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» 2018年06月25日 10時00分 公開

企業での活用のヒントをつかむ:知っておきたいRPAの本質的な効果、将来の働き方を変えるかもしれない可能性を秘める

「富士通フォーラム2018 東京」が開催され、「Human Centric Innovation:Co-creation for Success」をテーマに多数の講演と展示が行われた。

[PR/ITmedia]
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 5月17と18日、東京国際フォーラムで「富士通フォーラム2018 東京」が開催され、「Human Centric Innovation:Co-creation for Success」をテーマに多数の講演と展示が行われた。その中からデジタル革新のホットな状況が分かるものとして、キーノートと、RPA(Robotic Process Automation)をテーマに行われたパネルディスカッションの内容を紹介する。

多様な「Co-creation」によってさまざまな成果を実現

 キーノートには、富士通の代表取締役社長 田中達也氏と執行役員 山田厳英氏が登壇。ゲストを交えながら、量子コンピューティングの最新動向やデジタル変革に向けた富士通の持つ技術と取り組みを紹介した。

富士通 代表取締役社長 田中達也氏

 田中氏はまず、AIやIoTなどのテクノロジーによってデジタル革新が加速する中、富士通では、共創を通じて持続的に社会にインパクトを与える成果を生み出す「ヒューマンセントリックインテリジェントソサエティ」の実現を目指して活動していることを紹介した。

 その取り組みの一つが働き方改革だ。富士通はマイクロソフトと協業し、富士通のAIプラットフォーム「Zinrai」とマイクロソフトのAzureやOffice 365となどのサービスを組み合わせて働き方改革を支援している。

 田中氏がもう一つの取り組みとして挙げたのが量子コンピューティングだ。富士通では、量子の振る舞いをデジタル回路上で再現する「デジタルアニーラ」を開発した。ゲストとして共同開発パートナーのトロント大学 電気・コンピュータ工学部教授のアリ・シェイコレレスラミ(Ali Sheikholeslami)氏と、1QbitのCEO、アンドリュー・フルスマン(Andrew Fursman)氏が登壇し、開発の経緯を解説した。

 続いて登壇した山田氏は、「デジタル革新を成功に導くためのポイント」について事例を交えて紹介した。成功するデジタル革新の取り組みのポイントは大きく6つの要素があるという。その6つとは、経営層の「リーダーシップ」、課題解決に向けた「俊敏性」、デジタルテクノロジーと既存「ビジネスとの融合」、企業が保有する大量の「データからの価値創出」、デジタルスキルを持つ「人材」、そして、価値を拡大させていく「エコシステム」だ。

 そして、ゲストとして登壇したロッテカードのデジタルペイメントチーム マネージャーのアンビョンイル氏は、手ぶらで買い物ができる世界の実現を目指し、信頼性の高い手のひら静脈認証を小売店のレジに設置したことを紹介。また、トヨタ自動車のサービス技術開発ラボラトリにおける、デザイン思考の場となる「Digital Transformation Center」活用の事例、サンスターのG・U・M PLAYと予防歯科サービスの事例、Pivotalと協業してデジタルビジネスを支援する「デジタルビジネスカレッジ」を開設したことなども披露された。

 最後に山田氏は「エコシステムをさらに拡大し、“Co-creationの輪”を皆さまとともに作り、成功を分かち合いたいと考えています」と述べ、キーノートを締めくくった。

日本で求められるのは少量で複雑で多量な作業に適したRPA

富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクト 中村記章氏

 2日目に行われたパネルディスカッション「今だから改めて考えるRPAの活用法 デジタルテクノロジーで実現するFuture of Work」では、デジタル革新の取り組みの中でも特に注目度の高いRPA(Robotic Process Automation)について現状の課題や対策、今後の展望が示された。パネリストは、ITR 取締役 シニア・アナリストの舘野真人氏、UiPath 代表取締役CEOの長谷川康一氏、富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏の3人。モデレータはアイディメディア エグゼクティブプロデューサーの浅井英二が務めた。

ITR 取締役 シニア・アナリスト 舘野真人氏

 議論の前提として、まず舘野氏がITRで実施した「IT投資動向調査2018」の結果を示しながら、RPAの現状と市場規模を解説した。

 「従業員5000人以上の金融業、情報通信業、製造業を中心に導入が進んでいます。5000人以上の企業の場合、“導入している”か“導入の意欲がある”と回答した企業は全体の約6割です。一方、1000人未満では約6割が、300人未満では約8割が、“今後導入する予定はない”と答えています。ただ全体的に意欲は高まっているので、ITRでは、RPAなどのソフトウェアロボットやデジタルレイバーは今後、否が応にも企業に入ってくると考えています」(舘野氏)

UiPath 代表取締役CEO 長谷川康一氏

 ITRが調査した市場規模は、コンサルなどを含めずRPAツールに限った場合で2016年実績が8億円。5年後の2021年度には、保守的に見積もっても10倍の約80億円超に拡大する見込みだ。また、UiPathの長谷川氏は市場規模について、RPAツールだけでなく、連携ソフトウェアや導入コンサルティング、運用サービスといった関連市場も含めると、2022年の市場規模はソフトウェアが1000億円、関連市場が5000億円になると予想していると補足した。

 「RPAは、海外では大量で簡単で定型の繰り返しをする用途に用いられます。一方、日本のお客さまが求めるのは少量で複雑で多量な作業に適したRPAです。UiPathは世界のグローバル企業の中で日本において最も導入されたRPA製品ですが、海外と日本のニーズに応えることで、日本のRPAが世界標準になると考えています」(長谷川氏)

企業がRPA導入を成功させるためには3つのポイントがある

 UiPathなどのRPAツールを用いて企業の働き方改革の取り組みを支援しているのが富士通だ。富士通では、これまでのように「働く環境の整備」に加え、オフィスや現場フロントなどの「業務自体の変革」への取り組みも含めた次世代のワークスタイルを「Future of Work」というコンセプトにまとめている。

「Future of Work」は働く環境の整備に加え業務自体の変革も

 富士通の中村氏はこのコンセプトについて「ITを活用して業務のやり方と人と仕事の関わり方を変えることがポイントです。RPAは、業務の自動化、自律化、ナレッジの活用などで力を発揮します。企業がFuture of Workを具体的に推進できるソリューションとして“ACTIBRIDGE”を新たに提供開始しました」と説明した。

 ACTIBRIDGEは、RPAやAI、IoT、AR/MR、BPMS/BRMSなどのデジタル技術と、富士通がこれまで手掛けてきたBPOやトレーニング、専門スキル、テンプレートを融合し、コンサルティングやアセスメント、PoC、運用サービスなどと組み合わせて提供するソリューションだ。オフィスの定型業務に加え、非定型業務や現場フロントワークも含めた改革を実現する。

 「RPAの活用がまず見込まれるのは、オフィスワークの定型業務です。そこに、AIやIoT、AR/MRなどの技術を組み合わせることで、情報収集や資料作成、分析・予測といった非定型業務に対応したり、現場フロントワークでの記録、検査・検品・監視に活用したりと拡張することができます」(中村氏)

ACTIBRIDGEはオフィスの定型業務に加え、非定型業務や現場フロントワークも含めった改革を実現

 これを受けて長谷川氏は、企業がRPA導入を成功させるためには大きく3つのポイントがあると指摘した。

 1つ目は、全社導入に向けて「スケール」させることだ。RPAを一部の部署の局地的な部門だけに導入する場合は経営が乗り出す必要はない。スモールスタートで始めて全社レベルの生産性を向上させることが重要だ。

 2つ目は、安定的に稼働し環境に適応する「レジリエンス」だ。導入して終わりではなく、導入したロボットの活用状況をモニタリングして、改善を施して安定稼働を実現し、さらに生産性の向上に努める。

 3つ目は、AIを組み合わせて高度化、情報活用する「インテリジェンス」だ。長谷川氏によると、RPAとAIは補完しながら生産性を上げていく関係にある。「RPAは言われたことしかしません。マニュアルにないことは例外事項としてログを吐き出すだけ。ただ、このログを機械学習させてロボットに組み込むことができれば、人間のように処理を広げていくことができます」(長谷川氏)

RPAを実践するためには導入時の「デジタルコンサルティング」が重要

 このスケール、レジリエンス、インテリジェンスという3つの成功条件を満たしながら、RPAを実践するために重要になるのが導入時のデジタルコンサルティングだという。中村氏は「お客さまの現場に寄り添い、課題の本質を見つけ出し、稼働後の運用までを支援します」とその必要性を説く。

RPA実践に重要なのが導入時の「デジタルコンサルティング」

 実際、RPA導入で課題になるのは、「使いこなす知見がない」「事前に導入効果を見極めたい」「他システムとの連携を考慮したい」「業務自体を見直したい」というものだ。また、こうした課題に対処せずに導入を進めてしまうと、自動化やロボット化がリスクを招くこともある。例えば、「ロボットが管理されず、“野良化”して暴走」「セキュリティ設計の欠如による事故」「運用変更/システム変更時の混乱」「意図しないコンプライアンス違反」「管理責任の所在が不明確になること」「人のような道徳的な判断ができず業務が止まること」などだ。

 そこでACTIBRIDGEでは、デジタルコンサルティングやPoC、設計・構築などの上流コンサルから、運用のトレーニング、BPOサービスなどまでを一気通貫で提供。導入時の課題や、導入後のリスク管理や運用効率の向上も含めて成果を上げられるようにしている。

上流コンサルからPoC、設計、構築、運用サービスまで一気通貫で提供

 実際に、富士通とUiPathの協力のもとで実現した事例の1つとして、「OCRで紙の請求書の読み取りから原本を管理システムに登録するまでの作業」をRPAで自動化したケースが紹介された。このケースはソリューションとしても提供されており、発想からソリューション実装までの作業はわずか数日だったという。

 また、RPAとAIを組み合わせて、集中購買業務での判断を自動化し、年間2500時間相当の工数を削減した事例や、RPAとチャットボット「CHORDSHIP」を組み合わせて24時間365日対応を実現し、顧客サービスレベルを向上させた事例なども紹介された。

ロボットをうまく活用すれば自分の専門性を磨くことが可能になる

 RPAの今後の展開について、舘野氏は「RPAは自社の業務に投資して業務効率や生産性の向上を図る手段ですが、将来的には、複数の組織に属する個人を管理する領域に入ってくるのではないかと考えています。メールやスケジューラが組織ごとに違えば効率が悪い。組織間をまたがって自分の業務を管理する役割が求められると思います」と話した。

 中村氏も「われわれが最終的に目指したいのはパーソナルエージェントです。個人が仕事をするとき、RPAがいろいろなシステムを連携させて、仕事を助けてくれる。誰もが個人的な秘書を抱えて仕事ができるようになる。企業内での活用にプラスして個人の働き方そのものを楽にしたいと思っています」と同意。さらに、長谷川氏も「環境の変化が厳しくて一人一人専門性が求められるようになっています。ロボットをうまく活用すると、自分の専門性を磨くことができるようになります。パーソナルな領域については、個人のスケジューラと企業のサービスのスケジューラを連携させて宅配便を効率よく受け取ったり、治療を待ち時間なく受けたりできます。スマホのRPAとAIがつながってパーソナルコンシェルジュに発展する世界が近づくと思います」と展望した。

 最後にモデレータの浅井は「RPAの本質的な効果や将来の働き方まで展望することができました。ぜひ企業での活用のヒントにしてください」と、パネルディスカッションを締めくくった。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2018年7月24日