「ゼロベースでマーケティング戦略を作り上げる」 日本コカ・コーラ 江端浩人氏:石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(1/3 ページ)
世界の中で圧倒的なブランド力を持つ企業の1つがコカ・コーラです。しかし決してその状況にあぐらをかくことなく、さらに消費者の心をつかもうとさまざまな施策に取り組んでいます。
日本コカ・コーラの江端浩人さんといえば、マーケティングセミナーのスピーカーとして引っ張りだこで、最近では「コカ・コーラパークが挑戦する エコシステム・マーケティング」という本を本荘修二さんと共著で出版されるなど、その活動は、自社のマーケティングにとどまらず、市場啓発の域まで達していると常々感心しておりました。
実は、江端さんは、スタンフォード大学のビジネススクール時代の同級生であり、当時、ゴルフや勉強で成績優秀だった彼がどんな変貌を遂げているかを目撃する目的も兼ねて、日本コカ・コーラのマーケティングを徹底的に分析するセッションを持ってみました。
コカ・コーラが世界的に変わってきた予感
通常、外資系企業の戦略は外からは見えにくいものです。しかし、江端さんが日本コカ・コーラに入社したのと時を同じくして、日本コカ・コーラにオープンなイメージが植えつきました。江端さんに伺うと、実際に、本国のThe Coca−Cola Companyでムーター・ケント氏がCEOになってから、社風が変わったように感じたと言います。
ケント氏は、フランチャイズビジネスを基本とするコカ・コーラのビジネスモデルにおいて、フランチャイザー側のみならず、フランチャイジー側であるボトリング会社のビジネスにも長く身を置いていた人で、いわゆるマス広告に代表されるようなマーケティングやブランド作りのみならず、毎日どのようにしたらコカ・コーラ製品の売り場をつくれるかを考えることにもフォーカスしている人なのだそうです。CMが賞をとったということよりも、売り場が拡大することで売り上げが伸びたことをよしとする人なのでしょう。つまり、より顧客に近い人といえます。
ケント氏の就任から数年後に、ジョー・トリポディ氏がカスタマー営業とマーケティングの両方を統括するポジションに就任したことで、オープンな企業となるような活動を行なう傾向にますます拍車が掛かったとのことです。
オープンという意味では、ソーシャルメディア対応も早く、コカ・コーラはすでにソーシャルメディアポリシーを公開しています。そこでは、社員がソーシャルメディアに参加することを前提とした方針が記載されています。このポリシーは、リスクを抑えるというよりも、大方針を決めて参加を促すという、前向きでオープンなポリシーになっていて、コカ・コーラの現状をよく表しています。
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