福岡県は2日、産学官が一体となって半導体関連企業の集積を目指す「県グリーンデバイス開発・生産拠点協議会」を発足させた。県内に立地する世界トップシェア企業や九州大学などと連携し、技術開発や企業誘致、人材育成などに取り組む。国も近く人材育成に向けた産学官組織を立ち上げる方針で、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出を追い風に、九州で拠点化を進める動きが活発になっている。
半導体をめぐっては社会のデジタル化に伴って需要が急速に高まる一方、供給不足が課題となっている。今後、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向け、省エネ性能の高い半導体(グリーンデバイス)の開発・生産が必要で、安定的な供給も求められる。
福岡県内には、ソニーグループや三菱電機をはじめ、世界トップレベル企業を含む半導体関連の約400社が立地している。半導体分野の研究開発支援施設も多く、こうした強みを生かして、カーボンニュートラル時代の半導体開発・生産の拠点を目指すため協議会を発足させた。
協議会には、県のほか、産業用ロボット世界大手の安川電機、ソニーセミコンダクタソリューションズ、三菱電機パワーデバイス製作所など6社と県内3大学、県産業・科学技術振興財団が参加する。連携して半導体の安定供給に向けた共同研究開発、企業誘致、設備投資や新製品開発の支援などに取り組む。
九州は「シリコンアイランド」と呼ばれ、半導体が主要産業の一つになっている。半導体関連の生産額(令和2年)は約7300億円で、全国シェアの4割以上を占める。昨年、TSMCが熊本県菊陽町に新工場を建設することが決まり、福岡県の服部誠太郎知事は「シリコンアイランド九州の存在感が再び高まり、大きなチャンスが到来している」と語る。
拠点化に向けては人材不足の解消も課題だ。TSMCは新工場の建設で約1500人の雇用を計画している。TSMCに人材が集中し、周辺では逆に空洞化が進むのではないかという懸念もある。
九州経済産業局は、半導体関連の人材育成を目的とした産学官組織を3年度内にも設立する方針で、7日に準備会合を開く。九州各県やTSMCとソニーグループによる合弁会社、大学など約30の企業・機関が参加する予定だ。
福岡県も協議会の取り組みの一環として、県内大学との連携や県立工業高校での人材育成に力を入れる。
服部氏は「関連企業を呼び込むとともに地元企業も支援することで人材の集積を図っていく」と話す。
(小沢慶太)
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