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» 2019年04月08日 10時03分 公開

「コンマリ」と日本流精神的癒やし

米国人と話をしていると、日本の漫画やアニメの話題を振られることが多かったが、最近は違う。

[産経新聞]
産経新聞

 米国人と話をしていると、日本の漫画やアニメの話題を振られることが多かったが、最近は違う。「コンマリ、知ってる?」。真っ先に出てくるのは、片付けコンサルタントとして活躍する近藤麻理恵さんの名前だ。著書が米国で発売されたのは5年前。すでにベストセラーとなっていたが、今年1月に米動画配信大手「ネットフリックス」でリアリティー番組が始まり、人気は爆発的となった。

片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん(宮川浩和撮影)

 コンマリ現象で、不要品を捨て片付けに夢中になる米国人が増え、米メディアによると、リサイクルショップには寄付品が殺到しているとも伝えられる。米誌フォーチュンは「マリエ・コンドウは(安価な)ファストファッションを衰退させるのか」との記事で、米経済への影響を考察した。

 ファンだという米国人の女性は「たくさんの物に囲まれて過ごすのが幸せだと思ってきたけれど、彼女のおかげでシンプルに生きる楽しさを知った」と話す。物質主義の米国人の価値観を揺さぶる社会現象といっても、過言ではない。

 興味深いのは、近藤さんの片付け術に精神的な魅力を見いだす人が多いことだ。「処分する物に感謝する」という発想に感動し、番組では近藤さんが片付けの前に、正座して背筋を伸ばし「瞑想(めいそう)」のような時間を過ごすのが人気だ。「日本人は普段そんなことしないよ」と教えても、東洋の神秘性にひかれるらしい。日本発の癒やしブームは広がり、最近では「生きがい」や「森林浴」といった日本語も注目され始めている。

 精神的な癒やしを求めることはストレス社会の裏返しでもある。米精神医学会の昨年3月に行った調査では、約4割の成人が「前年よりも不安感が増した」と答えたという。社会や政治が不安定化するトランプ時代に、日常のささやかな幸せを探す米国人が増えているとのメディアの分析は納得がいく。

 近藤さんは本の整理法などをめぐってバッシングに見舞われたが、それも人気者の証しだろう。物を大切にするというシンプルな日本の心に工夫を添えてアメリカンドリームをつかんだ近藤さん。世界に通用する見落としがちな日本の魅力はきっとまだまだある。

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【プロフィル】上塚真由

 平成12年入社。さいたま支局、文化部などを経て社会部では司法クラブで事件や裁判取材を担当。28年5月からニューヨーク特派員。

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