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» 2021年06月09日 08時22分 公開

高圧直流送電で再生エネ主力電源化 日立、世界シェア首位 英洋上風力で使用(1/2 ページ)

英中部ヨークシャー地方の沿岸から東へ約130キロ。北海の一角で、世界最大の洋上風力発電所ドッガーバンクウィンドファームの建設が進められている。

[産経新聞]
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 英中部ヨークシャー地方の沿岸から東へ約130キロ。北海の一角で、世界最大の洋上風力発電所ドッガーバンクウィンドファームの建設が進められている。

ドッガーバンク洋上風力発電所向けHVDC変換所のイメージ(Aibel社提供)

 東京23区の約2.7倍となる海上のスペースに3カ所の発電所を建設し、約280基を建てる計画だ。最も大きなタービンは高さ約250メートルもあり、最大で1万4000キロワットの電力を出力できる。2026年の完成後の発電設備容量は360万キロワットと、英国の電力需要の約5%にあたる600万世帯に供給可能となる。ドッガーバンクは英国の脱炭素化を推進する重要な国家プロジェクトだ。

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 洋上風力発電で作られた大量の電気は海上の変換所で交流から直流に変換し、海底ケーブルを伝って遠方の需要地まで送電される。この重要な役割を担うのが、日立ABBパワーグリッドのHVDC(高圧直流送電)だ。   

 HVDCの技術開発を進めてきた日立ABB HVDCテクノロジーズの西岡淳会長兼CEO(最高経営責任者)はドッガーバンクのプロジェクトについて、「世界最大の洋上風力系統で、非常に重要な案件になる」と気を引き締める。

 主要国が取り組む温室効果ガスのカーボンニュートラル(排出実質ゼロ)実現には再生可能エネルギーの拡大が不可欠だ。だが再生エネの適地は電力を需要地まで届ける系統が弱く、電圧が不安定になりやすい。

 そこで注目されているのが、高電圧の直流に変換することで電圧を安定化するHVDCだ。日立ABBパワーグリッドが開発したHVDCは、最新鋭のパワー半導体素子を採用したことで電力ロスを低減。長距離・大容量送電が可能となり、周波数が異なる系統の連系に適している。

 このため、鉄塔でつなぐ架空送電線が不要で、工期の短縮や景観を維持できる利点もある。HVDCは再生エネの主力電源化を支える有力システムとして期待されている。

 脱炭素の動きは世界で一気に加速しており、西岡氏は「欧州、中国、北米、中南米に加え、中東、アフリカなどからも引き合いが来ている」と話す。

 日立製作所も送配電網(パワーグリッド)をグループの中核事業に据え、HVDCの海外展開に力を入れている。昨年7月、日立はスイスの重電大手ABBの電力システム事業を約7500億円で買収し、日立ABBパワーグリッドを設立したのもそうした戦略の一環だ。ABBとは14年にパートナーシップ戦略を締結し、関係を深めてきた。

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