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» 2018年08月02日 08時24分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:結局Focus&Deepが重要 (2/2)

[中尾隆一郎,ITmedia]
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 それには時間もスキルも根気も必要。だから、その時間を創出しなければいけない。スキルを習得する時間、寝食を忘れて取り組むスタミナ、そして何よりもその仕事に取り組むための時間そのもの。これらの時間を創出するためには、それ以外の他の仕事は生産性を高めて効率的にできないといけない。

 これは、他の仕事の手を抜いて良いという話ではないのです。プロフェッショナルとして、全ての仕事に一定以上の成果を出しながら、本当に重要な仕事には、「神が細部に宿る」レベルまで仕上げなければいけないということです。

 ここぞという仕事のために、Focus&Deepをする重要性とそれ以外の仕事の効率性を高める重要性を知った経験でした。

KT法による共通言語と効率性アップ

 上司のNさんからは、効率的に仕事をする方法も学びました。一番大きかったのは、組織に共通言語を作る重要性でした。共通言語とは、共通のフレームワークや共通の仕事の進め方のことです。

 例えばKT法。これは卓越したリーダーは4つの共通スキルを保有しているとことを体系化したものです。4つとは、状況分析、決定分析、リスク分析、原因分析です。卓越したリーダーは、現在自分が何をしないといけないのか整理するスキル、すなわち「状況分析」ができるのです。

 状況を分析するというのは3つに因数分解することです。3つとは、何か複数案から1つの案を選択する「決定分析」、その選択した案のリスクを想定する「リスク分析」、そしてその案を実行した後、うまくいった理由、うまくいかなかった理由を振り返る「原因分析」です。

 卓越したリーダーは、複雑な現状を3つに因数分解し、それを解決することができるのです。20年ほど前に、初めて本部の管理職になった時に、上司のNさんからの指示で、パイロット的に5人でこの研修を受講しました(そのうち2人は後にホールディングスの4人しかいない取締役になりました)。

 研修内容に納得した5人はそれぞれ周囲の同僚にこの研修を受講してもらい、組織全体の共通言語としたのです。すると仕事の生産性は大幅に向上しました。組織全体で共通言語、共通フレームワーク、スキルがあるのです。

 例えば、「現在のモヤモヤしている現状を状況分析してほしい」と部下にオーダーすると、何を決めなければいけないのか(決定分析)、何のリスクを考慮しなければいけないのか(リスク分析)、何を振り返らなければいけないのか(原因分析)に因数分解されてくるのです。そして、それぞれも所定のフォーマットによって分析がされるのです。これにより、上述のここぞという仕事以外の仕事の効率性が大幅に向上したのはいうまでもありません。

最高の結果を出すKPIマネジメント

 2018年6月22日に出版した「最高の結果を出すKPIマネジメント」は、これらの経験が下敷きになっています。事業の最終ゴールを数値で示したKGI(Key Goal Indicator)を実現するための信号(先行指標)であるKPI(Key performance Indicator)にFocusをした事業運営を行う効能とそのノウハウについてまとめています。

 具体的には、事業の最も重要な活動(CSF:Critical Success Factor)を見つけ、そこに全従業員のエネルギーをFocus&Deepをすることが、マネジメントで最も重要なポイントであると書いています。具体的なやり方や事例もいくつか載せています。

 おかげさまで、発売3週間で4刷、1万6000部になりました。もしよろしければ手に取っていただき、感想など伺えるとうれしいです。

著者プロフィール:中尾隆一郎

FIXER 執行役員副社長 1989年大阪大学大学院工学研究科修了。同年リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、現職。旅工房 社外取締役を兼任。

著書に「リクルート流仕事ができる人の原理原則」「営業マン進化術」「転職できる営業には理由がある」など成長し続ける組織つくりを支援するTTPS勉強会主催。


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