CIOが重視する2012年の課題――世界は「顧客/市場」 日本は「生産/サービス」(1/2 ページ)
米Gartnerが企業のCIOを対象に実施した調査によれば、世界では顧客や市場とこれに紐づく技術への関心が高いが、日本では生産やサービスに重点を置く傾向がみられた。
ガートナー ジャパン エグゼクティブ プログラム バイス プレジデント エグゼクティブ パートナーの重富俊二氏。アステラス製薬情報システム本部・企画部長、コーポレートIT部長を経て、2011年12月から現職
ガートナー ジャパンは3月9日、企業のCIOを対象に2012年の課題を尋ねた調査「CIO Agenda Survey」の結果を発表した。45カ国37業種の2335社(日本は72社)のCIOが挙げた課題とその傾向について分析を行っている。
この調査は1999年から毎年実施されているもので、今回は2011年10〜12月に実施された。回答した企業のCIOが管轄するIT予算の総額は3210億ドル(世界全体の約10%)、日本は1兆3000億円超。
まず、CIOが管轄する2012年のIT予算動向(加重平均)は前年比0.5%増(日本は0.3%増)となった。地域別ではアジアおよび中南米で増加傾向にあるが、日本はほぼ横ばいという。また、大企業や官公庁など予算規模の大きな組織はほぼ横ばい、もしくは減少となったが、中規模以下の組織では増加傾向にあった。
2012年のビジネス戦略トップ3は、世界が「企業成長の加速」「新規顧客の獲得と維持」「企業コストの削減」、日本が「企業成長の加速」「新規顧客の獲得と維持」「IT要員の確保・維持」となった。本調査とは別に、同社が2011年にCEOなどの上級役員を対象にITに対する意識を尋ねた調査では32.6%が「競争優位性の創造と維持の手段」、28.2%が「収益増と事業管理のための投資」、19.4%が「ビジネスモデルを定義し、運用し、革新するためのツール」、13.2%が「事業運営費を管理するための投資」、6.6%が「最小限に抑えるべき運営間接費」と答えている。
これについてバイス プレジデント エグゼクティブ パートナーの重富俊二氏は、「コスト抑制を図りつつも、攻めの戦略にITを活用するという意識が強まっている」と解説する。
CIOが重視するテクノロジーは、世界が「アナリティクスとビジネスインテリジェンス」「モバイル」「クラウド」、日本が「モバイル」「アナリティクスとビジネスインテリジェンス」「ERPアプリケーション」となった。
こうした傾向から重富氏は、世界のCIOはビジネスの必要性から顧客やマーケットへの注目度を高め、それらに関連する技術を重要視していると分析する。日本も似た傾向にあるが、ERPが上位に来る背景には、グローバル市場への進出に伴う海外拠点での基幹業務システム基盤の構築・整備が課題になっているという。世界で3位に挙げたクラウドは日本では9位と低迷した。2011年はベンダーサイドの提案が目立ち、ユーザーサイドとしては“食傷気味”か、一部で本格普及のフェーズに入り始めたと重富氏はみる。
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