ビッグデータ活用とコミュニケーション進化が軸となる「未来社会」の展望:NTT DATA Innovation Conference 2012レポート(1/2 ページ)
「NTT DATA Innovation Conference 2012」においてNTTデータ 代表取締役副社長執行役員の岩本敏男氏が「NTTデータが描く未来」と題する講演を行い、現在のビッグデータ活用やコミュニケーションの進化を語った。そう遠くない未来に起こるであろう人、企業、社会の変革はどんなものなのか。
「コンピュータを開発して65年、インターネットが勃興して20年。われわれは巨大なパワーを手に入れました。IT技術の三大要素はネットワークとストレージとCPUです。これらすべてが飛躍的にその性能を向上させた結果、人、企業、そして社会までもが大きく変革したのです」(岩本氏)
未来の社会で必要とされる産業とIT
NTTデータ 代表取締役副社長執行役員の岩本敏男氏はそう語りつつ、これからの未来について話を向ける。NTTデータの技術開発本部は、これからの産業構造の変化についての研究を行っており、そこで出された結論として次のような未来像が予測されたという。
まず、多様なユーザーの要求にリアルタイムで応えることが求められるようになる。そして、製品やサービスだけではなく、知識やノウハウを多くの企業が消費者に提供することで収益を得るようになる。また、マスではなく、個別のニーズに合わせたサービスが提供されるようになる、というものだ。
「例えばホワイトカラーの仕事の一部は自動化されるようになる。また、ハンディキャップを持つ人たちの個々の事情に合わせたサービスが具体的に提供されるようになる、といったことが今後現実化していく」(岩本氏)
岩本氏はこの来るべき未来社会にITで対応するために次のような指針を立てていると話す。1つめはビッグデータを活用したビジネスアナリティクスの発展。2つめは、IT技術を活用したコミュニケーションの高度化である。
アナリティクスがカギとなるビッグデータ活用
ビッグデータという言葉は最近頻繁にメディアなどに登場するようになった。岩本氏はビッグデータについて次のように話す。
「ビッグデータはライフログデータとセンサーデータの2種類がある。ライフログデータの代表はICカードなどから得られる交通情報や購買情報。電車に乗ったり、買い物をするという行為は昔から行っていたが、それらの情報がデジタル化されたことで、超巨大なデータとして処理されるようになった。センサーデータは逆で、これまで得られなかったデータをセンサー技術で獲得できるようになった」(岩本氏)
ビッグデータを処理する技術について、NTTデータはHadoopなど大規模データ処理用のフレームワークをさまざまな用途に応用してきた。4.5テラバイト、レコード数では7000万件にもおよぶ国立国会図書館の所蔵データの処理などがその代表例だ。膨大なデータが処理できることで、正確な書誌インデックスが作成でき、利用者の利便性が向上した。
「これまで処理可能なサンプルデータを利用していたのに比べて、全保有データを分散処理することではるかに正確なビジネスデータを獲得できるようになった。蓄積していた購買行動をすべて扱うことで、顧客におすすめ商品を知らせるリコメンドサービスの質が飛躍的に向上した、といった事例もある。ビッグデータはいかに集積し、処理するかが重要なのではなく、最も重要なのは処理したデータをいかに知見として役立てるかということ。つまりアナリティクスが大切ということである。アナリティクスがさまざまなバリューを生んでいく」(岩本氏)
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