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» 2020年07月21日 08時05分 公開

「富士山のように」 スパコン「富岳」開発責任者 松岡聡さん

富岳は計算速度だけでなく人工知能や大規模データの計算性能などを競う実用性の部門でもトップとなり、ユーザーの広がりを大いに期待させるデビューとなった。

[産経新聞]
産経新聞

 「富岳(ふがく)はまさに自分のスパコンの理想像を具現化した存在だ」。理化学研究所計算科学研究センター長で、スーパーコンピューターの世界ランキングで首位に立った「富岳」の開発責任者。富岳は計算速度だけでなく人工知能(AI)や大規模データの計算性能などを競う実用性の部門でもトップとなり、ユーザーの広がりを大いに期待させるデビューとなった。

理化学研究所の松岡聡・計算科学研究センター長=6月、神戸市中央区の理化学研究所計算科学研究センター(南雲都撮影)

 東京都出身。高校から東京大大学院に在籍していた間、ソフトウエア開発会社「HAL研究所」で家庭用ゲームソフトの開発に携わり、任天堂元社長の故岩田聡氏と共作した「ピンボール」などを生み出した。

 38歳で東京工業大教授に就任。同大のスパコン「TSUBAME」シリーズの開発を手掛け、その1号機の設計をしていた際、プレゼン用資料に「スパコンの理想像」として描いたのが富士山のイラストだった。

 「当時は今より『スパコンは特殊なエリートたちのもの』という考え方が、業界内でも強かった。でも、スパコンは富士山のように性能は高く裾野は広くなければ持続性はない」。「みんなのスパコン」と銘打ち、TSUBAME1号機では汎用(はんよう)性を実現しつつ、当時国産トップだったスパコン「地球シミュレータ」の性能を打ち破った。

 30年近い研究人生で、たどり着いたのが「富岳」だった。名称は公募の中から委員会で選ばれたが、富士山の別称となった。「偶然に運命的に僕の長年のスパコン研究の理想像と一致した。『やはりこれだよね』と導かれた気がした」

 スパコン開発は、その頂に迫るにつれ、物理的・技術的な限界点を迎えつつある。だが、目指す先は変わらない。「進化があるからこそ新しいものを作る。富岳で立ち止まらず、さらに画期的なマシンを。それがわれわれの課題であり、目標だ」(有年由貴子)

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