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» 2020年05月22日 07時59分 公開

「ブラックスワン」前提に経営を、第3波の金融危機を防げ (1/2)

非常事態宣言が予定通り1カ月で解除されても、その先も相当の期間、日本と世界の経済活動は、生産と消費の両面で大きく抑制されるだろう。

[SankeiBiz]
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経営共創基盤CEO・冨山和彦

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済危機は10年前のリーマン・ショックを超え、戦後最大の危機となることが懸念されている。わが国でも初の非常事態宣言が発出され、東京などに強い外出自粛や休業要請が出された。非常事態宣言が予定通り1カ月で解除されても、その先も相当の期間、日本と世界の経済活動は、生産と消費の両面で大きく抑制されるだろう。

リーマン禍上回る打撃

 リーマン・ショックは金融危機が発生源であり、主にグローバル大企業が大きな打撃を受けたが、今回、コロナ経済ショックでは、第1波として実体経済、特に観光、飲食、エンターテインメント、小売業などのローカルなサービス業の売り上げが激減している。これらの産業は多くは中小企業や非正規雇用によって支えられており、日本の労働人口の約8割が従事している。経済危機の影響範囲でという意味では、今回のほうがはるかに大きい。

 企業にとって売り上げ減は会社の血液といえる現金の減少を意味し、これがなくなればただちに存続の危機を招く。ここは緊急融資や雇用調整助成金などあらゆる手を駆使してしのぐことが肝要となる。リーマン・ショックを振り返っても、個々の金融機関が大量の融資を短期間で行うことには業務量的な限界がある。過去はこれらの業務が政府系金融機関に集中して業務が滞った経緯もあるため、今回は地銀や信用金庫など、地域金融機関の活躍に期待したい。

 グローバル大企業においては、まずは中国の生産が止まったことによるサプライチェーン(供給網)ショックが起きたが、もっと深刻なのは自動車に代表される耐久消費財や航空会社の需要が激減、消滅することだ。リーマン・ショックの時もそうだったが、自動車や電機製品はほとんどが買い替え需要であり、人々は未来に大きな不安のあるときにわざわざ高い金を払って新製品を買わない。影響は当然関連サプライヤー(部品メーカーや設備投資関連メーカー)にも幅広く波及する。これらグローバル大企業側の被る第2波のショックが表面化するのはこれからである。

 サプライチェーンショックのような問題は、需要さえあれば生産が回復するまでの短期の資金繰り融資で解決する。しかし、需要サイドに起因する資金不足が長期化すると、赤字補填(ほてん)型の借金が膨大に積み上がり、弁済可能性が怪しくなっていく。すると今度は貸し手の金融機関のバランスシートが傷んでくる。その結果、リーマン・ショックのように金融危機が起きると、それが実体経済をさらに痛めつける悪循環に入りかねない。これが最悪の第3波であり、その手前で危機の連鎖は絶対に止めなくてはならない。

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