手のひらサイズの電子基板だが、モニター、キーボードと接続すれば、プログラムを打ち込めるようになる。福井県内のIT企業経営者たちでつくる団体「プログラミングクラブネットワーク(PCN)」が開発したパソコン「イチゴジャム」だ。子供たちに簡単にプログラムを体験してもらう狙いで、今年度からプログラミング教育が小学校で必修化された中、さらに注目が集まっている。
イチゴジャムは縦5センチ、横7センチ、手の中に隠れるサイズで、武骨に基板や部品がむき出しだ。名前は、税抜きの販売価格1500円に由来する。PCNは、このイチゴジャムを使い、プログラミング教育活動を行う団体で平成26年に設立。きっかけは、メンバーになる松田優一さんと原秀一さん2人の会話だった。
「今の子供たちは、スマートフォンのゲームで遊んでも、プログラムに触れないまま過ごしている。これは、ヤバイんじゃないか」
プログラムを組んで自分がやりたいことを実現させるのが、本来のコンピューター。しかし、今は既存のソフトウエアやアプリを使うことが多く、ただの消費者になり、自分でソフトを作ることができるという発想自体が失われることを危惧したのだ。
方法を模索していたところ、3人目のメンバー、福野泰介さんがイチゴジャムを作ってみせた。初心者向けプログラミング言語「BASIC(ベーシック)」を採用し、1500円の安さで子供向けに最適と考え、3人で活動を始めた。
松田さんは活動の一環として26年夏から、自身の会社「ナチュラルスタイル」で小中学生向けのプログラミング教室を開催している。年齢に応じ、基板に電子部品をはんだ付けして組み立てることから始めるという。子供たちはスマホやタブレット端末に触れていてもパソコンを扱う機会が減っているようで、「キーボードを使うことに目をキラキラ輝かせ、喜んでくれる」(松田さん)そうだ。
最初のプログラミングは、イチゴジャムに付属するLEDをつけたり、消したりすること。キーボードで入力した命令通りに機器が作動することを体験することが目的だ。
イチゴジャムのコンパクト版「イチゴダケ」(税抜き価格980円)を使い、走行用ベルトで走るロボット模型を動かすプログラムも作る。松田さんは「模型はセンサー付きで、壁に衝突しないようなプログラムなら、たった3行」と紹介。模型を走らせ、センサーに一定数値以上の反応があれば、止まるという簡単な内容で、子供でも十分プログラムを組めるそうだ。
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