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» 2021年08月12日 07時55分 公開

個室で居酒屋、フィットネス……ホテル新サービス

ホテル各社が新型コロナウイルス禍で低迷する客室の利用を底上げしようと、「密」を避け室内で1人でも楽しめる新たなサービスを展開している。

[産経新聞]
産経新聞

 ホテル各社が新型コロナウイルス禍で低迷する客室の利用を底上げしようと、「密」を避け室内で1人でも楽しめる新たなサービスを展開している。出張先での「個室居酒屋」、テレワーク中の「個室フィットネスジム」。緊急事態宣言の継続などで外出や共用施設の利用が制限される中、需要の掘り起こしに知恵を絞る。

スイートルームでジム体験できるザ・キャピトルホテル東急の宿泊プラン=東京都千代田区(同ホテル提供)

ひとり時間を充実

ANAクラウンプラザホテル大阪で好評の「部屋飲み居酒屋」サービス=大阪市北区(田村慶子撮影)

 素泊まりが基本だったシティーホテルだが、コロナ禍でルームサービスを充実させる動きが広がっている。ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪市北区)は、部屋での「ちょい飲み」を楽しんでもらおうと居酒屋メニューの提供を始めた。外資系ホテルとしては珍しい試みだ。

 同ホテルはJR北新地駅から徒歩圏内で関西有数の歓楽街・北新地にも近い。出張してくる人による客室の利用は緊急事態宣言下でも一定数あるが、飲食店での酒類提供は制限が続いているため、飲みに出かけることができない。そこで、「仕事を終え、ホテルへ戻った際に少しでもほっとする時間を」とフロント係の女性が発案した。

 ビールかハイボールにおつまみを合わせた「ほろ酔いセット」(1800円)を用意。「毎日、一定数の注文がある」という。追加で串カツやたこ焼きなど大阪の名物も用意した。

 コロナ禍で足を運びづらい場所となったフィットネスジム。ホテル側は感染対策を取って併設するジムを運営しているが、敬遠する向きも多い。ならば客室にジムを作ろうと、ザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)は運動器具を用意した宿泊プラン(1室1泊7万〜13万円)を売り出した。

 スイートルーム(約100平方メートル)にバイクやヨガマットなどを常設。テレワークなどで客室を利用した際、仕事の合間に軽い運動をしながらリフレッシュしてもらう。同ホテルの館内に共用のジムはあるが「客室から移動したり、着替えたりする時間を省けると好評だ」という。

オンライン研修も

 一方、大規模会場で一堂に会しての企業研修や懇親会が難しくなっており、客室を利用したオンライン研修プランを企画するホテルもある。

会議室など充実した研修施設を売りとしていたホテルフクラシア大阪ベイ(大阪市住之江区)は令和2年度の客室稼働率が前年度比で約3割減少。宿泊を伴う企業研修の需要が減った。

 そこで、客室をオンライン研修に活用してもらう宿泊プラン(1人1泊3食付き、約1万7千円)を開始。パソコンはホテル側で用意する。オンライン画面は客室内のテレビモニターに映し出すこともできる。

 オンライン研修は自宅で受けるケースも多いが「ネット環境が悪い」「家族がいて集中しづらい」といった課題もあり、ホテルでの研修にも需要があると判断した。同ホテルは「オンラインならマスクを着けていない顔が見られ、表情が分かりやすいという声が寄せられている」と話す。

 国内でもワクチン接種が進むものの「需要が回復する時期はまったく見通せない」(大阪市内のホテル)宿泊業界。サービスの工夫で苦境をしのぐ日々が続きそうだ。(田村慶子)

客室稼働3割どまり

 宿泊施設の低迷が続く。観光庁の直近の調査によると、全国の宿泊施設の客室稼働率(6月)は28.7%。前年同月比では増加基調が続いているものの、コロナ前の60%程度には程遠い。

 規模などにもよるが、宿泊施設にとって、稼働率60%が、売り上げとコストが同額になり利益も損失も出ない「損益分岐点」の目安とされる。13.2%となった昨年5月の最悪期は脱したが、復活に向けた兆しはみえない。帝国データバンクによると、1〜6月のコロナ関連倒産は「ホテル・旅館」が97件と業種別では3番目に多く、経営体力を奪い続けている。

 苦境を打破しようと、客室以外のサービスも強化する動きも広がる。神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸市)は、朝にヨガを楽しむ日帰りプラン(3千円〜)などを販売。コロナ禍による健康への関心の高まりに期待する。

 6月に開業したHIYORIチャプター京都トリビュートポートフォリオホテル(京都市)では、宿泊客らが旅の記録をつづった一筆箋(短冊形の細長い便箋)を共用ラウンジに掲示。ガイド本にない観光スポットを紹介している。

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