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» 2019年06月06日 06時00分 公開

機運高まる:ビジネス感覚はアートで磨け 国立美術館のセミナー、すぐ満員 (1/3)

ビジネスパーソンには論理や理性だけでなく、感性と美意識、そして世界に通用する教養が必要だ。近年、アートを通じて得た新たな視点や経験を、経営やビジネスに生かそうとする機運が高まっている。

[産経新聞]
産経新聞

 ビジネスパーソンには論理や理性だけでなく、感性と美意識、そして世界に通用する教養が必要だ−。近年、アートを通じて得た新たな視点や経験を、経営やビジネスに生かそうとする機運が高まっている。大型書店では、美術鑑賞で感性磨きを推奨する本、基本的教養として美術史を説いた本などがずらりと並ぶ。こうしたニーズを背景に、東京国立近代美術館(東京・竹橋)では初の試みとして、ビジネスパーソン向けに特別な鑑賞セミナーを企画。早くも注目されている。

すぐに満員に

 題して「Dialogue in the Museum−ビジネスセンスを鍛えるアート鑑賞ワークショップ」。16刷11万部発行のベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)の著者、山口周氏と同美術館が共同開発したプログラムで、「アートを通じてビジネスシーンに役立つ観察力、思考力、表現力、多様性の理解、美意識を鍛えるためのトレーニングを行う」とある。

 今年度は3回ほど開催予定で、初回は6月22日。約3時間のプログラムで受講料は2万円(観覧料やテキスト代、消費税込み)と決して安くはないが、先月下旬に受付を開始するや、一日も経たないうちに申し込みが定員30人に達した。

 「世の中のニーズに対応し企画したものですが、あまりの速さにびっくりしました」と同館広報担当の藤田汐路さん。受講予定者は主に30、40代だが、職種は幅広いという。

 美術館が行うギャラリートークといえば、講師が一方的に解説するスタイルが一般的だが、このプログラムでは講師や参加メンバーらが本物の名画を前に「対話」を重ね、ビジネスシーンにも役立つような、より刺激的で深い鑑賞体験が味わえるそう。こうした対話鑑賞プログラムは、1990年代から欧米の先進的美術館が取り組んできたものという。

 論理や理性にのみ依拠すると他者と同じ結論に至ってしまうが、感性を磨くことで、今までにないサービスや商品を生み出すなど「差別化」につながるかもしれない。経営者の場合、不確実で高度な意思決定を迫られる局面で、最終的にものを言うのは直感や感性、あるいは哲学や美意識だったりする。そうしたものは一朝一夕に培えるものではなく、山口氏の著書によると、ニューヨークのメトロポリタン美術館の早朝ギャラリートークにはグレースーツのビジネスパーソンの姿が増えているそうだ。

 横山大観や岸田劉生、藤田嗣治らの名画を中心に、国内最大級のコレクションを誇る同美術館も、16年前から毎日(休館日を除く)、ボランティアのガイドスタッフによる「所蔵品ガイド」を行い、対話鑑賞を日々実践してきた。「その積み重ねとノウハウを、今回のプログラムに生かしている」と藤田さんは強調する。

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