「あなたのBest」でなく結果を出して――ビジネス英語に必要なネイティブ感覚:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
「洗練された英語を話したいがどうすればいいのか……」と考えたことがあるビジネスマンは多いだろう。一流のビジネスマンのように話したければ、一流のビジネスマンのスピーチをまねることから始めてみてはいかがだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
「英語が話せないとマズイ」「今年こそは英語を身に付けなければ」そういった焦りに似た感覚を覚えながらも、なかなかあと一歩が踏み出せないという話を聞くことがある。昨今の経済状況や情報通信速度の加速化を考えても、世界を視野に入れて自信を高めることが必要不可欠だ。
しかしながら、ビジネスで英語を使うにしても、何か釈然としない思いをしている方も多いのではないだろうか。自分の肩書きや経験に見合った、ビジネスエグゼクティブらしく、言いたいことを伝えるにはどうしたらよいのか、と考えあぐねている読者もいるのではないだろうか。またビジネス英語を勉強したいけれど、何から始めればいいのかわからない、など悩みを持っているビジネスパーソンも多いのではないだろうか。
海外のビジネスマンが話す英語と日本で学んだ英語は違っていた
わたし自身がそうであった。大学を卒業して最初に就職した商社では、早速海外ビジネスを現場で担当することになり、日常のビジネスレターから電話の応対に始まり、経験を積めばすぐに交渉ごとやプレゼンテーションを任されるようになった。しかし、学校で学んだり、和英辞書を引いたりしながら覚えた英語ではいまひとつ相手に言いたいことが伝わっていない感じがしており、自分でもどうしたらよいのか分からなかった。
そんなころに、海外のビジネスエグゼクティブがよく使っている英語を書きとめ、実際に使ってみることから始めた。現在わたしは、海外の要人や一流スピーカーと呼ばれる講演家の通訳の仕事をしているが、現在でもそういった人々が使っている言葉を書きとめて日々勉強を続けている。
彼らと比べて、商社に入社した当時のわたしの英語はどこが違ったのか。何よりも使っている単語が違った。むしろそれだけだったと言っても過言ではない。例えば何かを人に伝える時に使う「言う」という言葉。
「この件に関するわたしの意見をあなたたちに伝えよう」は英語でどう言うか。
「言う」といえば、学校教育を経たわたしの頭をよぎるのはSAYやTELL。
I will say to you my opinion on this issue.
決して間違ってはいない。ただ、重要な会議であればあるほど、海外のエグゼクティブはSAYやTELLは使わない。
I will share with you my opinion on this issue.
意味は同じ「この件に関するわたしの意見をあなたたちに伝えよう」である。ただ、単語ひとつを変えただけで、相手に与える印象は格段に違うのだ。
もう1つ例を挙げよう。ある問題について話し合う必要がある、と思った時、どうやって相手に持ち掛けるか。
We need to talk about this problem.
この問題について話し合う必要がある。正しい訳である。ただ、PROBLEMを使ってしまうと、解決が難しい面倒くさい問題、という印象を最初から持たれてしまいかねない。
I would like to discuss this issue with you.
この「課題」について、あなたと是非話し合いたい。そういったニュアンスが伝わるだろう。ISSUEには話し合われるべき課題という意味合いがあり、相手も前向きに話し合いに応じてくれる可能性が高くなるのだ。また、わたし自身が使って本当に苦い経験をしたのは「がんばります」と相手に伝えたかった時のことである。
We will do our best.
と言ったら、相手には「あなたの尽くす『ベスト』には興味はない。結果を出せ」と冷たく返されたのだ。本来であれば、具体的な数字を言ってそれを達成する意志がある、といった言い回しをしなければならなかったのだと、今になって考える。
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