連載
» 2018年01月10日 07時24分 公開

あなたは大丈夫? 指示待ち人間を作るリーダー、5つのタイプ:タイプ4 任せきれないリーダー (2/2)

[藤田智弥,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 ただし、どのくらいの距離をあけて伴走をし、どんなタイミングや頻度で問いかけるのが効果的かは、共有コンテクストの量に依存する。いろいろ試し、フィードバックをもらいながら調整する努力を惜しんでは、あなたが期待するレベルの「考え抜いた」提案にはならないだろう(「タイプ1 聞き手の能力に頼りすぎるリーダー」参照)。

同じ答えを求めていないか?

 広報リーダーとして考え抜いた結果、私は、あるイベントを企画し、Facebookイベントを立ち上げることを提案した。活動の認知向上と若手会員の純増という目標を達成するためには、Facebookアカウントを立ち上げるよりも有効だと考えたからだ。

 自分と同じ答えでなくても、リーダーは「until you know better(あなたがもっとよい方法をみつけるまでは)」の態度を示したい(「タイプ2 叱れないリーダー」参照)

 結果は、エグゼキューション(実行)の質に左右される。実行者が情熱をもって取り組めるプランの方が、エグゼキューションの質があがる。だから、単純にプランを比較するだけではなく、エグゼキューションの質も考慮することが重要だ。情熱をもって考え抜かれた提案を採用し、成果を引き出す社長を、私は何人も見てきた。

 広報リーダーとしての提案は採用された。成果を出すために、私が熱心に取り組んだことは想像に難くないだろう。

サポート側にまわっているか?

 日本を代表するあるグローバル企業のCIOは、自分の役割を「プランニング(計画)ではリード(先導)し、エグゼキューションでは下から支える」と表現する。PDCAを頻度高く回さなければならない昨今のビジネス環境においては、プランニングとエグゼキューションの垣根は低く、よりダイナミックに2つの役割を担うことが求められている。

 彼はまた、「問題点は、フォーマル(公式)な報告ラインよりも、インフォーマル(非公式)なコミュンケーションから聞こえてくる。質問しながら社内を歩き回る“フットワーク”が大事」と語る。進捗会議の報告を待つだけでは、適切なサポートはできないということだ。

 では、どんな質問をして歩き回ればよいのだろうか? リーダーをサポートする立場に自分を置いて、考えてみてほしい。ある中堅企業の社長は、「リーダーがいい仕事をできるように、自分に何ができるかを考えたい。だから、何をして欲しいのか、何を期待しているのかを尋ねる」と言う。

 相手をリーダーと認めて接するということは、「あなたは何をすべきか」というアドバイスを与える立場から、「私に何ができるか」を考えて、サポートする立場にまわるということだ。

 「How can I help you?(私にどうサポートできるか?)」。社長にこう問われることが、外資系企業ではよくあった。「サポートすることはあるか?」と問われれば、「NO」と返答できる。しかし、「私にどうサポートできるか?」は、サポートすることが前提だ。「NO」とは言えない。「私に何ができるか?」のヒントを得るのに有効な質問だ。

ギブアップをしていないか?

 進捗を細かくチェックされたり、頼んでもいないのに手を出されたりすると、「信頼されていない」「任されていない」とがっかりするが、依頼したサポートが得られたらありがたい。

 ところがこの質問は、答えるのが難しい。私も、社長に問われたときにはうまく答えられなかった。社長にサポートしてもらうことなど、考えたこともなかったからだ。

 それでも問い続けられると、答えを準備するようになる。「関係部門の協力が得られるように、全社会議の場で重要性を語ってほしい」「社外の関係者も含めたワークショップの実現を後押ししてほしい」。普段から考える癖がつく。諦めずに、辛抱強く問いかけることが重要だ。

 そして、難易度の高いリクエスト上がってきても、「難しい」「無理だ」とすぐにギブアップをしないことだ。リーダーが考え抜く姿勢を見せないと、メンバーも考え抜くようにはならない。対案を出してもいい。知恵を絞ってサポートする姿勢を示してほしい。それができなければ、「丸投げ」と同じだ。

お互いが、お互いのサポーター

 誰もがリーダーである組織は、誰もがサポーターの組織だ。リーダーとサポーターの役割がダイナミックに入れ替わりながら、お互いがお互いのサポーターになる。日本人が得意とする他者への「敬意」や「献身」を生かせる組織なのではないだろうか。

 上司と部下という固定的な上下関係を維持する限り、部下はいつまでも部下だ。あなたが上司という立場から降りて、リーダーとサポーターがダイナミックに入れ替わるフラットな横の関係を求めれば、部下は下に属するという立場から離れることができるはずだ

 「任せて育てろ」と言われても、失敗が許されるようなぜいたくな環境ではない。それどころか、ますますスピードが求められている。自分がやったほうが早いし、確実だ。理論は分かるが、実践的ではない。

 そう思ったあなたには、もう一度、この記事を読み返してもらいたい。「手を出すな」とは一言も言っていない。「何に、どう手を出すかは相手に決めてもらう。ただし、手をこまねいて待つのではなく、こちらから聞きに行く」。これが、私からの提案だ。

 次回(第5回)のテーマは「タイプ5 れんがを積むリーダー」。命令されてれんがを積むリーダーのもとに、教会を建てるという目的意識をもったメンバーが育つか? 指示待ち人間をつくらないリーダーの在り方について、話したい。

藤田 智弥(ふじた ちひろ)

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)にて、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)プロジェクトを中心に、コンサルタントとして5年の実務を経験後、ベンチャービジネスに転じ、2年で単年度黒字、4年で累損を一掃する100億円規模のビジネス立ち上げを経験する。

その後、ソフトバンクモバイル、ローソン、マクドナルド、アマゾンと転じ、経営層のマーケティング領域の意思決定をサポート。 孫正義氏、新浪剛史氏、原田泳幸氏の意思決定や組織運営を間近に見る中で、ゴール設定と達成イメージの言語化、視覚化の重要性を体感する。事業会社における経験はトータル19年。現在は、従業員、ビジネスパートナー、顧客、投資家、コミュニティー、家族など、みんなが社長に力を貸したくなる経営を提案し、「社長の360度サポーター化」を推進している。

慶應義塾大学卒。ビジネスコーチ。アンガーマネジメントコンサルタントTM。マーケティング・コンサルタント。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆