インタビュー
» 2018年05月14日 08時00分 公開

【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜:異業種とのAPI連携で進むみずほ銀行のFintech 規制産業の常識を“よそ者”が変える (3/4)

[やつづかえり,ITmedia]

企業の「イノベーション室」がうまく機能するには?

 ここ数年、多くの大企業が“イノベーション”を掲げてプロジェクトや部署を立ち上げているものの、なかなか成果が出ずに行き詰まっているという話も少なくない。大久保さん自身も、他の大企業から相談されることがあるそうだが、うまくいかないところは総じて、「活動の目的がはっきりしていない」ケースが多いという。

 「新しいサービスがどんどん出てくる中で、金融機関は『自分たちがなくなってしまうんじゃないか』という危機感を持ってオープンイノベーションを進めようとしています。しかし、会社によっては『AIを使ったプロジェクトを作れと上から言われた』とか『ブロックチェーンで何かやりたいんですけど』といったように、手段が目的化しているところもあります。それでは何も生まれないでしょう」(大久保さん)

 技術そのものを追いかけるのではなく、技術を使って新たなビジネスを作ること――これが大久保さんたちの目的だ。それに基づいた形でKPIも整理されている。新たな市場の創出やユーザー部門への案件提供、取り組みを通じた全社のコストカット、同社のプレゼンス向上など、投資部門らしい項目が並ぶ。具体的な数字を並べれば、メンバーの動きが縛られてしまうし、抽象度が高すぎると方向性を見失う。このバランスが大事なのだ。

photo みずほフィナンシャルグループにおけるオープンイノベーションの取り組み(資料提供:みずほ銀行)

 目的を達成するために、大久保さんたちが使うリソースは社外だけではない。世の中では「FinTech」というキーワードがもてはやされてはいるものの、それで何ができるのかをイメージできている人はまだ少ないのが実情だ。そこで役に立つのが、みずほの「産業調査部」の情報だという。

 同部は日本の各産業についてその動向を調査、分析し、今後の見通しを立てている。そこから、将来のニーズやFinTechの生かしどころを洗い出し、各方面に提案することができるというわけだ。

 2017年に業務提携をしたAirbnbのような異業種はもちろん、ライバル銀行と手を組むのもタブーではない。他の銀行でも使える仕組みを作れば、顧客の利便性につながるし、単独で開発、運用するよりもコストを削減できる。そのため、自分たちが考えたFinTechのビジネスモデルのアイデアなども、競争優位性の根幹部分ではないと捉え、オープンにして外部に積極的に発信しているという。

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