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IT「あたま」を丸くしようGartner Column(1/3 ページ)

今回はいつもと少し趣向を変えて「ITコスト削減策」検討の際に重要なことを、皆様に思い出していただくために、ある企業の事例をお話ししましょう。

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 先月、内閣府から景気の谷のピークは2009年3月だったとの発表がありました。V字に回復しているとは言い難い様相ですが、まだまだ下がり続けているという感覚はなくなってきたようです。

 そんな中、ITコスト削減のみに一心不乱に取り組んでいらっしゃった皆さんも、少しは前向きな投資を考えられるようになってきているのではないでしょうか。とはいうものの、回復の速度や方法は各社各様ですから、同時にITコスト削減策についても準備しておくことが求められていると思います。

 今回は、いつもと少し趣向を変えて「ITコスト削減策」検討の際に重要なことを、皆様に思い出していただくために、ある企業の事例をお話ししましょう。これはわたしの苦い経験の1つでもあります。

 某大手製造業のIT部門長さんとお会いした時のことです。この部門長さんは、わたしに「当社は、各部門が日々継続的にコスト削減に励んでおり、IT部門も例外ではありません」とお話してくださいました。わたしは、瞬時に他企業でも適用できそうな、コスト削減策についてのヒントをいただきたいと思い、「素晴らしいお話ですね。どのようなお取り組みをされているのか、いろいろとお聞かせ願えませんか」と、思わず身を乗り出してお伺いしました。

 彼は、最初にこう言いました。「当社のIT予算は、年間○○○億円で、大雑把に言うと、そのうち約70%が人件費で20%程度が減価償却費で10%が保守費用なのです」それを聞いたわたしは、次のように尋ねました。

 「概ねで良いのですが、現在のビジネスを運用する(run the business)費用と、現在のビジネスを成長させるため(grow the business)の費用と、ビジネスを変革する(transform the business)費用とに分けるとそれぞれ何パーセント程度になるでしょうか」

 すると、間髪を入れずにこう答えてくれました。「ほぼ100%が、現在のビジネスの運営のために使われています。しかも、コストを削減するために、昨年度から基本的に新規の案件は全て凍結したし、IT部門の者達には残業しないように勤務するよう命じている」と。

 なるほど、そういうことかと感心したり、驚いたり。ちょっと唖然としているわたしに、彼はこう続けました。「ガートナーさんなら、更なるコスト削減方法を提案してくれるでしょ?」とお尋ねになりました。

『いやぁ、こまったぁ。彼の言っていることが本当だとするならば、どこに削減のチャンスがあるだろうか・・・・・・』

 実は、この企業の売上高や従業員数など基本的な情報は、訪問前に調べてありましたので、(わたしはあまりこの数字が好きではないのですが)売上高とIT費用の比率をザックリ計算してみました。すると、約0.3%程度になっていて、同業種の中では相当に費用を使っていない方だとすぐにわかりました。どうやら、ERPパッケージを導入して運用しているのと電子メールサーバーの構築・運用以外は、殆どIT化に注力していないように見えます。

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