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» 2020年09月17日 08時29分 公開

ソニーが狙う次の10年トレンドは「モビリティー」  (1/2)

電気自動車の試作車「VISION−S」を披露すると、会場は大きなどよめきに包まれた。

[産経新聞]
産経新聞

 毎年1月、世界の主要IT企業が一堂に会する場がある。米ラスベガスで開かれる世界最大の家電IT見本市「CES」。国内電機メーカーの凋落(ちょうらく)を象徴するかのように、ここ数年、日本企業の存在感は乏しかったが今年は違った。会場の雰囲気を一変させたのはソニーだった。

 暗闇の中、車体前面の「S」の形をしたエンブレムが白く光り、左右に光の筋が伸びて動き出す。1月6日、電気自動車(EV)の試作車「VISION−S」を披露すると、会場は大きなどよめきに包まれた。

 吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)は「この10年間のメガトレンドは『モバイル』だった。次の10年は『モビリティー』になる」とスピーチ。EVへの並々ならぬ思いを世界に印象付けた。開発責任者の川西泉執行役員が「サプライズを起こせるのかドキドキした。気づかれないようにコンテナで運び、リハーサルもできなかった」と明かすように、VISION−Sの公開は社運を賭けたプロジェクトに乗り出す宣言だった。

 「これからモビリティーの世界は必ず大きくなる。人の生活を変える」。ソニーとして、モビリティーにどうアプローチすればいいのか。吉田社長や十時裕樹現副社長兼最高財務責任者(CFO)らごく数人しか知らない極秘プロジェクトが動き出したのは2018年春だった。

 議論を重ねた結果、決まったのはEV試作車の開発。製造の委託先はオーストリアのマグナ・シュタイヤー社。トヨタ自動車が昨年、17年ぶりに復活させたスポーツ車「スープラ」の生産委託先だ。マグナへの製造委託は、モビリティーに対するソニーの本気度を何より物語る。

 完成したVISION−Sは随所にモビリティーに対するソニーのアプローチが見て取れる。強みを持つカメラ画像処理用半導体「CMOSイメージセンサー」などセンサー33個を搭載して自動運転に対応。360度オーディオによって、車内で立体感のある音を楽しめるようにエンターテインメント性にもこだわった。

 VISION−Sで新技術を検証し、自動運転を想定した車内での過ごし方も探るが、川西氏は「車とITの融合でソニーがやれることは多い」とみる。第5世代(5G)移動通信システムやクラウドと連携した試験も行い、新たなテクノロジーを提案していく。

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