2030年頃の実用化を目指す次世代の移動通信システム「6G」の開発戦略を推進する産官学のコンソーシアムが18日、設立された。今春に国内で商用サービスが始まった第5世代(5G)移動通信システムで日本は欧米や中国、韓国などに後れをとったが、6Gではオールジャパンで中核技術の開発などに先手を打ち、巻き返しを図る。
コンソーシアムには大学、省庁、自治体なども含め、100を超える企業・団体が参加。会長には東京大学の五神(ごのかみ)真総長が就任し、副会長にNTTの澤田純社長や携帯大手4社の社長らが名を連ねた。
18日に都内で開かれた総会で武田良太総務相は6Gの早期実現に向け「今後5年間の集中開発期間で世界トップレベルの1千億円規模の国費を投入し、国際競争力を強化する」と意気込みを語った。
総務省は今年6月に6Gの総合戦略を取りまとめた。30年頃の実用化を見据えて25年に主要技術を確立し、大阪・関西万博で成果を世界に示す方針だ。コンソーシアムは戦略推進のための受け皿で、年明けから技術開発の環境の整備などに取り組む。
6Gは5Gと比べ、通信速度や同時に接続できる機器数が10倍、情報伝達の遅れは10分の1となり、消費電力も現在の100分1になると想定される。また、衛星などを活用して海中や上空、宇宙などを通信エリア化する。生活や産業のデジタル化を推進し、社会問題解決につなげるインフラとして期待されている。
実用化の10年も前からオールジャパンの取り組みを始めるのは、6Gの国際規格づくりをにらんでの動きだ。開発環境の整備などを通じて6G関連技術の特許を確保し、特許を利用した技術の国際標準への採用を狙う。国際標準に組み込まれれば、自社技術の市場が広がり、素早い製品投入が可能になるため「ゲームチェンジ」が狙えるとみている。
5Gでは韓国サムスン電子や中国華為技術(ファーウェイ)などが特許数でリードし、日本勢の存在感は薄いが、6Gで日本は30年時点で特許シェア10%と現在のトップ企業と同じ水準を目指す。もっとも、6Gをめぐってはすでに18年頃から米国や中国、韓国、北欧勢などが研究拠点の確保や戦略策定などの取り組みを始めるなど国際競争が激化しており、劣勢だった日本勢も戦略が問われる。NTTドコモの井伊基之社長は「世界に勝つには英知を結集し、今までにない技術を生み出さなければならない」と強調した。
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