ネットにつながった危険な顧客:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(1/3 ページ)
最近の顧客の変化がどのようにして始まり、今後どのように変化するのか? あらゆるものが時間の経過とともに変化していく。それを忘れて過去にしがみついていることこそが危険な顧客よりも更に危険なのかもしれない。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
3分で分かる「ネットにつながった危険な顧客」の要点
- 「サービス協定」とは、企業と顧客の間で交わされる暗黙の協定である
- 企業は、サービス協定の中の暗黙の信用を裏切ってきた
- その結果、顧客は冷ややかな態度を取るようになり、ブランドロイヤルティもほとんど持たなくなってしまった
- 消費者も一緒にサービス経験を作るようになり、その結果、消費者が力を持つようになった
- 消費者はすべての企業は模範となる企業、例えば、フェデックス、ザッポス、アマゾンなどが常に提供しているのと同じ質のサービスを提供するべきだと考えている
- 顧客は質の高いサービスを提供する競合社に簡単に乗り換え、満足させてくれない企業を見捨てる
- 今日の顧客は、期待過剰でロイヤルティが低い。さらに、口うるさく自己愛が強い
- サービスの悪い企業に対し腹を立てている顧客にとって、インターネットはその不満を広める便利な場である
- 「顧客の安定」は顧客満足度よりも価値がある
- 「サービス・パトロール」を実施し、サービスの問題を検知し排除すること
この要約書から学べること
- ここ数年、顧客と顧客サービスはどのように変わったか、それはなぜか
- 今日、顧客が顧客サービスに期待するもの
- 顧客とのサービス協定の質を上げる方法
本書の推薦コメント
インターネットのネットワークの力に加え、顧客と企業の間で結ばれる社会契約が崩壊したせいで、今日の顧客は「インターネットにつながった危険な存在」になり、もし企業がレベルの低いサービスを提供すればその企業にダメージを与えることができます。
コンサルタントであるチップR・ベルとジョンR・パターソンは、昨今のサービスがどのようにして歪んでしまったのか検証し、正常に戻す方法を提案しています。それと同時に、「顧客は力を持っているため、企業は彼らを大切にしないと酷い目にあう」という不吉なメッセージを伝えています。重要な本書を、ビジネスパーソンを始めとする、最高のサービスを提供し、顧客と強力な関係を築きたいと願うすべての人に薦めます。
ビジネスとは商品やサービスを顧客に提供して、利益をあげることが目的ですから、「顧客」なくしては絶対に成り立ちません。それ故に、企業は「顧客」に対して大きな満足をもたらす努力を行い、多くの顧客獲得と顧客となってもらっている時間を極力長く保てるようにすることが必要になってきます。
しかしながら、商品やサービスが市場にあふれると、顧客はさらに良いものを求めるようになり、そこに競争が起こります。その競争はさらに顧客の要求度を高めていきます。現在のインターネットの普及は、商品やサービスの情報の伝達スピードをさらに高めていますし、その逆に顧客も、自らの情報をネットを通じての配信ができるようになったことで、従来からあった口コミの速度は数十倍の速さとなり、商品やサービスの生の声が第三者に一瞬にして、しかも大多数の人間に伝わるようになりました。
しかも、恐ろしいのは、良い情報よりも悪い情報のほうが伝わりやすいという過去からの悪癖はそのままの状態であることです。また、ネットは匿名性が高いために、悪い情報をさらに流しやすくしています。まさに、現代は、顧客至上主義の状態となっています。それ故に、企業は、今いる顧客の質や傾向をさらにみきわめ、彼らが納得し、満足する物をいかに提供していくかを常日頃から研究していかなければなりません。
本書「ネットにつながった危険な顧客」では、最近の顧客の変化がどのようにして始まり、今後どのように変化するのか? や、企業はそうした顧客についてどのように対応し、自らの利益をどのように上げていけばよいのかということについて書かれています。確かに、あらゆるものが時間の経過とともに変化していくことは当然です。それを忘れて過去にしがみついていることこそが危険な顧客よりも更に危険なのかもしれません。
時代の変化にどのようについていったらよいか、「本書」で是非、学んでください。
まったく新しいタイプの顧客
今日の顧客は用心深く批判的で、昔のお人好しで楽観的だった顧客とは異なります。以前は、企業は顧客からのサービスに対する要望を無視することができましたし、無視しても仕返しされることはありませんでした。しかし今、インターネットのおかげで、顧客をたった一人怒らせただけでも、その企業は売り上げや株価(あるいはその両方)に何百万ドルという損失を被ることがあります。また、昔の顧客はあらゆる所で最高のサービスが受けられると期待してはいませんでした。
しかし、今日の顧客は、地元の企業を大手企業であるフェデックス社やザッポス社、あるいはUPSと比較します。そして、例えば、ディズニー社の社員が提供するのと同じレベルの、特別な思いやりと気遣いを期待しています。このレベルのサービスの質は「新しい標準」です。顧客はそれ以下のサービスは必要としていませんし、それに達することのできない企業は見捨てられてしまいます。
さらに、今日の顧客には、あらゆる製品やサービスに対し豊富な選択肢が用意されています。例えば、パン1つにしても、驚くほど種類が豊富です。数十年前のアメリカで一般的に入手可能だったパンは、主にサンビームやワンダーの食パンだけでしたが、今や市場には様々な種類のパンが出回っています。
このように、今や製品やサービスには驚くほど沢山の選択肢があることから、顧客は主導権を握っているのは自分たちであることを理解しています。彼らは自分達の権力を行使することにちゅうちょはしませんし、最高のサービスが受けられていないと思えば、すぐにでも行使するのです。
ネットの普及は、顧客に様々な情報を与えることが可能になりました。しかし皮肉な事に、顧客側からの情報発信も可能になったことで、悪い噂はすぐに広められてしまいますし、何のちゅうちょもなく他の企業にすぐに乗り換えられてしまいます。それくらいに、顧客の欲求度は高くなっています。
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