生産性を上昇させる原動力として最も期待できるのは、急速に進展するデジタル技術である。それをビジネスの転換に活用するDX(デジタルトランスフォーメーション)を活性化させることが必要であることは明らかだ。残念ながらこの動きが非常に鈍かった。米国や中国などに比べ動きがあまりにも遅かった。企業の危機感が弱かったのか、「馬」は水を飲もうとしなかった。コロナ危機はこうした流れを大きく変えようとしている。DXを積極的に進めない限り、競争に生き残ることが難しいことを真剣に考える企業が増えているからだ。オンライン会議などをうまく利用した、場所を選ばない業務形態を推進できる企業とそうではない企業では差がついてくるだろう。また例えば小売業ではアマゾンのようなネット小売りとの競争の深刻性がさらに増している。
危機をきっかけに経済や社会が大きく変わるということは今回に限ったことではない。コロナ以前の低位安定の経済では、企業や社会のDXへの対応があまりにも鈍かったのだ。コロナ危機に揺さぶられて、多くの企業がポストコロナを見据えた改革に着手し始めている。ウイルス感染は一刻も早く収束してほしいと願っているが、この感染を梃子(てこ)にして日本経済のデジタル化が進むことも期待したい。(いとう もとしげ)
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