でしたが、意外と「普段の生活でも使える」「家族にも役立つ」「こういう高齢者いるよね」というように面白がって読んでくれる人がほとんどでした。おかげで、職員が患者さんから名指しで感謝の声をもらいました。これはうれしかったですね。

 『老人の取扱説明書』という刺激的なタイトルなのは、高齢者の事をもっとよく知ってもらいたい、あなたはどう高齢者と向き合っていますか? という意味合いを込めたからです。仕事のみならず自分の家族、両親、親戚や普段の高齢者との付き合いでも必要な内容なので、読んだ人からは「親が健在なうちに知りたかった」といった、「もっと早く知っておけば」という声もありました。後悔しないように、ぜひ読んでみてください。

著者プロフィール:平松類

愛知県田原市出身。昭和大学兼任講師、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長。のべ10万人以上の高齢者と接しており、医療コミュニケーションの研究にも従事している。シニア世代の新しい生き方を提唱する「新老人の会」の会員でもある。専門知識がなくてもよく分かる歯切れのよい解説が好評で、連日メディアの出演が絶えない。NHK「あさイチ」、TBS「ジョブチューン」、フジテレビ「バイキング」「日本経済新聞」「読売新聞」「毎日新聞」「週刊文春」などでコメント・出演・執筆等を行う。


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