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石油ピークを迎えた世界が直面するエネルギーと経済の危機海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(1/4 ページ)

わたし達の生活を発展させてきたエネルギーを生み出している石油業界に崩壊の危機が迫っているという。これは米国だけではなく、先進国をはじめとする世界的な問題であり、地球規模で今後の取り組みを考えていかなくてはならない。

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エグゼクティブブックサマリー

 この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。

3分で分かる「崩壊に立ち向かう」の要点

  • 世界の石油生産はピークを迎えている
  • 現代文明を築いたのは化石燃料であり、それに取って代わる代替エネルギーはない
  • 「腐敗」した米国および世界の経済システムではその危機に対処することはできない
  • 米国の外交政策はエネルギーコントロールに基づいている:イラク戦争は石油のためのもの
  • 大規模農業の化石燃料への依存により緑の革命が引き起こされたが、土壌を駄目にしてしまった
  • エタノール補助金は無意味であり、世界が食料として必要とする穀物を消費するものである
  • この経済の破滅の根本原因は、社会の石油依存にある
  • 政策立案者はゼロ成長の経済を作り、出産の自由など微妙な問題を提起しなければならない
  • 代替エネルギー事業は政府の監視下に入り、実用的な量のエネルギーを迅速に生み出さなければならない
  • 食糧の地産を始めとする地域による自給は必要不可欠である

この要約書から学べること

  • 普段考えもしない、世界のエネルギー危機の規模とは?
  • 代替エネルギー策のマイナス面について
  • エネルギー不足に対する財務および税務戦略

本書の推薦コメント

 著者のマイケルC・ルパートは、本書を通じて世界に大きな警笛を鳴らしています。エネルギーの専門家でもある著者は、わたし達の生活を発展させてきたエネルギーを生み出している石油業界にいよいよ崩壊の危機が迫っているという、受け入れ難い事実を本書で公開しています。

 マイケルC・ルパートは、エネルギーの専門家でもあり、その鋭い考察から調査された本書によると、この崩壊の危機は、世界の金融システムの継続的な成長によって起こっており、まさに金融成長と比例するように石油資源の過剰消費が促進されていると述べられています。更にこれらの解決策として、再地域化、人口削減、燃料管理、そして米国政府システムの総見直しなどの具体案を提案しています。

 とはいえ、この問題は米国だけの問題ではなく、先進国をはじめとする、世界的な問題であり、代替エネルギーの研究開発、社会基盤の変革など地球規模で今後の取り組みを考えていかなくてはならない、そう考えさせられる1冊です。

 本書は、今現在の日本人にとってまったく関心のない人はいないと言えるのではないしょうか。2011年3月に発生した東日本大震災。その影響で起こった福島の原発事故。このために原子力エネルギー政策を推進していた日本政府は今後のエネルギー問題を根本から覆す大きな課題に直面しています。

 現代文明を支えてきた化石燃料。いつかは枯渇するという予測もありながら使い続け、枯渇の問題よりも、地球温暖化の引き金となるCO2の削減が叫ばれ、クリーンなエネルギーとして原子力を推進しようとしている矢先の大事件でした。今まさに、原子力、そして、化石燃料に依存しない新しいエネルギーについて、誰もが、その模索に関心を寄せています。

 しかしながら、なぜ、いつかは枯渇するという予測のある化石燃料を、現在まで使い続けてしまったのでしょうか? そしてこれをこのまま使い続けて石油が枯渇したら、新しいエネルギーをわれわれは何に求めたらよいのでしょうか? 本書ではそうしたエネルギー問題について、その経緯や背景、また今後の対策などについて、非常に興味深く書かれています。

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