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» 2021年11月23日 08時00分 公開

運任せ 空の「旅ガチャ」人気  9千個超販売

新型コロナウイルス禍に伴う移動の減少で航空業界が苦境にあえぐ中、格安航空会社のピーチ・アビエーションの企画した「旅くじ」が、若者らの人気を集めている。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルス禍に伴う移動の減少で航空業界が苦境にあえぐ中、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(大阪)の企画した「旅くじ」が、若者らの人気を集めている。いわゆる?ガチャ?形式のカプセル型自動販売機で購入でき、1回5千円。行き先は国内各路線からランダムで指定される。「旅ガチャ」とも呼ばれる運任せの旅行がなぜ注目されるのか。

ピーチの「旅くじ」に挑戦する若者ら=大阪市中央区の心斎橋パルコ(藤木祥平撮影)

 「新潟やったわ。何があるんかな」「釧路ってどの辺?」。旅くじの自販機ある心斎橋パルコ(大阪市中央区)では連日、若者らが運試しに挑んでいる。

 旅くじは、カプセルに入った紙に指定の行き先と、来年3月末までその路線で利用できるポイントのコードを記載。大阪での販売分は関西国際空港発の便で札幌や沖縄、仙台など13路線、東京での販売分は成田空港発で11路線を、それぞれ均等に用意している。

 「ワクワク感を提供し、旅行を楽しみにする人の背中を押したい」。旅くじの企画立案者の一人でピーチ事業戦略室の橋本理さん(42)はそう話す。目的の後に行き先を決めるのではなく、行き先を決めて旅の想像を膨らませるという、従来とは逆の旅の楽しみ方を提案する。

 「ドキドキしたくて挑戦した」と話すのは、大阪市鶴見区のアルバイト、寺田ななさん(22)。北海道・釧路行きを当てた寺田さんは「北海道に行くのは初めて、雪を見たい」と声を弾ませた。コロナ収束後は趣向を変えた旅行に挑戦しようという若者も多く、滋賀県彦根市の大学生、宮城茉奈さん(22)は「普段は行こうと思わない場所に行く機会になると思った」と話した。

 橋本さんによると、企画当初は「1日に1つ売れたらいい」との試算だったが、大阪で8月に販売が始まるとSNS(会員制交流サイト)で話題となり、2カ月で3千個が完売。10月から東京・渋谷パルコでも販売を始めたが、用意した1800個がわずか4日で売り切れた。さらに今月、大阪と東京で再販売し、新たに名古屋でも中部国際空港発の販売を始めた。3地域でこれまで累計約9200個が売れたといい、同社の搭乗率も回復傾向に向かっているという。

 旅くじは札幌や沖縄などの人気路線に比べ、利用の少ない路線の搭乗率を底上げするとともに、コロナ禍で疲弊した地方の観光活性化も大きな狙いだ。橋本さんは「新たな土地の魅力を発見し、リピーターになってもらえたら」と話した。

ポストコロナへ……航空各社が新サービスも

 新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けた航空業界。「空の旅」から遠のいた人々を取り戻そうと、航空各社はユニークな取り組みを始めている。

 全日本空輸を含むANAグループによると、昨年度はコロナ禍の影響で、国内線の旅客数が前年度比72.5%減の約1060万人。今年度4〜9月は前年同期の約1.5倍の約590万人となったが、令和元年度の同時期(約2070万人)を大きく下回る。

 日本航空など航空各社とも厳しい状況に置かれているが、その中で新たな取り組みを始めたのが、中堅航空会社スターフライヤー(北九州市)。国内線の機内でペット(小型犬、小型猫)を同伴できるサービス導入を目指し、実証実験を進めている。コロナ禍で家にいる時間が長くなったためペットの需要が増え、一緒に飛行機に乗りたいというニーズに応える形で、早ければ来年春頃にもサービスをスタートする。実現すれば国内線定期便では初のサービスとなる。

 また、ANAでも航空だけでなく日常の移動手段や距離に応じてポイントが貯まるアプリ「ANAポケット」を来月中旬にリリースする。自動車、自転車、徒歩と環境負荷が低い移動手段になるにつれ高倍率でポイントが貯まる仕組みだ。新型コロナの影響で行動の変容が迫られたからこそ、空の移動に限定しないサービスを企画した。

 ANAグループの担当者は「旅行など非日常のシーンだけでなく、日常のシーンでも接点を増やし、生活に寄り添うサービスをスタートさせる」としている。(藤木祥平)

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