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» 2022年03月11日 08時54分 公開

東京海上日動 被災データで最適支援 ボランティア後押し 細かく需要把握

東日本大震災の発生から11日で11年を迎える。同大震災以降も大規模自然災害が相次ぎ被災者支援に向けた動きが活発化する中、東京海上日動火災保険は災害ボランティア支援団体との協業を始めた。

[産経新聞]
産経新聞

 東日本大震災の発生から11日で11年を迎える。同大震災以降も大規模自然災害が相次ぎ被災者支援に向けた動きが活発化する中、東京海上日動火災保険は災害ボランティア支援団体との協業を始めた。令和4年度からは契約者の被害状況に基づくデータの有効活用と、それによる被災地支援の最適化に乗り出す。

全国災害ボランティア支援団体ネットワーク職員と画面越しで意見交換する東京海上日動火災の担当者(東京海上日動提供)

 その一環として両者は地域の自治体やボランティア団体に災害対応力を高めるため体制強化も呼び掛けていく。災害発生時には被害状況・被災者ニーズの早期把握だけでなく、地域内で応急処置に対応できる人材や物資をそろえて効果的な支援活動を行う必要があるからだ。

 東京海上日動は昨年12月、全国の自治体やボランティア団体と幅広いネットワークを持つNPO法人「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」(東京都千代田区)と協業して被災者支援を進めることで合意した。同社が契約者の家屋の被害情報などを被災直後から一定期間、継続的にJVOADに提供する。

 送られてきた情報からJVOADは市町村単位での被害状況を把握。被災地域外からの応援の必要性を判断したり、専門知識を持つ人材を優先的に配置したりと地域ニーズに合った効果的な体制構築を検討する。

 避難所生活が長期化する人数の予測も可能となり、官民連携による避難所の継続や仮設住宅や在宅での避難者の支援計画作成も支援する考えだ。

 これまでに支援を必要とする自然災害は発生していないが、東京海上日動は同8月に佐賀県を襲った豪雨に関し被害家屋の床上浸水の高さ状況を地域ごとの統計データとして集約しJVOADに提供した。

令和3年8月に佐賀県を襲った豪雨を衛星画像解析し、地域ごとの契約者被害件数をイメージ(東京海上日動火災保険提供)

 JVOADは送られてきたデータの確度の高さや、データから被災者の支援ニーズをある程度把握できることを実感。明城徹也事務局長は「これまで被災状況を目視・推測し判断していた。データによる裏付けが早い段階でできるのは助かる。地域外ボランティアの要否判断や優先する支援先などの根拠になる」と話す。その上で、「全国の自治体、ボランティア団体と被害の大きな地域などの情報を共有でき迅速、的確な活動が可能になる」と評価する。一方で、「データは細かいほどいい。ピンポイントで支援の必要性が分かれば効率化につながる」とも指摘する。

 詳細データについては、契約者の家屋ごとのデータを提供できるものの、個人情報保護の観点から難しい。このため、東京海上日動は、家屋情報の範囲を契約者だけでなく、地域の全家屋に広げることで対処する方針。同社の和田篤・損害サービス業務部課長は「4年度からトライアルする」としている。

 近年、全国各地で甚大な自然被害が多発。しかし災害発生地域の被害状況や被災者ニーズを早期に把握できず、十分な支援が行き届かないケースも多い。また新型コロナウイルス禍で増えた在宅避難者の支援ニーズを把握しづらいという課題も顕在化している。

 こうした社会課題の解決に両者はデータの有効活用に向け協議を重ねてきた。4年度は試行期間と位置付け、提供できるデータの拡張など被災者支援の高度化に取り組む。(松岡健夫)

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