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» 2022年07月13日 08時13分 公開

金融大手が相次ぎ提携 資産運用を強化

「貯蓄から投資へ」の流れが加速する中、大手金融機関が相次いで資産運用事業の強化に乗り出している。

[産経新聞]
産経新聞

 「貯蓄から投資へ」の流れが加速する中、大手金融機関が相次いで資産運用事業の強化に乗り出している。三井住友トラスト・ホールディングスは7日、米大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと資産運用などの分野で業務提携すると発表。先月には三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、ネット金融大手のSBIホールディングス(HD)への出資を決めた。

 三井住友トラストは、傘下の三井住友信託銀行がアポロのファンドに計15億ドル(約2千億円)を投じる。出資先の企業の価値を高めてから株式を売って稼ぐプライベートエクイティ(PE)や不動産、インフラを扱うファンドなどの資産が対象となる。

 日本銀行による大規模金融緩和で国内の低金利環境が長引き、運用力向上が課題となっていることから、三井住友トラストは政策保有株式を削減し、株式や債券など伝統的な資産以外への投資を拡大する。

 年金基金や個人投資家の間でも非伝統的資産への長期投資ニーズは高まる。中でもPEファンドは10億円以上の資金が必要となるなど、個人や小規模な機関投資家にとってはハードルが高い。三井住友信託とアポロはこれを小口化するなどして購入しやすい商品を開発する方針だ。

 一方、三井住友FGとSBIHDの提携にはグループの垣根を越えて、デジタル金融サービスを強化し、若い世代や資産形成層を取り込む思惑がある。

 三井住友FG傘下の三井住友銀行や三井住友カードの顧客がSBIHD傘下のSBI証券のサービスをオンラインで継ぎ目なく利用できるようになる。3社の利用者数は延べ8550万人。これを「共通の顧客基盤として持つことで、本邦ナンバーワンの共同経済圏にする」(三井住友FGの安地和之企画部長)。

 決済や給与の受け取り、資産運用をワンストップで利用できるスマートフォン向けアプリを開発し、今年度中に提供を始める。

 両グループが手を組む最大の理由は、客層とビジネスモデルの違いにある。三井住友FGにとってはSBIの主要顧客である資産形成に興味のある若い世代に直接アクセスできるようになるのは大きな魅力だ。一方、SBIHDは新生銀行の子会社化などに多額の資金を使ってきた。三井住友FGからの資本の受け入れで財務基盤を強化できる。

 両グループは令和2年4月に戦略的資本・業務提携に合意し、さまざまな分野で連携してきた。そのうち三井住友カードのクレジットカードでSBI証券の投資信託を購入できるサービスは提供開始から1年足らずで積み立て設定金額が100億円、口座数も26万口座を超える快進撃をみせた。

 SBIのメインバンクであるみずほ銀行を差し置く形で両グループは親密になり、その“象徴”として、今度は三井住友FGがSBIHDに796億円を出資することになった。

 「貯蓄から資産形成への流れにおいて大きな意味がある」。SBI証券の小川裕之専務取締役はこう語り、時流に乗った提携強化であることを強調する。(米沢文)

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