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» 2019年04月15日 09時58分 公開

「AIは魔法の箱ではない」 杉山将・理化学研究所センター長 (2/2)

[産経新聞]
産経新聞
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 「今のようなブームは2〜3年で終わると思います。研究を進めるにあたって、今は多くの方から声を掛けてもらえるありがたい状況ですが、AIのバブルに踊っている人が多いのも事実で、良いパートナー企業を見つけるのも大変です。ブームが去ったときに残った人は本当の意味でビジネスにAIを使っていこうという玄人。その際にサポートできるよう、われわれ研究者もなっていきたいと思います」

 −−日本のAI研究の課題は

 「がんの診断ができるようになったというような、AIを使って何をしたかの成果ばかりが目立っていると感じます。社会の役に立つことは重要ですが、その背景にあるアルゴリズムそのものにしっかり取り組まないといけません。アルゴリズムは難しい数学の論文ばかりが出てくる専門家の世界なので、なかなか世の中に認知されないのが悩ましいところです」

 −−なぜそのような研究が必要なのか

 「われわれを評価してほしいと言っているわけではなくて、そういう研究をしていかないと、グーグルなど国外の企業に支配されてしまうことを理解してもらいたいのです。AIで何かやろうとすると、多くの人がグーグルが作った機械学習のソフトウエアを使っているのが現状です。これでは未来がありません」

 −−AIを扱える人材が足りない

 「研究を発表すると海外の企業からはすぐに問い合わせがあるが、国内からはあまりない。まだまだ人材のレベルが世界の最先端には達していないようです。ブームの後押しもあって勉強したいという学生は増えているが、それを受け入れるキャパシティーが大学にない。医学や物理などに比べてコンピューターの定員はほんのちょっとしかないし、機械学習をやっている先生も限られている。大学だけではできないので、政府や産業界も一緒になって人材育成に取り組んでいかないとなりません」

AIが多分野をつなぐ

 −−今後の期待は

 「私が所属している東京大でも感じますが、物理、化学、宇宙、生物、医薬学、建築、法律、農学など、全学部がAIとつながっている。理研のこのセンターでも医師や法律家、数学者が一緒に研究している。これは5〜10年前には考えられなかったこと。AIが分野の橋渡し役となって、お互いの刺激になっている。日本の科学技術全体の発展につながると期待しています」

 −−令和はどのような時代になるか

 「基礎研究の人がうまく技術を提供して、応用研究や産業界につなげていく体制が、平成のうちに何とか準備できました。長い下積みの時代から一気に花開いたAIが、新しい時代により伸びていけばいい、その一助になっていきたいと思います」


杉山将氏

〈すぎやま・まさし〉昭和49年、大阪府生まれ。東京工業大大学院情報理工学研究科博士課程修了。平成26年から東京大教授、28年から理研革新知能統合研究センター長を兼務。29年に日本学士院学術奨励賞、日本学術振興会賞。専門は知能情報学。

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